クァク・ドンヨンのキャンパス

 

ネオンとレトロな雰囲気が漂い、グレーの濃淡に染まった乙支路 (ウルチロ) の下町にクァク・ドンヨンを招いた。演劇舞台の上を掻き回すように、彼の世界は個性にあふれている。

 

 


 

 

 

この乙支路 (ウルチロ) は、数年前からトレンドが感じられる場所、ホットな場所として人気だ。

この前、たまたま乙支路 (ウルチロ) に来た時は、にぎわっている所を中心に見た。今日は、あまり知られてはいないが人気があって噂の場所で撮影してみると、新旧のバランスが上手くとれている印象だった。多種多様な職業や年齢の人が集まる不思議でおもしろい所だ。

 

 

花金の賑やかさが感じられるのでは?

前に来た時は平日だったので、その時に比べるとかなり賑わっている感じだ。こういった新しくて個性的なソウルの文化を楽しみたい外国人がかなりいるようだ。前に来た時も観光客と写真を撮った。僕の名前は知らなくてもドラマで見たと言って喜んでいたよ。ありがたいことだ (笑)。

 


友達とは主にどこで会うのか?

カロスキル。清潭洞 (チョンダムドン) あたりに長く住んでいたので、行きつけの食堂もみんなその辺りだ。時には行った事のない所へ旅に出るのも良いけれど、今は慣れた場所が良くて、気楽だ。自分の庭のような感じで寂しくないし。
 

 

ドラマ<二度はない>にキャスティングされたが、ホテル社長の孫役だ。

ソウルで永く営まれている「楽園旅館」に集まった様々なワケありの主人公たちが、「人生に二度はない」と気持ちをひとつにして家族になり、その旅館と悪縁のある「クソンホテル」との二家族の人々が繰り広げる話だ。クソンホテルの後継者で経営本部長のナ・ヘジュン役を担ったが、情に厚く天真爛漫な面もあって、自分が生きてきた環境と比べると、傍若無人で一匹狼のような自己愛に満ちた姿も見える。自分とは96%ぐらい違うけれど (笑)、ナ・ヘジュンのシックでクールな性格に、クァク・ドンヨンの性格をちょっと足して熱くエネルギッシュな人物にしてみた。

 

 

ナ・ヘジュンという人がますます気になる。

ナ・ヘジュンは完成度にこだわる。完壁を追求する。人の道に外れるのが耐えられないし細やかな情もある。何でも縛られるのが嫌で、自分に害が及ぶのも嫌だが、しまいには足を突っ込んでしまう「おせっかいキャラ」だ。ナ・ヘジュンを究める方法は与えられた台本に忠実なのがまず大事だ。本や映画、他の作品、友達を通じて得た間接経験も大事だが、最近は漠然と頭に浮かんでくる。ヘジュンは淡いピンク色で角 (つの)が出っ張っている熊のような感じだ。そこに自分の言葉でイメージトレーニングをしている。

 

 

<棚ぼたのあなた>から久しぶりの週末ドラマだ。先生方 (ユン・ヨジョン、ハン・ジニなど) と一緒にすることになったが、現場の雰囲気に違いがあると思う。

これまで多くの作品に恵まれたが、ほとんどは同年代との作品が多かったが今回の現場は全く違う。同年代でぶつかる事も良いが、この道を永く続けてこられた大先輩の方々との呼吸が懐かしく、また必要な時だった。先生方と一緒にできる作品なのでとてもうれしいと同時に緊張するのも事実だ。このような緊張の中で演技する良さもあったよ。リフレッシュにもなり、姿勢を正す良い影響になった。

 

 

 

 

今まで演じた役の中で、自分と似て愛を感じる役は?

