2月18日おしゃべり会開催されました<報告その1> | NPO法人 肺がん患者の会 ワンステップ

NPO法人 肺がん患者の会 ワンステップ

2024年4月、10年目突入。肺がん患者・家族の「いきる勇気」につながればいいなと思っています。

みなさん、こんにちは
 
18日は五反田にておしゃべり会です
ゲストは2人 
宮崎善人会病院の押川勝太郎先生
「がん治療の虚実」というブログが有名です
 
 
 
そして国立がん研究センターの研究所所長、間野博行先生
ALKを発見された方です
 
 
 
 
 
 
集まったのは72名。会議室が満席になりました~!ヤッホー
 
 
さて今回は押川先生の講演会の一部をご紹介します
 
 
 
 
「化学療法の常識を知ろう」

・元気な人ほど効果が出て、副作用が出にくい
・安静にするほど良くない
・慎重な人ほど治療が失敗しやすい
・減塩は良くない(ことが多い)
・主治医に言いたいことを言う人ほどうまくいく
・化学療法の最重要事項は効果ではなく副作用を抑えること
 
 
 
むむむ!
なんだか気になるではありませんか!
ちょっと抜粋します
 
 
 
 
▼安静にするほど良くない
 
 
通常どんな病気の治療でも基本は安静です。
腎臓病や肝疾患の場合はその臓器の血流を増やすためですし、心不全の場合は心臓のポンプ機能を休ませる意味があります。関節炎の場合は炎症があるから負担をかける事を避ける事に意味があります。
 
 
ではがんの場合はどうでしょう。安静でがんの進行が遅くなるでしょうか?
答えはNoです。
臓器の機能障害ではなく免疫系の防衛線をやぶって勝手に増殖するのですから安静は意味がないのです。肺がんや消化器がんの場合心臓や足腰には全く関係がないのですから動き歩くことに何の支障があるでしょうか。痛みがあるのならその気も起こらないでしょうが、そうでなければ何の支障もありません。
 
 
「がん」という大病のイメージから周りはとにかく無理をするな、安静にしていろと言いますのでついそんな気になりますが、大間違いです。
足の骨や脊椎にがんが転移して病的骨折を起こす可能性があるのなら別ですが、安静にするということは重力に抗して体重を支える体の筋肉を衰えさせる非常に危険な行為なのです。
筆者が病院でがん患者さんにもっと外に出て動き回るようにとか、外泊や早期退院を促しても多くの患者さんが不安がって病院にいたがりました。短期的にはそれで良いでしょう。
しかしその間もどんどん足腰は弱くなります。立ちあがれなくなる前にまずこけて足を骨折します。おなかのがんなのに何で足を折るのか不思議に思う人がいるでしょうが、足の筋力低下する場合立てなくなる前に何かの拍子にこけて骨折するのが定番となっています。
 
 
 
当然ながらがんの治療は中断あるいは断念せざるを得ません。
この廃用症候群といわれる筋力低下はがん治療とは密接なのですが、臨床の現場以外では意外と知られていません。心臓も腰も悪くないのに自ら安静にして、その間がんのことばかり心配して挙げ句の果て筋力低下から骨折→治療継続困難となる人がどれほど多いことか。
案外がん治療を担当する主治医も無頓着なケースも多いので患者さん自ら注意が必要なのです。
 
 
 
▼慎重な人ほど治療が失敗しやすい
 
 
この言葉だけでは語弊がありますので言い換えるとがん治療には多少のチャレンジが必要だと言うことです。つまり失敗を恐れるだけでは自分の人生がどんどん狭くなっていくのです。
 
 
確かにがん治療は治療関連死が1-2%もあり、良性疾患と比較して過酷な薬物療法といえます。
それでも20年前は治療関連死が10%ぐらいあっても当たり前(特に新薬開発の場では)、副作用を緩和する支持療法も原始的。
がん疼痛に対する医療用麻薬は点滴か意欲的な病院で自家調剤するモルヒネ水程度、それさえ手続きの面倒さで病院で使ってもらえないため患者さんは壮絶な最期を迎えるというのが普通でした(そのイメージが強すぎてドラマなどに浸透してしまったほどです)。
 
