オスカルさまサイドから書きます。

 

オスカルさまは去年の秋、馬車襲撃以降、アンドレが停止してるのを知ってますよね。

オスカルさまはアンドレに、「もうどこへも嫁がないぞ、一生」と言ったのに、アンドレは目頭を抑えるだけで動かず。

その後、濡れドレにドキドキ。

 

そして、これは今日のことですが、

アランの突撃チューを受けるもアンドレは救ってくれたけど、アランを殴らず。

そうアンドレは見守りの愛に移行しているのですね。・・もう彼はわたしを守ってくれないのだろうか。彼の愛はまだそこにあるのだろうか。・・と彼女は思ったのではないでしょうか。

そしてこの日の夕方?、成敗されようとしたその瞬間に彼はやってきて、父上と対峙。

見事、解放。彼女と彼は生きて今そこにいる。

 

アンドレは上着を脱いでクラバットを解き、息をついている。彼はそのままこの部屋を出ていこうとしている。

 

そう、その時、オスカルの腕がアンドレの胸元に差し出されるのです。

秀逸ですよね。この場面。「アンドレ、待て」でも「アンドレ、行かないで」でもない。セリフなし、ただ腕を差し伸べて行くてを阻むのみ。

アンドレも動けない。凍りついたまま。かろうじて瞳のみを動かして彼女を見ます。

彼女の3重の鎖が音を立てて外れますよ。

「アンドレ・・・」

そして無力を言う。部下を守れず、王后陛下のお情け、おまえの力で父の刃を逃れ。

これは身分の鎖を外していく過程でしょう。

 

そして!

「・・愛してい・・・る・・」

 

やーーったー、パンパカパーン、ついに全ての鎖が外れる時が来ました。

アンドレ、電撃を受けたかのようなショーック。

 

彼の頭の中を走馬灯のように、オスカルの幼女時代、少女時代、青年時代、今! が巡っていく!!

 

幼馴染の恋、ずっと片時も離れずにいた恋、その愛、ついに成就ですよ!

 

思うにアンドレだっておばあちゃんや使用人仲間や執事さんにしつこくしつこく言われて、愛を諦めようとしたことはあるはず。

約25年間、少年時代も青年時代も。でも離れられなかった。それはオスカルさまの性格もあるよね。アブない人だもの、決闘うけるし、酒場で酔っ払って乱闘するし、パレロワにロザリー救いに一人で行っちゃうし、アラスもサベルヌも衛兵隊兵舎も危険極まりないよ。もちろん男として生きているから危険がより大きいんだけど、それを抜きにしてもアンドレはオスカルには自分が絶対についていなければならないと思って離れられない。

 

私は人を好きになるのはもちろんその好きになった人の長所だと思うんだけど、どうしてもその人から離れられない、見捨てられないと思うのはその人の弱点だと思うのね。アンドレもそうだったんでしょう、長くにわたり、愛し、そして、結ばれることはないと思っていても離れられなかった。

 

アンドレの足が椅子を蹴る。カターン。

ベルばらの椅子壊れ率高いよね、椅子だけじゃないけど、調度品もだけど、椅子は特に投げられたり蹴られたり。

オスカルが振り向いて、また無力宣言とすがりたい支えられたい、心の甘え宣言。

「愛しているか、愛してくれているか、わたしだけを一生涯愛しぬくと誓うか。」

 

ヤダなあ、オスカルさま、そんなことわかりきっているじゃないですか。でもまあ気持ちはよーっくわかります。告白があったのはブラびりの時でそっからすごーく長かったですからね。あと、もうこれでアンドレに全て委ねるご覚悟でしょうから、やっぱり愛の誓いはしていただけないとね。

 

アンドレが手を差し伸べて

「ちかうか!?」

ここでオスカルさまの全身半裸表現(なんか変な言い方だな。裸でいいですかね。)

アンドレの胸に飛び込みます。アンドレも全身で迎えます。

「アンドレ・・・!!」

 

おめでとうございます!!!

