長期優良住宅促進法 維持管理・更新の容易性 | セミリタイアを目指すサラリーマン大家 マンション管理のお勉強

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※長期優良住宅の普及の促進に関する法律施行規則 1条
※長期使用構造等とするための措置及び維持保全の方法の基準(平成21年国土交通省告示第209号)第3

(1)概要

●設備配管の維持管理及び更新
・住宅性能表示制度では、建物の耐用性に影響する重要な要素である設備配管を採り上げて維持管理のための対策、また、共同住宅等で問題になりやすい共用排水管の更新のための対策について規定している。
・長期優良住宅においても、設備配管の維持管理及び更新を適切に実施することは住宅を長期に使用するために特に重要なことであることから、設備配管の維持管理及び更新を容易に行うようにするための対策について、原則として、最高等級を講じることを求めることとしている。

(2)規定内容

1)新築基準

●専用配管
・住宅性能表示制度の維持管理対策等級(専用配管)の等級3(新築住宅)を求めている。

〇住宅性能表示制度の規定内容
①専用配管が、壁、柱、床、はり及び基礎の立ち上がり部分を貫通する場合を除き、コンクリート内に埋め込まれていないこと。
②地中に埋設された管(「地中埋設管」)の上にコンクリートが打設されていないこと。
③共同住宅等にあっては、評価対象住戸の専用配管が他住戸等の専用部分に設置されていないこと。
④専用の排水管(継手及びヘッダーを含む)の内面が、清掃に支障を及ぼさないように平滑であり、かつ、当該排水管が清掃に支障を及ぼすようなたわみ、抜けその他変形が生じないように設置されていること。
⑤専用の排水管には、掃除口が設けられているか、又は清掃が可能な措置が講じられたトラップが設置されていること。
⑥設備機器と専用配管(ガス管を除く)の接合部並びに専用配管のバルブ及びヘッダー(「主要接合部等」)又は排水管の掃除口が仕上げ材等により隠蔽されている場合には、主要接合部等を点検するために必要な開口又は掃除口による清掃を行うために必要な開口が当該仕上げ材等に設けられていること。

●共用配管
・住宅性能表示制度の維持管理対策等級(共用配管)の等級3(新築住宅)を求めている。

〇住宅性能表示制度の規定内容
①共用配管が、壁、床、柱、はり又は基礎の立ち上がり部分を貫通する場合を除き、コンクリート内に埋め込まれていないこと。
②共用の地中埋設管の上にコンクリートが打設されていないこと。
③共用の排水管には、共用立管にあっては最上階又は屋上、最下階及び3階以内おきの中間階又は15m以内ごとに掃除口が設けられていること。横主管にあっては15m以内ごとであって、管の曲がりが連続すること、管が合流すること等により管の清掃に支障が生じやすい部分がある場合にあっては、支障なく清掃が行える位置に掃除口が設けられていること。
④専用配管と共用配管の接合部及び共用配管のバルブ(「主要接合部等」)又は排水管の掃除口が仕上げ材等により隠蔽されている場合には、主要接合部等を点検するために必要な開口又は掃除口による清掃を行うために必要な開口が設けられていること。
⑤共用の排水管(継手及びヘッダーを含む)の内面が、清掃に支障を及ぼさないように平滑であり、かつ、当該排水管が清掃に支障を及ぼすようなたわみ、抜けその他変形が生じないように設置されていること。
⑥横主管が設置されている場合においては、当該配管がピット若しくは1階床下空間内又はピロティ等の共用部分に設けられ、かつ、人通孔その他当該配管に人が到達できる経路(専用部分に立ち入らないで到達できるものに限る)が設けられていること。
⑦共用配管が、専用部分に立ち入らないで補修できる位置(共用部分、住棟外周部、バルコニーその他これに類する部分をいう)に露出しているか、又は専用部分に立ち入らないで補修が行える開口を持つパイプスペース内に設けられていること。

