「信じて見る俳優」ナム・ジヒョン、疲れない原動力は!?
「後悔したくないです」。後ろを振り返ることも、先を見超すこともない俳優ナム・ジヒョンの今日。
 
 
 
 
いよいよ明日は <シスターズ> の初放送ですね。今の気持ちはどうですか。
初放送や最終回に心を動かされる方ではありませんが、今回のドラマは早くお見せしたい気持ちです。これまでは出来上がった編集本が気になる感情が先走っていましたが、今は <シスターズ> の話を多くの方と共有したい気持ちが大きいです。ワクワクして楽しみです。
 

作品に自信が感じられますね。
今後このようなチームにはなかなか会えないだろうと思いました。キム・ヒウォン監督、チョン・ソギョン作家、俳優の方々、他にも現場で苦労しているスタッフの方々、全てがうまく合っていたようです。そのおかげで現場で自信を得られたので、お見せすることに恐れはないと思います (笑)。滅多に出会えないような作品で、今の感情もあまりないことなので、嬉しく受け入れて自信を持ってみようと思います。
 
 
 
 
理性があって使命感にあふれる記者「オ・インギョン」役を演じました。とても複雑でリアルな人物だと聞きましたが、キャラクターの解釈はどうしましたか?
「インギョン」というキャラクターは、キーワードでは定義しにくいです。仕事では情熱的ですが、考えこむ人なので単に情熱的な人と断定はできません。ストーリーも序盤では色々な事件があちこちで起きて、話が進んでいくうちに一つの軸に沿って掘り下げていきます。「それぞれの事件にどんな関連性があるのか、どうやって演技で表現していくか」とかなり悩みました。その度に監督と何度も話し合いました。
 

確信が得られた対話はありましたか。
「インギョン」は一つの事件をとことん最後まで追いかけます。こんなセリフがあります。「姉さん、この記事を書けなかったら死にそう」。そんなインギョンを見ていると「ここまで追いかけていける人が本当にいるだろうか?」と思いました。現職の記者さんにレポートした授業でこの話をしたんですが、記者さんがおっしゃっていました。「そんな粘り強い人たちが記者をしているんです」と。インギョンをどうやって説得力があるように見せられるか悩んでいたのが解消された時でした。
 

ジヒョンさんと似た部分がありますね。デジタル映像を撮影しながらそう思いました。一つを始めると地道にやるスタイルだと。
そうですね! でも、私は「インギョン」ほど粘り強くはないと思います (笑)。それで理解できなかったんだと思います。地道なところは私ができる範囲ですが、それが果たして粘り強さまで続くかと思ったんです。実際に作家さんが記者を準備したそうです。授業をしてくださった記者さんも台本を見て、作家さんが記者の特徴をよく理解しているようだとおっしゃっていましたが、そんなところが「インギョン」を理解するのに役に立ちました。
 
 
 
 
チョン・ソギョン作家との作業はどうでしたか?
私は現場で監督と話し合って、監督がくださるディレクションに合わせて演技をするスタイルです。本当に答えが分からない時は作家さんに聞きに行く方なので、作家さんとはあまり話を交わすことができませんでした。後になって知りましたが作家さんは、インギョンから質問を浴びせられると覚悟していたが、思ったより質問がなくて「大丈夫かな?」と思ったそうです。一生懸命に釈明しました (笑)。
 

釈明はうまくいきましたか?
うまくいったかはどうかはわかりません (笑)。それでもオ・インジュ (キム·ゴウン) とのシーンでは、作家さんが思っていたより姉妹のように見えたとおっしゃいました。インギョンが唯一感情を表わすのがインジュの前だと思って演じたが、(インジュは) しっかり掴んでくれました。本来の意図より豊かになったというフィードバックを聞くととてもありがたいです。
 
 
 
 
今回の作品で、同世代の若者たちが主人公の話をしたかったというチョン・ソギョン作家のインタビューを見ました。20代ナム・ジヒョンの青年期はどんな姿ですか。
大学に進んで大人の演技に移る時に急に怖くなりました。高校の時までは入試という目標に向かって走っていましたが、大学に入ってみるとすべてが個人的なことになりました。何かと選択も変わって、その選択が保障されていない道もあって負担になりました。演技を早くから始めたが、それでも「私には今後も成長できる機会があるのかな?」と悩みが大きかったです。私にはそれが重要なんです。今に留まらず、少しでも良い方向に進むこと。でも、悩みを抱えているだけではありません。それで今できる目標を一つずつ立ててみました。一番の目標は「大学を無事に卒業すること」。仕事を並行しましたが、学校生活に最善を尽くしたので、卒業する頃には自分ができる事は全部やれたなとすっきりしました。
 

