<シスターズ> 現場の柱 ナム・ジヒョン

 

 

俳優ナム・ジヒョン (27) は、デビュー19年目の実力を誇る「現場の柱」だ。長年で培ったノウハウを基に、現場では余裕があり安定した演技力でリードするためだ。それは共演のキム・ゴウン、パク・ジフも認めるところだ。


9日に放送が終わったtvN週末ドラマ <シスターズ> でお茶の間に戻って来たナム・ジヒョンは、以前とは違うカラーを見せた。三姉妹の2番目で、ずば抜けた使命感の記者オ・インギョン役に扮し、果てしない正義感と執拗さでストーリーの軸を牽引した。しかし、裏では酒をやめられないアルコール依存症と、行き過ぎの行動で非難を受けることもあった。このような好き嫌いに分かれる反応を予想していたと淡々と語ったナム・ジヒョンは、「次から次へと難題が起きてドタバタもあり手に汗を握ったと思うが、最後まで見てくれた視聴者の方々に感謝する」と挨拶し明るい笑みを浮かべた。長年の演技経験による余裕がインタビューにもにじみ出ていた。
 
 
 
 

放送が終わった感想は。
個人的にはとても満足できる結末だった。ところが、予想していなかった視聴者の反応が多かった。「ここまで解釈できるんだ!」と思った。最も驚いたのは、私が一番の悪役という解釈だった (笑)。これは考えてもいなかった想像で驚いた。

 


インギョンは好き嫌いが分かれた。
予想していた反応だった。最初に台本を読んだ時から予想していたし、インギョンだけでなく三姉妹も好き嫌いが分かれると思った。その反応で傷ついたり落ち込んだりしなかった。ただ、思ったより好き嫌いがはっきりと分かれて、後でインギョンが事件を解決する過程さえ不満ならどうしようと少し心配した。けれど、とても頼もしい監督と作家がいて大丈夫だと思った。

 


記者役で準備した事は。
レポートのシーンがあったので報道レポーターさんがいた。ドラマにはあまり出てこないが、重要だと思って撮影が始まる前の2か月間、4回ほど会ってレクチャーを受けた。記者さんも忙しく、私もドラマ撮影のスケジュール変更もあり、撮影が始まってからは録音ファイルでフィードバックを受けた。時間がある時は現場に来て見てくれた事もあった。

 
 

これまでのキャラクターとは雰囲気が違っていた。
これまでのキャラクターは、応援されたり興味を持たれてドラマをリードするキャラクターが多かったが、インギョンはそんなタイプではなかった。人に何と言われようと、自分が正しいと思うことに進むキャラクターだった。「あなたは、だからこうなんだ!」と、一足遅れて追いかけてわかっていくキャラクターだと思うので、今までとは違う姿を多く見せられそうだった。ミッションを持って出勤する感じで撮影現場に行った。視聴者の方々が初めて見るようなシーンは、大叔母とのシーンや、大勢の前でジェサンについて暴露するシーンではないかと思う。今まで堂々と誰かを攻撃するようなドラマはあまりなかったが、そこが新しかったと思う。

 


酒に酔って暴れ回り妹を探すシーンは、いくら演技にしてもやり過ぎかと思った。
私には姉がいる。酔った姉が、皆が静かにしている中で大声を上げる想像をしてみた。ドラマでは妹のイネが電話番号をブロックだけで、いい子だなと思った。インギョンがそんな行動をするのはわかるような気がした。イネを愛しすぎてそうなったのに、愛しているあまり間違った行動に出てしまった。それは現実でもよくある事だ。完璧な人がいないように、相反する面も同じ所にある人物だった。正義がほしいのに正義のために働くには酒が必要だった。酒を飲まないと勇気を出せないキャラクターだった。深みがあって相反する両面を魅力に持ち、さらに魅力的だった。

 

 

 

 

