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今日ご紹介する動画は、 <免疫療法の副作用(irAE) 後編 >免疫療法 5剤登場!混沌…どうなっているの?その現状の理解・副作用・未来までを3人の医師がわかりやすく解説します!(再アップ)
※2021年8月8日YouTube LIVE 免疫療法5剤登場!混沌…どうなっているの?その現状の理解・副作用・未来までを3人の医師がわかりやすく解説します その模様をお届け! その時点の情報に基づいています
お話いただくのは、神奈川県立循環器呼吸器病センター 池田 慧 先生です。
1つ紹介したいのは、これは日本の研究じゃなくてフランス、パリのホスピタル・セント・ルイスというところのレトロスペクティブ研究になります。ただ、フランスの先生はすごく繊細に診察をするので、日本のデータにも十分反映できるものだと思いますけど、この研究では免疫チェックポイント阻害剤を投与されているがん患者さんの34パーセントが一度は救急外来に受診している。そのときの受診理由がirAEだったというのがそのうちの14パーセントだったそうで、irAEの種類としては大腸炎、これは消化器症状が出るんで多いのかなと思うんです。あと肺毒性の方も5パーセント。さらには内分泌ですとか肝障害っていうようなところが挙げられますが、問題なのはここからで、irAEよって救急受診した患者さんの半分は別の理由だと最初診断された。後々になってレトロに振り返ってみる、もしくは次のときに腫瘍内科医の先生のところに掛かったら、「これはirAEですね」ということになったということでございまして、これはirAEが最初に受診したときに見逃されてしまった理由というようなところがどんな症状だったかというのを見てみると、例えば呼吸器症状。実際これ見てみると肺毒性って多いのに、この緊急受診した理由の5パーセントしかないのでやっぱり見逃されているんだと思いますけど、呼吸器症状。さらには、疲労や倦怠感、それから発熱といった比較的非特異的な症状が主訴であった場合に、やはり見逃されているというところでございます。さらに、irAEの中でも特に見逃されやすかったのは、この内分泌系の副作用ということでありました。
こういった内分泌系のirAEというのも、中にもいろんな種類があります。一番メジャーな頻度が多いのは、この甲状腺ホルモンの分泌障害です。
ほかにもこの副腎皮質機能低下症、これは腎臓の上にある副腎という臓器で、いろんなホルモンを作っていますが、一番大事なのはステロイドホルモンを産生して分泌しているという役割でして、ここが直接傷んでしまって分泌が悪くなる原発性の副腎機能低下症と、続発性の副腎機能低下症と言って脳にある下垂体という、この副腎に向けてステロイドホルモンを作りなさいよ、出しなさいよ、という指令を出すホルモンを出す臓器があるんですけど、ここにダメージが来てしまって、そのせいで出なくなってしまうというようなやつがあります。
さらにはⅠ型糖尿病といって、体の中の膵臓っていうインスリンのホルモンを出している、血糖を下げて体の血糖値を調整するような臓器があるんですが、そこが傷んでしまって血糖のコントロールができなくなって、インスリンが出せなくなって、悪化するような糖尿病。そういったものを引き起こすことも、頻度がすごく多いわけではありませんがあります。
こういった内分泌系のirAEはいずれもきちっと診断して適切な対処がなされれば、発症してしまっても補充療法しながら免疫チェックポイント阻害剤を再開したり、継続するというようなことが可能な有害事象ではあります。ただ、その一方で、特にこの副腎不全と糖尿病に関しては発見の遅れが命に関わることもあります。
この副腎皮質機能低下症はこの副腎のところからのステロイド、コルチゾルの分泌が低下してしまうということが一番の問題になるわけですが、そのメカニズムとして一番多いのはこの脳にある下垂体というところが自己免疫機序で傷んでしまって、このACTHというホルモンの分泌だけが下がってしまうというようなものが多いと言われています。ただ、イピリムマブを併用した場合には、この下垂体が全体が炎症が起こって傷んでしまうこともあると言われていて、このACTH以外にも例えば成長ホルモンとか甲状腺ホルモンの分泌を促すようなホルモンですとか、性腺ホルモンですとか、いろんな物がここから出てるんで、そういったものまで分泌が異常が起こってしまうというようなこともあります。さらには比較的まれかなと思いますが、この副腎自体が免疫の機序で傷んでしまうということもあります。このステロイドホルモンの分泌異常が厄介なのは、この症状がとても非特異的だということでありまして、食欲低下とか倦怠感とか嘔吐とか下痢、さらには腹痛、発熱といったことで、いろんなほかの症状と一緒になりなかなか区別が難しいようなものがいっぱいということになりまして、これが発見が遅れる大きな理由だと思います。やはりそのポイントとして非常に難しいんですが、患者さんはえたいの知れない症状が出たときにやっぱり遠慮しないということがまず1つかなと思いますし、特に複数のいろんな非特異的症状が同時に出てきたようなときというのは、遠慮せず相談してもらうことがやはり必要だし、後々やはり自分のためにもなるということだというふうに思います。
さらにⅠ型糖尿病で、これはまれな副作用ではあるんですが、ただ免疫チェックポイント阻害剤の主要研究がだいぶ深まってきたわれわれ医療従事者には、やはりみんな1回ぐらいちょっと経験がある、1回ないしは科内では何回か経験があるというような副作用かなというふうに思います。
