私の母は8年前に亡くなりました。

そういえばずいぶん前にブログをやっていて

ベルばらのことと母を書いたなあっと。

http://yasukun-create.cocolog-nifty.com/blog/2006/09/index.ht

すごく昔16年前です。ベルばら再燃2回目の頃ですね。

その中でポリニャック伯夫人のことを書いています。

(他にもベルばらフランス語版のこととか色々書いています。お時間ありましたら見てください)

そう、私の母はポリニャック伯夫人のような人でした。

なにしろ外面がいいです。

人はみんな素敵な女性だといいます。

小学校の時の友達なんてみんなうちに遊びに来た時に

「リカちゃん人形のおかあさんみたい。」

と言っていました。

「どうしてやすくんはおかあさんに似なかったの?」とも散々言われました。(しくしく)

でもうちの母は紛れもなくポリニャック伯夫人だったです。

 

ポリニャック伯夫人は、娘のシャルロットとロザリーには紛れもなく毒親と思うんですが、たぶん息子と夫は絶対そう思ってないと思います。ベルばらの作中には息子と夫は出てきてないですけどね。だって、綺麗で美人で優しそうで(男は優しそうと優しいの区別なんかつきません)、王妃さまの慈悲を受けて、落ちぶれた伯爵家を建て直してくれるんですから。職も斡旋してくれるしさぁ。

 

うちの父と弟なんて母が亡くなって8年たった今でも「あんな素晴らしい妻はいない。」「優しい綺麗な母だった。」とか平気で言うもんね。男家族にとってはいいんですよ。ポリニャック伯爵夫人。でも、娘にとってはきついです。何でだろう?そこを考えてみたいと思います。

 

息子に職を勧める時は「○○くんには、××の仕事が向いていると思うのよ。」と言って、息子も「うん、僕 ××をやってみたい。」「それなら、今度王妃さまに聞いてみてあげるわ。」と微笑まれて、感謝感謝の関係。

でも娘には、「ド・ギーシュ公爵と結婚しなさい。我儘は許しません。」になっちゃうのよね。

男の子には誘導だけど、娘には強制で退路を断つ。そう退路を断つところがポイントかな?政略結婚させる親は時代的にたくさんいると思うんだけど、シャルロットは自殺まで追い込まれてしまうのです。

 

うちの母がポリニャック伯爵夫人と似ていると思うところは、モラルの無さだと思います。ポリニャック伯爵夫人は悪の権化じゃないんですが、罪に対して鈍いのです。自分を正当化するのがとても上手い。娘は自分の一部というか部品だと思っているので、自分が耐えてきた道なら何でも強制する。本人はそれが当然だと思っているからタチが悪いですよね。

 

結果、シャルロットは自殺。

ロザリーはポリニャック家を家出。

 

シャルロットは母の偽善に気がついているんですよね。叔父さんたちがオスカルさま襲撃したのを見破っていたもの。なかなか鋭い娘だ。母、全く反省しません。道徳的な感覚が全くないんです。あんなに優しそうで綺麗なのに。シャルロットは追い詰められてしまう。シャルロットは憧れの王子様オスカルに救い出して欲しかったでしょうね。オスカルさまが男だったらどこかにさらって欲しかったんだと思う。

 

ロザリーはシャルロットの身代わりに結婚させられそうになって家出。これって、ポリニャック伯爵夫人なら当然考えることだよ。それ以外にどうしてポリニャック家に引き取るのよ。彼女は全然反省しない人だからね。

私はどうやってポリニャック伯爵夫人が夫の伯爵を言いくるめたのかが気になります。未婚で生んでしまった時の娘を今の夫の家の籍に入れようって。凄腕だな。ロザリーはパリの下町育ちの強さがあるし、下町に家がある(隣のおばさんちかも)ので逃げ場があった。よかった。

 

因果は巡るのでロザリーもきっとポリニャック伯爵夫人の気質を受け継いでいると思います。

 

うちの母はベルロザ(ベルナール×ロザリー)が好きでした。さらわれ願望があるのね。これはね、家庭環境だと思います。囚われた家から救い出してくれるのを待っているのです。実際、彼女(母)は、そういう結婚をして(駆け落ち婚に近い、そう言うと怒ったけど)新しい家庭を作った人です。


ロザリーはさあ、1人息子だけで娘ができなくてよかったよ。娘がいたら里親に出しちゃいそうだ。だって、危ない革命思想の新聞記者で元盗賊の夫と年中逃げて隠れているような生活なんだよ?追い詰められてもうこれ以上可哀そうな思いはさせられないとなったら、生みの母はあの通りすごい毒母で養親がすごく良い人なんだもん、良い人がいたら預けちゃうと思うね。そして、その時にもし息子と娘のどちらか一人だけ預けるとしたら絶対娘を預けるね。うちの母がそういう人だったもの。潔いくらいすっぱり息子優先でしたよ。


ロザリーの養親、ジャンヌの実母ラ・モリエールさん(アニメでは二コラさん)は、普通の良い人ではない、超良い人。源氏物語の紫の上ですな。普通の良い人はそういう状況と縁があれば見知らぬ孤児を育てることが何とかできると思いますが、恋敵の娘を引き取って育てるというのは難易度S級です。あ、もっとすごいかもしれない。紫の上は、夫の源氏に頼まれて明石の上の娘を引き取るけど、ニコラさんは手をつけられた男爵に頼まれたわけじゃないんだもの。世の中にはステップファミリーで前妻の娘を自分の娘と一緒に育てている人もいますけど、夫に頼まれて夫の協力あってのことですよね。ニコラさんは常識を外れたトンデモない人なのかもしれません。


こういう超超S級の良い人に育てられたロザリーは、そういう人に出会ったら、迷うことなく娘は預けてしまうと思う。息子は手元に残しそうだけど。隣のおばさん(亡くなったピエール坊やの母)とかだったら預けてしまいそうだなあ。

 

 

ポリニャック夫人とロザリー(フランソワ連れ)の2人が、亡命中にどっかの国でばったり出会ったら面白いですね。

「ああっ!!」

「ロザリー、よく生き延びていたわね。」

「あんたもね!!」

ヒューーーーッとか風が吹き巻いちゃう。

「それは、あなたの息子?私の孫?」

とか手を差し伸べて、

「触んないで!」

とか言われちゃう。

 

長くなるのでこの辺で一度切ります。