家族の反応は。
リアクションが激しい方ではないが「次回が楽しみで面白い」と言っていた。姉も、周りから「面白い」とよく言われると言ってくれた。姉は3歳上で、幼い頃からあまり喧嘩したことがない。仲はいいが性格は全然違う。インジュ、イネ、インギョンが姉妹なのが自然に受け入れられた理由でもある。



実の姉とインジュの似ているところはあったか。
インジュにはいつも一撃がある。そこが似ている。たまに姉を見ていると、あんなに感情的でもいいのかなと思うが、私には絶対に考えられないような奥深い姿がある。一番目だから、そんな一面が出る時がある。一番目の特徴のようだ。



一番好きなシーンを挙げるとしたら。
この前の回で、ジェサンの不正をニュースで暴いた。そのシーンはセリフもセリフだが、インギョンがジェソンから主導権を奪ったシーンだと思う。ジェソンには緊張感が漂い、インギョンは落ち着いていた。感情でぐらつかず、全てを出せてすっきりした。

 


現場での呼吸は。
三姉妹が一緒にいるシーンはあまりなかった。もっと一緒のシーンがあったらどうだったかなと思う。最初から心地良かった。イネは見るからに可愛かった。鋭い言葉を姉たちに放つ。ところが傷つくどころか、その言葉がピッタリで、(私も) 鋭い言葉で返せなかった悔しさが大きかった。そう感じさせたかったが、それを感じさせるには申し訳なくて、少しだけ理解できた。インジュと言い争うのも自然だった。切羽詰まって厳しい時、お互いがお互いを探すのが良かった。

 


先輩のオム・ギジュンとの呼吸はどうだったか。
周りから、先輩と演技するのが大変ではないかと聞いてきた。前作 (ペントハウス) では、ものすごい悪役で、悪役の頂点にいる方との対決なので、そう思われたと思う。ところが先輩と演じる時は負担が全くなかった。とても楽しかった。実際、オム・ギジュン先輩はジェサンと似ている所が一つもない。とても良い人。二人が対決するというより、明確な意見の違いと価値観の違いによる熾烈な頭脳戦のようだった。先輩と対決するシーンは撮っていても面白かった。

 


共演のキム・ゴウンさんが、あなたを「現場の柱」と表現していた。
本当の現場のムードメーカーは監督と撮影監督、ゴウン姉さんだった。ユーモアのセンスがとてもいい。笑いが絶えない現場だった。私はリアクションが上手だ。その方々を見ながらリアクションして楽しく撮っていたら、自然にそのようなポジションになった。(「現場の柱」というより) 安定感を与える役だったように思う。ノウハウというより、幼い頃から演技してきたおかげだと思う。現場であたふたしないのが長所だ。ドラマの現場では予想しなかった事がよく起きる。スケジュールを組んでも、その通りにできない事が多いが、そんな時でもあまり動じない方だ。

 


キム・ヒウォン監督、チョン・ソギョン作家とのタッグはどうか。
キム・ヒウォン監督は前から知っていた。台本に作家の名前があったが、その作家だとは知らずに読んだ。「(映画の方の) チョン・ソギョン作家と名前が同じだ」と。「台本がとても面白い」とスタッフたちと話していたら、有名な作家だった。私が知っていた作家だった。この組み合わせなら何がなんでもやらなければならないと言った。作家と会った時、インギョンの人物像をどう書いたかくわしく話してくれた。監督とはそれを基に悩みを解消したりした。作家に次いで監督ほど台本について気を配った方はいなかっただろう。ドラマがとても複雑なのに、頭の中にある感じだった。どんな選択をしたらいいか分からなくて悩んでいる時に助言を仰ぐと、ためらうことなく答えてくれた。頼もしい隊長だった。

 


