さて、ジョローデルの後ろ姿を見送っていたオスカルさま、

その足で館に引き返して父上の部屋を襲います。

(で、いいんだよね?同じ週号だし、軍服変わってないし、父上の部屋にちっちゃいロウソク見つけたから夜だし)

 

オスカルさま、ノックもしない。いきなりバタンと扉を開ける。

 

(やっばいなー、ママの部屋もそうだったけど、このウチの人たち私室に鍵かける習慣がないらしい。やっぱり7月12日も鍵かかってないかも)

(そういう楽屋の声はおいといて)

 

びっくりしている父上に

「お答えください!」

といきなり迫るオスカル

ここはオスカル対パパ将軍の最終対決シーンです。次にある成敗はパパとアンドレの対決ですから。

 

「もしも、もしも、あたりまえの女性として育っていたら、わたしも姉君たちのように・・・嫁がされたのか」

ここのオスカルの想像の顔と身体が黒いドレスの女性のドレスはいいんじゃないでしょうか?若いころのオスカルに似合いそうだよ。ばあやが作って結局ロザリーが着たドレスより似合うと思う。オスカルさま、ほんとは女性としても趣味がいい。

「クラブサンをひきアリアを歌い、着飾って笑い、絹 ビロードのつけぼくろ ばらの香料 アラベスクの化粧箱 むせかえる粉おしろい」「子をうみ子をそだて」

「おこたえください!」

って何を答えろというのでしょうか。

父将軍は

「そのとおりだ。もしもあたりまえの女性としてそだっていたら」

これだけ。あとは「オスカル」って名前を呼んでいるだけ。

 

ここではこの時代のあたりまえの女性性について語っているんですよね。

いつの時代も女性として生きるのも男性として生きるのもたいへんです。社会によって性別に課せられた役割を背負うのも跳ね除けるのも難しい。

 

この後、オスカルは自分の男性性に適した道を選び取ります。

「感謝いたします。女でありながら人間(男性社会)を生きる道を、ぬめぬめとした人間のおろかしさの中で生きることを。」

自分の性は女だけど、自分の男性性は武官として生きる道を選ぶのですね。

そして

「軍神マルスの子として」

が出ます。

これって不思議なんですよねー、まず、どうでもいいことなんだけど私はベルばらはギリシャ神話はギリシャ語表記だと思ってたんですよね。アンドレが、オスカルのことをアフロディーテさながらっていってるし。でもマルスはフランス語表記なのです。ギリシャ語だとアレース。

この像はボルゲーゼのマルス像から描いたと思う。手の位置とか被さっている布とか全然違うけど。兜(次のページのオスカルのも)はボルゲーゼのマルス像だと思います。ボルゲーゼのマルス像の顔は戦いの男神に似合わぬアンドレ似の鼻筋の通ったハンサムさん、あと大胸筋の張り方が似ていると思うので機会あったらご覧ください。

 

で、軍神マルスの子の「子」ってなによ?ハルモニアという調和の女神がアフロディーテとの間にいますけどね。

そういうんじゃないよね。ここではパパ将軍と子どもである自分をたとえて言っていると思います。

 

パパ、「オスカル」と名を呼ぶのみ。

パパ対オスカルはね、オスカルが11歳の時からほとんどパパが勝てたためしがないんですよ。大人になってからは衛兵隊に移る時もオスカルは父相手には決して負けない。娘、強い!

今回もこの結婚騒動に勝手にオスカルは終止符を打ったといえましょう。

 

パパ、ジェローデルにどうやってなんと言おうっと悩んでるね。やっぱり「うちの娘が軍神マルスの子になってしまってね。もううちの子じゃなくて」とか言うのかな。この辺ももう少し考えてみたいです。

 

オスカルの男性性はパパより強いので、もし7月13日戦闘がなく生きながらえてアンドレを従えて帰ってきたら、

「あ、明日昼から、結婚式ですから。」

とか平然とパパに言いそう。パパママの意向など無視。

 

ともあれここでオスカルさまの性自認は男性性の方だけは完全に解けて自由に。

もうね、ここでアンドレの寝ている部屋に飛び込んでいってもいいんでしょうに、彼女の乙女の女性性の開花にはもうちょっとかかります。