ひとつのチャプターを終えたような感じですね。
卒業してから自由な世界が開けました。「自分の人生を自分で育むというのは、こういう感じなんだ」と初めて感じたんです。今までそうやって生きてきたと思っていましたが、いつも義務のように生きてきたようです。それで思ったのは「人生に終わりはないんだな」でした。自分の意志があれば、自分ができる事と学べる事は無限に増えるので、退屈する暇がないでしょう。だから年を取るのも今のところ怖くないです。
 
 
 
 
今が充実しているからではないでしょうか。少なくとも未練は残らないから。
そうです。自分に何が最も重要なのか、何に集中しなければならないのかを意識しようと思います。未来を漠然と想像するよりは、今の自分に集中する方がずっと有効的です。仕事を小さい頃から始めたので、社会生活で年齢が与える意味のようなものもたくさん感じてきたのではないかと思います。
 

現実的な人ですね。
仕事をする為の自分なりの方法でもありますが、すべてが終わった時を想像しながら今に最善を尽くそうと考えています。後悔したくないです。仕事をしていると何故かうまくいかない瞬間が来るものですが、その度に全てが終わってこの瞬間を振り返った時を考えながら耐えています。すると力が出たり、不安が解消されたりします。
 

自分にも厳しい方ですか?
そうだと思います。特に仕事にかけては皆さんが送ってくれるフィードバックも重要ですが、自分がどう見えているかも重要だと思うんですよ。自分がどんな考えで演技をしているかは自分だけが知っているので、客観的でなくてはいけないと思います。上手くできたことより足りないことのほうを注意深く見なければならないし。
 
 
 
 
MBTI (性格診断テスト) は、Sですよね?
はい! NになれないSです (笑)。
 

今日より明日のほうがもっと良い人になるという動力はどこから出るのでしょう。
周りに良い方が多いおかげです。私もこんな考えをする時があります。「今、私がやっている事は正しいのかな?」と。その度に周りの方々が心配を減らしてくれます。それが積もって、私を励ます力になるんだと思います。果ては仕事を進める方法にもつながっているようです。作品やキャラクターを選ぶ事もですね。
 

ナム・ジヒョンという名前の前には「作品を見る目が良い俳優」という修飾語がよくついています。
様々なジャンルをやってみたいという目標はありますが「このジャンルが終わったから次はあのジャンル」とは思いません。作品を選ぶ基準があるにしても、作品から選ばれなければなりません。私に入ってきた作品の中で前とは違うキャラクター、その中でも私がうまくできる役をしようと思います。そうして少しずつ多彩になれたと思います。その修飾語にとても感謝して、これからも守っていきたいです。
 

負担ではないのですね。
私一人で作った修飾語ではないと思うので負担にはなりません。むしろこれから私がすべきことを明確に示してくれるようです。修飾語を守っていく為には、これからも勉強する事が多いですが、私はそこがいいです。できるだけやってみようと気を引き締めるようになります。
 
 
 
 
子役の時から俳優をしてきた時間が鍛えてくれたのでしょうか? 仕事に対する責任感のような。
無意識に芽生えたかもしれません。幼い頃の記憶は一瞬のシーンでしか残っていませんが、その時の話を聞いてみると「やりたくない」と一度も言ったことがないそうです。その時の私には嫌だという選択肢がなかったようです。どうすれば上手くできるかだけを考えました。生存本能のように褒められたかったのだと思います。
 

幼い年で働くということは、自分の意志が大きく反映するわけではないですからね。自分は俳優だと自覚した時に混乱しませんでしたか?
それは大人役の演技に移る時でした。演技を一生するつもりでいるが、どうすれば楽しくできるかで混乱しました。答えを見つけたのは <家族なのにどうして> という週末ドラマをしながらでした。30年以上、演技をしてきた先輩たちを見て、無駄な悩みをしていたと気づきました。経歴が長くなってもいくらでも楽しくできるのに怖がっていたんです。
 
 
 
 
最近、個人的に感じる幸せは何ですか。
最近、休みの日はほとんど運動ばかりしています。少しは管理をしなければならないと思い始めたのですが、体力も向上し、生活パターンを健康になりました。休みの日も、そのくらいのエネルギーを使っていたほうが疲れないんです。
 

撮影は大詰めに入りました。撮影が終わったら何を一番したいですか?
また普段の生活に戻りますよ。まず、運動する日を決めておいて、新たに何か挑戦できないかみつけようと思います。
 

つまりそれが休みなのでは?
私にはそれが休みのようです。あ、寒くなったら友達とキャンプに行くことにしました。行ってからもう少し考えてみます (笑)。
 
 
FeatureEditor チョン・イルホン
Photographer カン・ヘウォン
Stylist コ・ユンジン
Hair チェ・スフン
Makeup クァク・ヘリョン
Assistant キム・ミナ
digitaldesigner キム・ヒジン