どの部分に一番気を使って演じたか。
インギョンについて思ったのは「世の中にここまで粘り強く生きる人がいるだろうか」ということだった。私が説得できなかったが、うまく表現できるかこの部分には悩みが多かった。報道レポーターとレポートの講義をしながらいろいろ話をしたが、作家は何かを悟って台本を書いたようだと言っていた。(記者が) 一つの事を追いかけて、パズルを合わせていくように世の中に知らせる快感と喜びや、やりがいが何かをわかっている人たちが記者をしているのだと。そう感じ始めると中毒になって、それができる人だけが記者になるという。世の中にこんなふうに生きている人がいるんだと思った。その時からインギョンがどんな行動をしても理解できた。表現する時も果敢にやったようだ。

 


撮影で大変な事も多かったと思う。
これを全部撮れるのかと思ったが、6か月で全部撮った。放送が始まると時間が早く過ぎて行くのはわかっていたが、それ以上に早かった。8話以降は展開が本当に嵐のようだった。あっという間だった。12話で完成度が上がったまま終わるようで満足できる作業だった。

 


今回の作品で興味をもった点は。
今は各々の好みやアルゴリズムによって見るでしょう。各々の解釈で楽しんでいる。そんなのが良かった。YouTubeをよく見るが、公式動画ではなく、自分の推測やレビューで作っているのが不思議だった。また、ドラマの序盤でマウスウォッシュではなく、お酒だとわかってしまったでしょう。道徳的にどうかと思うシーンだが、私がそんな役をしたことに衝撃を受ける方々がいた。倫理面で問題のありそうなキャラクターをした事が新鮮だったようだ。私はそこは気にしなかったが、そんな反応を見ていたら今は悪い役をしても興味深く受け入れることができると思った。

 


もし700億ウォンが手に入ったら、何に使うのか。
本当に大金なのは分かるが、どれほどの大金か想像できなかった。どんなルートで入ってきたのか、そこが問題だと思う。インジュのように、仲のよかった先輩が大金を残して死んだとなったら、どんな事情が絡んでいるのかわからなくて使えないと思う。気楽に使える700億ウォンがあったら、家を買って飾っていそうだ。家では自分だけの空間を大切にする方だ。インテリアに凝っていると思う。残りはどう使ったらいいかわからない。良いことに使わなければ。全部持っていたら気が気ではない。

 

 

 

 

心理学を専攻した。演技に役立っているか。
個人的に学部生課程までして、さらっとやり方で学んだ。深くは学ばなかった。心理学というものは、私に観察と探求を要求するという点だ。私に絶えず問いかけ、私も答える。それが演技に役立った。自分をよく知り、詳しく突き詰めたことが演技に役立つようだ。それが影響したとは思うが、直接何に影響があったかはわからない。キャラクター分析をする時は、人生で得たほんの小さな様々な経験が活きてくる。

 


実際のナム・ジヒョンはどんな人か。
人生の生き方ともいえると思うが、だからやる事も多く、起きたら起きたでやる事も多い。急いで考えないようにする方だ。自分のペースで行くのが大事だと思う。演技の仕事をしていると多くの決まりがある。時には、その決まりに揺らぐ時もあり、私一人で選択して作っていかなければならないことも多い。毎回変化しながら、少しでも成長できるようにゆっくり行こうと思う。

 


普段からお酒を楽しむほうか。
おいしい物と一緒にお酒を飲むのが好きだ。酒を飲もうと思って飲む方もいるが、私はそうやって飲むタイプではない。いい人たちと話して、たくさん食べるなら食べるし、食べないなら食べないし。



俳優という職業を選んだ理由は。
気がついたら俳優になっていた (笑)。スタート自体が特別な意味があるわけではなかった。初めて放送の仕事をする時、両親が俳優をやらせようと思ってやらせたのではなく、なかなかできない経験なので、いろんな経験をしてほしくてやらせたが、どういうわけかうまくいったケースだった。気がつけば、この道を歩いていたのも事実だし、この職業が私に与える意味が何なのかを考えるようになった。その意味を探すのに思ったより長くかかった。20代の初め、「こんなに難しくて大変なのに、一生やるにはどうすれば楽しくできるの?」と考えた。何が満足できる仕事なのかと考えあぐね、かなり落ち込んでいた。