 
しかし治療法は確実に進歩しています。生存期間はずっと延長し、症状も緩和する手法が確立、通院での治療が当たり前となっています。これは患者さん側の自由度がずっと広がっていることでもあるのです。
 
 
完治するのであればその間しっかり入院して治療に専念するという選択もあるでしょう。しかしstage IVのがんの場合はがんとの共存、いわば生活と治療を両立させないことには治療の甲斐がなくなってしまいます。
 
 
治療の発達で長生きできても病院にいる時間が延びるだけでは意味がありません。
最初は不安もあるでしょうが、がんの場合は自分の体の調子は自分でわかるところに特徴があります。それを利用して少しずつチャレンジをすれば治療をしつつももとの生活を取り戻すチャンスが得られます。
 
 
みな失敗を恐れますが、治療に支障ない程度の失敗であれば次の工夫につながります。またその教訓があれば徐々に自信がでてきます。
それを繰り返せば自分の限界が予想できるようになり、体に支障があろうともそれなりに過ごせるようになります。
さらに計画的に自分の行動範囲を広げることすなわち自分の人生を病気する以前に近づけることも可能となるわけです。そういった希望が持てる方は治療の不都合があっても治療意欲は保たれます。
 
 
 
一方慎重すぎる患者さんは最初の不安の壁を破れず、治療の副作用に対してもネガティブになってしまうため、ちょっと問題が起こると治療継続が難しくなってしまうのです。
抗がん剤治療は問題がある程度起こることを承知の上でおこないます。いかに問題を切り抜けて自分に合った治療に調節するかがキモですから、最初から問題が起こることを恐れすぎてはせっかく発達したがん治療を活用するのは難しいのです。

 
 
 
<皆さんからの感想を少し>
・診断を受けて間もなく、手探り状態ですが、考え込んでいられませんね
・体重が重要であること、再認識しました
・考え方として、完治ではなく、延命という現実を明言されたところ
・先生だけに任せないで、自分で考えることが大切
・もう薬はこりごりと思っていたのですが、考えが変わりました
・厳しい現実を受け入れる大切さが、より有意義な人生を送るために必要ということがわかった。
・主治医との接し方の話は今後も生かせそうです
・漠然と考えていたがんに負けて死ぬということをはっきり説明してもらい、生き方を考えさせられた
・患者力を上げて、がんと長く付き合っていきます
・医師とのコミュニケーションを考えるヒントをいただきました
 
 
 
 
 
3月4日、名古屋でも講演します。この続きが聞きたい人はぜひ名古屋へ。
またその時の様子はカメラで納めて公開します
ぜひお楽しみに
 
 
 
 
★おしゃべり会
おしゃべりタイムには9グループに分けておこないました。
手術前後 4
EGFR 7+9+8=24
ALK 12

その他 6+8
家族 5+7
合計66名
 
参加された方の感想をすこしのせていきます
 
 
・今まで家族としか話すことなく、皆さんと話すことができ、悩みが軽減されました
・家族で配偶者でないグループに入りましたが、こんなに同じ病気の悩みを共有し合えると思わず、とても有意義な時間でした。不謹慎かもしれませんが楽しかったです。
・同じ種類の方とお会いできて、自分の治療の先を走って、元気でいられるのでとても希望が持てた。色々な方と話ができて良かった。
・皆さん、一見全く健康な人みたいにみえるのにはびっくり。 自分も頑張ろうと思った。
・同じ方と話せると力が湧きます
・疑問が少し解決された気がします
・皆さんのお気持ちを聞けて楽になった
・患者同士の苦労話がきけて、とてもよかったです
 
 
 
同じ境遇の方と話すという状況は、なんていうんでしょうね、
初めて会っているはずなのに、親近感持って話ができたりします
普通の生活では、なかなかないですしね
 
おしゃべり会定期的に開いていきますので、ぜひいらしてください。
よろしくお願いします。