●共用排水管
・住宅性能表示制度の更新対策等級(共用排水管)の等級3(新築住宅)を求めている。

〇住宅性能表示制度の規定内容
次aからdまでに掲げる基準に適合し、かつ、e又はfに掲げる基準に適合していること。
a)共用排水管が、壁、床、柱、はり又は基礎の立上り部分を貫通する場合を除き、コンクリート内に埋め込まれていないこと。
b)地中に埋設された共用排水管の上にコンクリートが打設されていないこと。
c)共用排水管の横主管が設置されている場合においては、当該配管がピット若しくは1階床下空間内又はピロティ等の共用部分に設けられ、かつ、人通孔その他当該配管に人が到達できる経路(専用部分に立ち入らないで到達できるものに限り、共用部分の仕上げ材等の軽微な除去を伴い到達できるものを含む)が設けられていること。
d)共用排水管が、専用部分に立ち入らないで更新できる位置(共用部分、住棟外周部、バルコニーその他これに類する部分をいう)に露出しているか、又は専用部分に立ち入らないで更新が行える開口を持つパイプスペース内に設けられていること(共用部分の仕上げ材等の軽微な除去を伴い、更新できる場合を含む)。
e)次に掲げる基準に適合していること。
(i)共用排水管の切断工事を軽減する措置が講じられており、かつ、共用排水管がコンクリートの床等を貫通する部分に、共用排水管の撤去の際のはつり工事を軽減する措置が講じられていること。
(ii) 排水管の接続替えを容易に行うための措置が講じられていること。
(iii) 共用排水管の撤去、接続替えその他更新のための空間が確保されていること。
f)次に掲げる基準に適合していること。
(i) 共用排水管の近傍等に、別に新たな共用排水管を設置することができる空間、スリーブ等が設けられていること。
(ii) e(ii)及び(iii)に掲げる基準に適合していること。

●専用部分に立ち入らずに維持管理・更新ができる措置(共用⑦、共用排水d)の代替

〇例1
次の①~④のすべての条件に適合している場合。
①管理者等の立ち入りを認める居住者の協力義務が管理規約で定められていること。
②パイプスペースは、以下の要件を満たすこと。
・間仕切り等で独立した区画となっていること。(※パイプシャフトやパイプスペースの床面は法規制に応じて防火区画が要求される場合がある)
・維持管理等に際し、構造躯体に支障を及ぼさない場所に設置すること。
・配管のオフセットの原因となる横梁等をパイプスペース内に配置しない等、パイプスペースの形状に留意すること。
・少なくとも一つの面が維持管理・更新の作業が容易にできるスペースに面すること。
・作業が容易にできるスペースに維持管理を行うための点検口が露出していること。
・躯体に影響を及ぼすことなく更新を行える開口が確保できる面を有すること。
③パイプスペースを竪穴で区画せず、床面で防火区画を確保する場合には、配管の区画貫通部または管の構造において、更新の処理を軽減する措置をおこなうこと。
④評価方法基準第5の4の4-2(3)イ⑦及び4-3(3)イ①dの基準を除き、評価方法基準第5の4の4-2(3)の等級3の基準及び4-3(3)イの等級3の基準に適合すること。

〇その他の例
・排水に直接接する配管については、耐用年数を確保するため、腐食しやすい炭素鋼鋼管・亜鉛めっき鋼管等の素材は避けること
・PSを共用部からアプローチしやすい位置に、分散せずに設置すること
・住戸計画における将来的な可変性の確保のため、パイプスペースが居室の間取り等の変更の制約とならないよう配慮すること。
・PSが竪穴として住戸内に設置されている場合は、上下階の遮音については区画壁などに遮音性に配慮した材料を使用したり、防犯についてはPSの開口を管理組合の管理によって施錠する。

※評価方法基準の改正に伴い、共用排水管に係る横主管の掃除口について、管清掃に支障を及ぼさないことに関する条件を付与した上、設置間隔を15mとすることができる旨の改正が行われた。
・清掃に支障が生じやすい部分とは、一般的に排水管の詰まり等が発生しやすい曲がりの連続する部分あるいは合流部分をいい、当該部分の近傍に掃除口を設けることにより詰まり等が発生した際の当該部分の清掃が容易に行えることとなる。
 なお、清掃が支障なく行える位置への設置を求めるものであって、管の曲がり部分や合流部分の全てに設置を求めるものではない。

2)増改築基準

基本的には新築基準と同様で以下の緩和規定がある。

〇コンクリート内への埋め込みや地中埋設管の上にコンクリートが打設
・現状支障なく利用できている場合に限り、維持保全計画に将来的に適合するよう更新すると位置づければ、配管のコンクリート内への埋め込みや地中埋設管の上にコンクリートが打設されている場合であっても、基準に適合していることとする。
←既存住宅で既にコンクリートに埋設されている配管などを新築住宅の基準に適合させるためには大掛かりな工事となり、入居者等に過大な負担を求めることになるため、将来更新時に適合させるよう工事をすることでもよいとしている。
・専用配管については、既存住宅の共同住宅の場合、給水管・給湯管は、廊下側からの水の浸入を防ぐためシンダーコンクリートに埋め込まれていることが多く、当面の使用上は問題ないことから基準を適用しないことを可としている。