月光ゲーム―Yの悲劇’88 | 半学半教

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月光ゲーム―Yの悲劇’88 (創元推理文庫)
有栖川 有栖
東京創元社
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有栖川有栖 - Wikipedia

夏合宿のために矢吹山のキャンプ場へやってきた英都大学推理小説研究会の面々――江神部長や有栖川有栖らの一行を,予想だにしない事態が待ち構えていた。矢吹山が噴火し,偶然一緒になった三グループの学生たちは,一瞬にして陸の孤島と化したキャンプ場に閉じ込められてしまったのだ。その極限状況の中,まるで月の魔力に誘われでもしたように出没する殺人鬼。その魔の手にかかり,ひとり,またひとりとキャンプ仲間が殺されていく……。いったい犯人は誰なのか?そして,現場に残されたYの意味するものは何? 平成のエラリー・クイーン=有栖川有栖の記念すべきデビュー長編。
(中表紙より引用)


警察機関や科学的捜査を排し、外部と一切の交渉を絶たれて閉鎖した場所で行われる殺人、クローズド・サークル・テーマであり、英都大学推理小説研究会の面々をはじめとした登場人物の特徴や人柄、そして殺人鬼、噴火による恐怖感やスリル感、心理描写や情景が非常に上手く描かれており、その世界に引き込まれていくことでしょう。

また、ダイイング・メッセージ、真犯人を特定するに足りる十分なデータが出揃ったところでの読者への挑戦の挿入。いわゆる推理小説としてだけでなく、読み物としてもおもしろい作品であり、おすすめです。