やはりこれはなかなか発見が特に遅れがちで、起こったときには高血糖に脱水も絡んで、ケトアシドーシスというちょっと非常に危険な状態になって発見されるようなケースも多いというやっかいな副作用です。直ちに入院して、インスリンっていう血糖値を下げるホルモンのコントロールが必要な重篤な有害事象ということになりまして、こんな症状があったらというところでは、例えばやたらと喉が渇いて水をたくさん飲むとか、おしっこがいっぱい出る、吐き気とか倦怠感と言った、もうこれは非特異的な副作用ですけど、そういったものが急激に出てきた場合も注意だと思います。
ただ、これに関してはやはり医療従事者側も非常に注意が必要で、毎回来ていただくごとに少なくとも血糖は測定するとか、あとこういった症状をいわゆる不定愁訴と言って、患者さんがこう言って来るぼんやりした症状というような感じで、軽視して見逃さないっていうわれわれの姿勢も非常に重要であるというふうに思います。
さらには心筋炎で、これは頻度がすごく少ないですけれども、起こったときに致死的になり得るというようなところで、心臓をポンプとして動かす筋肉に炎症が起こってしまって、検査をすると心臓の超音波や心電図、されには採血で心筋が壊れたときに出てくるような検査データが上がっていると診断できるというようなものになります。これに関しては非常に難しくて、この胸痛ですとか胸部不快感がやはり症状というところでは出てくる可能性がありまして、その前にかぜっぽい症状とか消化器症状が先行することが多いというふうにも言われています。
ただこれもやはり同じで、医師の側がこういったものをしっかり想起して検査を実施しないことには決して発見できないというようなところがありますので、やはりこれは医師側の持ちようもやはり非常に重要であるということです。
全部紹介しきれてないですけれども、今までちょっと怖いような話ばっかりしてきて、irAEが出てくるともうさぞがっかりというような感じに思えてしまうかもしれませんが、実は必ずしもそうとも言えないという話を次にさせていただきます。
これは悪性黒色腫と言って、要するに皮膚のがんによるデータなんですけれども、この免疫チェックポイント阻害剤は一番最初にこの悪性黒色腫で特にメジャーになりました。このときに非常に興味深かったのは、特にこの皮膚のところに免疫チェックポイント阻害剤の副作用、irAEが出てくるような患者さんでは、そういう副作用が全然出てこなかった人に比べて有効性が非常に高かったというようなデータが示されており、これが本当に肺癌でも実際当てはまるかどうかっていうところが非常に重要なトピックとして言われております。
それ実際、このirAEが出てくる人ほど効くというようなところが肺癌においても当てはまるっていうことを示すデータが複数報告されておりまして、これが一番最初に報告された近畿大学のハラタニ先生からの報告ということになりますが、こちらではいわゆるこの無増悪生存期間も、それから全生存期間、生きていた時間というのも、両方ともやはりirAEが出てきたような患者さんの方が長かったというようなデータが示されていました。
さらに興味深かったのは、このirAEが発現してしまって、やはり治療が中止になってしまうような患者さまって一定数いらっしゃるんですけれども、その場合でも本当にそれだけですごく落胆しなくてもいい可能性があるということです。例えば、これはニボルマブの治療を受けてirAEが起こってしまったような患者さんと、起こらなくて普通に効かなくなって中止になったような患者さんの効果の持続期間っていうのを見たものということになります。このirAEグループというのは、この黒い線は要するにニボルマブを投与してた期間、この白い線は投与していてirAEが出て中止になったんだけど、効果自体はそのあともずっと持続していたというような期間を示したものということになるんですが、これで見るとかなりの多くの免疫チェックポイント阻害剤の有害事象、irAEで中止になった患者さんが、中止になったあともしばらく効果が持続しているということです。ただ、これはニボルマブ単剤ということになるので、どんな長くてもやっぱり2カ月から半年ぐらいというようなところにはなっていますが、やはりこれは非常に見逃せないデータであるというふうに思います。
さらにこれが去年から半年ぐらい使えるようになったこのイピリムマブをニボルマブに上乗せしたような治療の場合には、この中止になってしまった場合でもそのあとの効果の持続がより長いのではないかというようなデータが治験では示されています。同じようにirAEがたくさん出てしまって副作用で中止になったような患者さんの方が、そのほかも含めた全体の患者さんよりも予後がむしろいいじゃないかというようなデータもこの治験でも示されていますし、それに加えて有害事象で中止した患者さんの53パーセントがその後3年以上も有効性が持続していたというようなデータも実は示されています。
これが本当に実臨床でこのまま当てはまるのかどうかはわかりませんが、ただこれは別にがんだけじゃなくって、同じようなデータがこの皮膚の悪性黒色腫においても示されておりまして、ニボルマブやイピリムマブと比べてこのニボルマブ、イピリムマブの併用療法を投与されてそれがいろんな理由で中止になったあと、その次の治療が開始になったりもしくは亡くなるまでの期間というのが、イピリムマブ併用療法の方が格段に長かったというようなデータがありますので、そういった意味ではイピリムマブ、先ほど比較的ネガティブな話しかしませんでしたが、有害事象があっても頑張って投与する意味が十分あるということを示唆するデータなのかなというふうに思っています。
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