食事の工夫で栄養のチカラを見直そう 川口美喜子先生 講演その⑤ | NPO法人 肺がん患者の会 ワンステップ

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2024年4月、10年目突入。肺がん患者・家族の「いきる勇気」につながればいいなと思っています。

 
みなさんこんにちは
 
私は横浜市の保土ヶ谷に住んでいます
保土ヶ谷というと皆さん何が思い浮かびますか?
箱根駅伝ファンであれば、花の2区です。権太坂の手前が家に近いです。
野球ファンであれば、すぐに浮かぶのはドカベンと思います。
保土ヶ谷球場。
明訓高校は神奈川県でしたので、いつもここで試合です。
現実の世界でも、予選が始まると、応援のラッパが遠くの方で聞こえたりします
でですね。昨日、その保土ヶ谷球場のある保土ヶ谷公園に行ってきました
友人がラグビーをやっていてその応援です。
 
 
20代30代が多いのですが、どこをどう見ても50代の方もおり
社会人として、ずっと好きでやっておられるのだな、と感じると、なんだか興奮してきます(笑)
結構激しくタックルなどあったりして、これ、月曜日の仕事、大丈夫かなと心配もするほどでした。
いい日曜日でした。
 
 
 
さてさて
 
 

▼食事の工夫で栄養のチカラを見直そう 川口美喜子先生 講演その⑤

それではどうぞ!

 

 

 

 

<中鎖脂肪酸について>

 

 

 

今日は、中鎖脂肪酸のことが知りたいっていうご質問もあったかと。MCTという中鎖脂肪酸というのが、今、違う意味で、やせるためにということで出てるんですけど、これはすっごくエネルギーになりやすいんですね。

 
 

 

 

 

なぜかというと、中鎖脂肪酸って下のところに書いてあって、長鎖脂肪酸っていうのがあって、それをお口から食べると腸に入っていくんですね。腸に入っていって、長鎖脂肪酸っていう普通の脂肪は、まずリンパ管通って、静脈に入って、肝臓に蓄えられて、それから筋肉にいって、エネルギーになるんですけど、中鎖脂肪酸っていうそのMCTは直接肝臓にいくんですよ。ややこしいところなく肝臓にいって、すぐにエネルギーになる。なので使われるといいかと思います。

 
 

 

 

 

<糖質制限ががんの効くのか>

 
 

 

ぶどう糖がなくても、脳をはじめとする正常細胞のエネルギー源に中鎖脂肪酸はなるんですね。でがんは、ケトン体をエネルギーにできないので、体の中をケトン体でたくさんにしましょう。がんの細胞の栄養になる糖質を食べないで、中鎖脂肪酸をいっぱい取って、体の中のエネルギー源をケトン体にしましょうっていうので、糖質はやめましょうみたいなのがはやっているんですけれども、普通ではとてもできません。エネルギー不足になります。

 
 

 

 

                                                                          

それが認めらている腫瘍は、今のところ、アメリカから脳腫瘍について、ちょっと出てきてるんですね。それから、今、日本でされているのでは、大腸がんの患者さんにちょっと出てきてはいるんですね。でもそれは、極端な治療になってきます。きちんとした栄養指導の下でやっていくことです。ですので、まずは自分の食事バランスを考えられて、MCTを使うのはエネルギーが不足しているから使われたらいいかと思います。MCTパウダーとMCTオイルが出ています。エネルギー源にするのに使われたらいいと思います。

 

 

 

 

 

<サプリメントを使う>

 
 

 

入院患者さんの40%がサプリを使いたいとおっしゃいます。栄養剤、健康食品を使いたいとおっしゃいます。それは栄養価の高い食品で体力をつけたいっていうのも多いんだけれども、家族が心配するから、どうしてもそれは飲んどかないと申し訳ないからっていうことで、飲んでらっしゃる方もいらっしゃるんです。データをちょっと出します。やっぱりサプリを飲んでる人は食べたエネルギー量が多いです。たんぱく質も多くなります。だから、管理栄養士に相談してやっぱりちょっと努力して飲むのもいいかなと思います。

 
 

 

 

 

次はエレンタールゼリーというものがあります。これはドクターの処方です。いろんな味のフレーバーミックスがあるので、それでゼリーを作るんですね。そうすると、それを作って冷蔵庫に入れておくと、これは栄養剤なので脂肪はないんですけれども、アミノ酸、すごく体に大切なアミノ酸とかが取れます。ゼリーは簡単に作れます。ゼリー剤は無料です。ゼリー剤は薬局に行けば無料でくれます。ただし、エレンタールっていう栄養剤(成分栄養剤)は処方が要るので、先生に相談してください。

 

 

 

それから、エネーボっていうのも、飲みやすくって、がん患者さんにもいいなと思っています。これも医師からの処方です。エンシュアも処方です。

 
 

 

 

 

私は、クックパッドにエネーボのメニューを投稿してるんですけど、これをフレンチトーストにするとおいしいです。それから、これはアールグレイという紅茶で割ると、すごく飲みやすいです。アールグレイの香りに合いますね。いろんな紅茶試したんですけど、アールグレイという種類の葉っぱの紅茶には栄養剤はよく合って。ですから、栄養剤はお口から食べるものなので、何をどうしようといいんですよ、炭酸で割ろうと。そのまま飲まなくても大丈夫です。いろんなものがあります。スポーツドリンクだって栄養剤と思えばよいです。水分補給になったり、エネルギー補給になったり。私は、牛乳も栄養剤としていいなと思っています。

 
 

 

 

 

ちょっと筋肉が疲れるという人は、このBCAAの入ったアミノバリューはすごくいいかなと思っています。ちょっと休んでいて、リハビリで体を動かし始めたときには、筋肉痛にもいいかと思います。

 

 