『いつかは、愛の謎が解けて、一人きりじゃいられなくなる』

佐野元春の「Some Day」の一節を捧げます。

 

 

愛の謎を見事解き終わった2人!心からおめでとう。

誰もが課せられた愛の謎を解かないと愛の成就には至らないと思うのですが、

オスカルとアンドレは3重もの鎖を解いて結ばれるに至るのです。

 

ここでオスカルが半裸表現なのは実にいいですね。

全ての鎖を脱ぎ捨てて、アンドレの胸に飛び込むオスカル。

 

アニメはオープニングのオスカルのイバラに絡まれるシーンが秀逸なのに、

なぜ、なぜ、あのイバラがほどかれてアンドレの腕に飛び込んでいくシーンがないんでしょう!

アニメのオスカルはさー、胸の病に心細くなって、アンドレの献身に絆されて・・・っていう感じなんだけどそれは違うと思うんだよね。オスカルはアンドレに同情して好きになるんじゃないもの。

アニメはこの3重の鎖が解かれるエピソード全無視(ブラびりと馬車襲撃以外)なんだよね。愛が成就していない!

後半の監督はフェルオスだから仕方ないけど。アニメはアニメでもちろん良いところもたくさんあるけど。

 

それからアンドレによる千のちかい、万のちかい。千載一遇、万に一つのチャンスをものにしたアンドレですから。

身はてぬ夢よ以降は、前にもフランス語対照で考察したことがあるのでスキップしますね。

「生まれてきてよかった」は最初はアンドレのセリフがフランス語では男性形容詞で、後のは女性形容詞でオスカルのになっているのがすごくいいです。オスカルのセリフが(女として)生まれてきてよかった。みたいで。

 

さて、ここから最重要ポイントなんですが

手合わせチュ です。オスカルが「アンドレ」と言って、出て行こうとするアンドレを呼び止め、見つめて、見つめ合い、2人が手を握ってチュッとするヤツ。

 

やーーー、たった今、結ばれたばかりの初々しいお2人さんなのに、なんでこんな一言も交わさずテレパシーで10年選手のようなキッスができるんでしょうか?熟練すぎます。

そうなんですよ。愛の謎を解き終えた2人は過去の経験が無くなるのではなくて、過去を全部、愛の軌跡にできるんですよ!!!

それがすごいことだ。

普通のカップルだって両思いになったら、「実は2回目に会って何何について話した時から好きになっていたんだよ」とか話して甘い思いができるでしょ。

オスカルとアンドレは、3重の鎖に阻まれていましたから、それが解けた今、25年分の甘い思いができるんですよ。

もはやどこのどのシーンからもラブシーンに持ち込める。

 

最強ですね。

いや、ほんとオスカルとアンドレは愛のバイブル。なかなかうまくこんな3重の鎖がパズルに嵌め込むように組まれて解くことなどできません。

これはね、オールマイティーなのです。普通、倦怠期の夫婦やカップルは信頼し合っていても愛に再び燃えることなどできない。新しい出会い、出会い頭の恋の方が遥かに簡単です。でも、それだと不倫になっちゃうからね。できることなら、信頼し合った親しみ深い相手ともう一度恋に落ちたいものです。

オスカルとアンドレはだから愛の理想であり夢ですね。なんかうまく埋もれていた女性性(あるいは男性性)が新たに目覚めて、慣れ親しんだ相手と新鮮な恋ができればと思わない人はないでしょう。

 

 

 

さて、これで3重の鎖が解けた2人ですが、アンドレにはもう一つくびきが残ります。自分で自分にかけているものですがら、呪いみたいなものですけど。そう、「2度とこんなことはしない、神かけて誓う。」ですね。ブラびりの時ね。

これはオスカルさまが外してあげないとねーーー。

というわけで、もうちょっと続きます。