記憶や記録に残らない訪室 | 広島で乳がん治療をしているひがき乳腺クリニック院長・檜垣健二のブログ

広島で乳がんの治療をしているひがき乳腺クリニック院長・檜垣健二です。

 

 70歳のその方は、9年前にひがき乳腺クリニックに来られました。右の乳がんと診断されていたその方は、この度左の乳がんと診断されました。

 幸いステージIの乳がんだったため、広島市民病院乳腺外科で一泊二日の入院で、左の乳房温存手術とセンチネルリンパ節生検が行われました。私は手術当日の夕方、その方に会うために広島市民病院の病棟に行きました。

 ナースステーションでその方の部屋を聞いて、私はベッドサイドまで伺いました。その方に声をかけると、その方は目を開けられ「檜垣先生。この度はどうもありがとうございました。」と返答されました。

 それから1週間後、その方がひがき乳腺クリニックに来られたので、その時のことをお話ししました。すると、「手術の日は夕方まですっかり眠っていて、何も覚えていません」と言われました。

 私は数年前、関東で術後に訪室した乳腺外科医がわいせつな行為を受けたと、患者さんに刑事告訴された事件を思い出しました。私は、今回の経験で二つのことを学びました。

 術後の患者さんの覚醒の程度は、客観的に判断しにくいこともある。関東の事件のようにならないためにも、訪室の際は看護師に同伴してもらおうと。

 

広島で乳がんの治療をしているひがき乳腺クリニック院長・檜垣健二でした。