 

下痢便秘の方は、この太陽化学のサンファイバーがいいかと思います。食物繊維はいろんなものが出ているんですけれども、これはグア豆という天然のものからできているので、おなかの調子には、私が使いごたえはこれが一番よかったかな。太陽化学から出ています、サンファイバーといいます。

 
 

 

 

 

 

口内炎予防には、これも薬局で売ってると思います。GFOといいます。グルタミンファイバー、オリゴ糖が入ってるので、おなかの調子を整えるのにもいいので、これをちょっと濃いめにして、氷にして、お口にくわえておかれてもいいかなと思っています。GFOといいます。大塚が出していますね。

 

それから、アバンド。これは、ちょっとお高いんですけれども、口内炎、皮膚炎には効果的かと思います。アバンドといいます。これは薬局に出ています。

 
 

 

 

 

私がしてるのは、みそ汁ですね。私が取るだしは季節の野菜とか果物をことこと煮ます。そのスープは、お煮しめするのにも、いろんな料理を作るのに使います。キャベツの芯とかタマネギとか、そんなものでことこと煮出して作っていますが、これにみそを溶かして、みそスープにしています。

 
 

 

 

 

 

それから、がん専用のプロシュアという栄養剤があります。そのプロシュアの栄養剤で結構、栄養状態を改善した患者はいるので、使ってみてよかったかなと思っています。市販で買えるものです。プロシュアといいます。これも結構、私は飲みやすいです。今、バナナ味が出てて、手に持ちやすい形になっています。

 
 

 

 

 

魚油はいいですよっていうので、私がやってみたのは、シャケのハラスですね。前はすっごい安かったのに、今、居酒屋で出すぎて高くなってきましたね。シャケハラスを野菜スープでことこと煮て、取れたそのn-3系の油は抗炎症性に働くんですね。炎症の高い人はおみそ汁に入れてください。

 
 

 

 

 

 

 

<食事で支える>

 
 

 

私が必ずお伝えするお母さんと子供がいてですね。これ、トシくんっていうんですけど、小児がんの子だったんですね。3歳。オムライスだけ食べられるっていうので、オムライスだけお母さんが買って食べさせていらしたんですけども、オムライスが売店にないこともある。

 
 

 

 

 

 

担当の看護師さんが、私が病院にいる頃に電話してきて「トシくんが毎晩、オムライスなら食べられるって言ってる。どうにかならないかしら」。それで厨房の調理師さんに「できる?」。厨房って、病院の給食を作るところ、調理師さんにできる?って言ったら、初日だけオムライス作ってくれて、あと、ずーっとこんなかわいいプレート食を作ってくれていたんですね。

 
 

 

 
 

 

私は、全然知らなかったんですね。毎日、トシくんのところには、こんなのが上がっていたんですね。トシくんは、食べることは本当に少なかったんですけど、一口、二口だったんですけど、すこーし食べれるようになったから元気が出たんですね。一番元気になったのは、ここを担当していた看護師さん。看護師さんが明るくなって、看護師さんが明るくなると、その部屋が今まで沈み込んでいたのが、ばーっと花が咲いたみたいに明るくなるんですよね。

 
 

 

 

最初はベッドでお母さんが、トシくん抱きかかえて暗い顔していらっしゃったのに、いいお顔になってよかったなと思っています。毎日出してたんですね。毎日出していたのは、男性の調理員だったんですよ。早出の調理員だったので、朝は5時から始まったので、4時頃から来ていて、本当だったら昼下がりには帰るのに、いつも6時まで残って、ずっと8日間、出し続けてたんですね。これが最後になってしまって、急変して、トシくん、亡くなったんですね。その調理師さんに、何でこんなことができたん?って言ったら、「いやあ、俺が結婚して子どもができたら出したいのを作っただけさ」みたいなことを言ってくれて。

 

 

でも、私たちはミーティングして、こうしたことが何だったんだろうとかって思ったんですね。看護師さんがおっしゃってくださったんですね。トシくんは、あなたたちに食べることで患者さんが支えられるってことを残していったのよ。だから、あなたたちはトシくんのことを忘れないで、出会った患者にはすべてこれをしなきゃいけないんだよねっていうふうに言ってくれました。私たちも、ああ、そうだなと思って、自分たちがやっていたことは、こういうことなんだと思って、トシくんのことは絶対忘れないって思ったんですね。

 
 

 

 

 

 

ちょっと長くなってしまって申し訳ありません。私は、ずっと食べる喜びを支えるっていうことでやっていきたいかなと思っています。生きる力の根源としての食を提案する仕組みを作ることは本当に大切だと思っているんです。望む食事ができる状況にあって、治療にも臨むほうがいいなと思います。寄り添った食事を受けられる患者さんは、幸運な患者さんではいけない。健康長寿の食事、栄養の在り方は大切ですが、人は老いを迎え、機能が低下しますし、がん治療で食事を放棄したくなるときもあると思います。でも、老いても、苦しい治療の中でも、痛みのない栄養治療で、ごちそうさまと家族で食べられる喜び、笑顔を持ち続けるような食事を私は提案し続けたいなと思ってるし、多くの管理栄養士がそう思ってるので、ぜひ私たちにできることをさせてください。以上で終わらせていただきます。

 
 

 

 

 

その⑥に続く 、次は最終回です。

 
 
▼日本臨床腫瘍学会の患者・家族プログラムです。
今回は元NHKの松本和也さんが来て、コミュニケーションをレクチャー。
紅白や英語でしゃべらナイト、のど自慢などなど、培った技術で、医療者とのコミュニケーションを教えてくれます。面白そう。トラベルグラント(交通費助成)もあり。遠くからでも行けるかもしれません。みなさんもどうぞ。
 

 

 

なかちょんに賛同いたします

 

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