広島で乳がんの治療をしているひがき乳腺クリニック院長・檜垣健二です。
「自分が手術で患者さんを治したい」という思いで外科を専攻した私は、乳腺を専門とするとなるとその腕が生かせるか心配になりました。おりしも、世の中は乳がんに対して過大手術は無意味だ、と言われ始めました。
これはハルステッドといって胸筋も含めて乳房を全摘しても、乳房を温存したあと放射線治療をすれば生命予後が変わらないというデータが発表されたからです。その頃から、放射線治療医や腫瘍内科医が脚光をあびはじめ、手術の価値が下がった見方をされた時期もありました。
そんな時、ステージ0の乳がんを手術せずにタモキシフェンだけで様子を見ようというスタディが始まりました。私はどうして手術だけでも治せる可能性あるがんを・・・と心配していましたが、案の定手術をしない群に浸潤がんが発生しスタディは中止されました。
私は外科医である以上、いくつかの条件がいると思います。①確かな診断技術、②厳密な手術適応、③確かな手術手技、④きめ細かい術後管理などです。
私たち乳腺外科医は、目の前の患者さんを一から診断しなくてはなりません。この技術は手術をしなくなった私の開業生活を支え、むしろ多くの早期乳がんの発見につなげることができました。
標準治療は、どこでも誰でも同じことができて同じ結果が出せるようにしたものです。この度、新たに加わってくれた大原先生が「広島市民病院乳腺外科の手術痕はきれいですね」とほめてくれました。
そうです。広島市民病院で手術をされた方はお判りになるでしょうが、手術前日に皆でエコー検査をしてマーキングをして、最終チェックを行います。
大事な方にメスを入れる以上は、過不足ない切除を目指します。私が外科医を目指した手術の腕で、という理念は広島市民病院乳腺外科で大事に成長を続けています。
手術だけで治るがん、手術をしないと治せないがん、の多くは早いステージの乳がんです。確かな診断技術と手術適応の決定、そして手術の腕、これらを最高レベルで保持することは、どこでもできるわけではありません。
標準治療が普及した今日ではありますが、質の差が出ることはありうることかもしれません。
広島で乳がんの治療をしているひがき乳腺クリニック院長・檜垣健二でした。