どうも、「はっ」
からです。
アンドレは危ういところで自分の過ちに気づき、グラスを弾き飛ばし、オスカルの上に乗しかかります。
はぁぁぁぁ、あやうい・・・ところだった。
アンドレ、またも過ちを、取り返しのつかない過ちを。
このシーン、かつてのブラびりですよ。そう強姦未遂。
ここもねええ、ベルばらにはたいへんめずらしい舞台の重複だと思います。
オスカルの失恋が2度あったのと同様に、アンドレによるオスカル押し倒しが2回。
1回目の押し倒しはオスカルの女性性を目覚めさせるのに必要だったと書きました。
2回目はオスカルのためではなく、アンドレの男性性の真の覚醒を促すために必要だったと思います。
「はあはあ」と言って
「よかった。」と涙をぽとりオスカルの頬の上に落とすアンドレ。
ここでアンドレを動かしてきた憑き物がぽとりと落ちたんですよ。
その憑き物とはもちろん「男の欲望」
アンドレの愛はとても強いですが、それはここまで男のリビドーと一体になって支配欲や独占欲に囚われたものでした。男だから当然ですけどね。
「おれのオスカル」「おれは死ぬぞ」に象徴される欲望の愛。男性らしい逞しい愛でもあります。
でも、彼はここで初めて自分の愛が実にエゴイスティックなものであると知るのです。ここで「自分勝手な」というアンドレのセリフはフランス語版では「おれはエゴイストだ」になっていて私はその訳に感動しました。そうなんです。アンドレのこれまでの愛ってどれほど強いものであったとしても自分勝手な自己愛なんですよね。アンドレ、オスカルの返事を聞いてないんだもの。
男の子って嫌われてない=好きって思い込むものだけど、アンドレはまさしくまんま8歳ー思春期。「嫌われてないから好かれてるんだ」と思い込んでいるよね。
そして暗闇の中に光が射し、彼のオリンポスの女神が1輪の薔薇を薔薇色の指で持って、オリンポスの太陽の下、彼を新たな世界の生へ導く。
あ、アンドレは割れたグラスで指切ってますけど、亜ヒ酸、素手で触ってもダメですよー。早く手を洗ってぇー。
ともあれ、ここで彼の愛は「男の欲望の愛」から昇華される。オスカルが1人の肉体を持った女から触ることのできない女神へ昇格される。
どこまで行ったかわかりませんが、彼はある部分、ここでオスカルに対する肉欲を消失させたと思います。アンドレの愛の最終形態の状態。男性の凶悪なリビドーがなく完全優しい愛の状態。あとは彼の女神の手によってその肉体の力が復活するのを待つのみ。
アンドレはどこまで考えたかわかりませんが、オスカルがそれでいいと思うのならジェローデルとの結婚も自分は許そうと思ったと推察します。自分は女神のそばでそれを見守っていくだけで良いと決心したのです。
さてアンドレ退場。私はここでアンドレはグラス持ったまま戻って来なかったと思うんだよな。アンドレのことだから遺書とか絶対書いているから、それを燃やさないとならないし。手の手当もしっかりしないとならないし。めずらしくアンドレとしては、約束した代わりのワインを持っていかなかったと思うわ。
それは次のシーンが連続でオスカルとママのシーンだから。時間は5時(セシルさんと確かめ済み)いつまで待ってもアンドレが現れないオスカルは、不安になってママの部屋に行きます。
でもって話す内容は
「アンドレが変になっちゃったぁーー」
では、なくて(笑)。
ここでまた切ります。