低迷期をどう克服したのか。
それは、ドラマ <家族なのにどうして> の時だった。ユ・ドングン先生 (豆腐屋のお父さんスンボン)、ヤン・ヒウン先生 (スンボンの妹スングム)、キム・ジョンナンお姉さん (スングムの娘ヨンソル)、キム・ヒョンジュ姉さん (スンボンの長女ガンシム) などが出ていた。「あの方々は何十年もやってるが、どうやって続けてきたのだろう?」と思って、それとなく観察してみた。でも、とても楽しくされていた。先輩たちもあんなに楽しくしているのに、私はどうしてこんな心配をしているのかと思った。プレッシャーと重圧から抜け出した。キャラクターの表現はいつも完璧ではないが、最善を尽くせば意味があると思った。



それをきっかけに演技をする時の心構えが変わっただろう。
ドラマ <ショッピング王ルイ> からミニシリーズの主人公を演じることになった。ミニシリーズ初主演なので重荷になるのでは?とよく聞かれたが、そうは思わなかった。初主演なので失うものはなかった。ソ・イングクさんとイ・サンヨプ監督と楽しく撮影し、終わるまで辛い事もなく、この作品をやり遂げたらそれで終わりだと思った。それまでのようにプレッシャーや重圧が強く残っていたら、そんな気持ちにはならなかっただろう。単純に考えて、簡単な目標を決めて役をこなす事に集中したのが良かったようだ。



子役出身俳優の活躍が続いている。
もう子役の演技、大人の演技と分けないようだ。上の役をカバーするのが子役出身には難しい課題かと思うが、子役演技、大人役演技と分けないようにした為、そう難しくはなくなった。(ヨ) ジング、(キム) ソヒョン、(キム) ユジョンを筆頭に、その役割を果たしてきたようだ。子役出身の俳優たちは、互いによく知らなくても同じ職業ということで親近感が生まれる。ドラマ <ロビイスト> の時、(パク) ウンビンお姉さんと姉妹役で共演したことがある。学校も学科も同じだが、学校で一度会った。二人ともとても小さかったので連絡先までは知らない仲だったが、昔の縁があるので (ウンビンお姉さんが) 順調にいっているのを見ると胸がいっぱいで嬉しい。いつか子役出身の俳優で集まって、何か作品をしても面白いのではないかと思う。

 


幼い頃から学業と演技活動との並行が大変だったのではないか。
大学を卒業して初めて一つの職業になった。これで「俳優」という職業カテゴリーに初めて登場することになった。前までは学生と俳優を並行していた。今は俳優だけが残った。それが嬉しい。それまでは (並行が) 大変だとは知らなかったが、並行してみると大変だったと思う。その時があったので、今はいくらか自由を感じられるが、26歳で卒業して好奇心にあふれてエネルギーも十分ある。色々な事に挑戦してみたい。

 


どんな俳優になりたいか。
はっきりと目標を決めるタイプではないが、見る方それぞれに解釈がある俳優として残っていきたい。俳優と言えば思い浮かぶイメージがあるかもしれないが、人それぞれにイメージは違うでしょう。そんな感じで残ればいいと思う。一つはっきりとしたイメージよりも個人の感じ方と記憶の中に存在する人であればと願う。

 


今年でデビュー19年目だ。20周年に向けて計画しているイベントはあるか。
30歳になる2024年がデビュー満20周年になる年だ。その時は何か新しいことをしたい。何かをするとは思うが、守れないかもしれないから今は言えない (笑)。ファンの皆さんに新しいものを見せられる、そんな気持ちになるいいタイミングだと思う。これを口実に、普段できなかったことをすると思う。待っていてほしい。

ファン・ソヨン エンターニュースチーム記者
写真 マネジメントSOOP

 

20221015 jtbcニュース

 

 

 

チョン・ソギョン作家のインタビュー