あぁ、本当にこれは思い出すだけでも幸せだ。どれか一つを選ぶのは難しいくらい多くの作品をして、胸がいっぱいになる。あえて一人を選ぶなら、<雲が描いた月明り>のキム・ビョンヨン。若い仲間と一緒に仕事をして、生まれるシナジーの最高峰ではなかっただろうか。良い影響を与える仲間が集まった作品なので、明るい雰囲気と余韻がまだ残っている。自分でも撮影の瞬間がマイレージのようにたまって、役を少しずつ完成に近づけていく感じだったから。

 

 

小学校の時は合気道や色々なスポーツをしてきたようだが、一番好きなスポーツは?

アイスホッケー。何年か前、アイスホッケー選手のドラマスペシャルに出たが、その役のために練習をしていたらすっかりハマってしまった。ドラマが終わった後に同好会に入った。仕事が決まれば、ケガをすると危険なので回数を減らすが、休みの時はよく通った。アイスホッケーは本当に魅力的なスポーツだ。

 

 

最近、何か体を動かしているか?

ウォーキングを始めた。ランニングは普段からよくやっていたが、歩くのとはまた違った魅力があったよ。走ると効率良く運動の効果が得られ、息があがった時の心地よさがある。歩くと、とてもリラックスできて体の内から汗が湧き出てジワッと熱くなる。なのに頭はすっきりとクールだ。何も考えらずにいられるのはウォーキングだけだ。

 

 

運動が好きな人は勝負師の気質があるというが、今の自分にどんな勝負をしかけたいか?

常に持っている考えは、俳優の仕事を辞めるその日まで、演技で汚点を残すことはやめようという覚悟だ。それには健康が一番だ。自分に「いつまで栄養剤を飲むのか」という賭けに出ている。誓いというか。面倒になってやめたい時もあるが、朝食を用意して食べる自分に「こいつ、大きくなったな」と感心する。

 

 

「ジョンミとの出会い」でクァク・ドンヨンの素顔を見た。子犬が大好きなようだ。ペットと暮らしているの?

ひとり暮らしだ。仕事で出かけている時、家に一人でいる子犬の事を思えばできない。自分の寂しさを紛らわすためにペットと暮らすのはわがままな欲ではないのか。それでペット見守りとして、ほんの小さな幸福を感じたくてジョンミに会ったのだ。そんな出会いができた事が不思議でしょう? 僕のSNSがオススメに上がるとは夢にも思わなかったが、本当に楽しくて良い思い出になった。服も頑張って作ってみたけれど似合っていたかな? 初めて会った時、本当に手の平ほどの大きさだったが、今は大きくなって果樹園の末娘として元気に飛び回っている。この前、子犬を世話するバラエティ番組 (注:MBC ずっと見ていてもかわいい) にちょっと出たことがあったが、この子が与える力と癒しを間接的に体験してみるととても良くて、ペットの犬がいる自分の未来を夢見ている。

 

 

SNSをのぞいてみたら自由な魂のようだ。酒はどのくらい飲むか?

酒の量は、体から信号が出るのは1本ぐらいが限度だったが、最近はその信号がない! 終わりがない。「飲み盛りなのか?」と真剣に悩んだこともある。今は誰かといると酒がきりなく入って、次の日は大変だったよ。二日酔いを何度も経験しているので肝臓にいい薬を先に飲んで、次の日にまた飲んで。酒を飲んでいる最中は水を何度も飲む。
 

 

 

 

 

他の俳優に比べてSNSでファンとのコミュニケーションや交流が多いようだ。

私生活を見せていると、作品で全く違う性格のキャラクターを演じた時、演じる役に異和感を感じると思う。そこを心配して細心の注意を払うのではないか。一方で、僕はもともと冗談を言うのが好きだ。SNSでありのままの姿を見せると、ファンの方々が喜んでいた。SNSはうまく活かせば良いコミュニケーションのきっかけになると思う。

 

 

初めてのファンミーティングの感想は?

ライブで目の前にしたファンの方々のエネルギーは鳥肌が立つほどすごかった! 今までファンミーティングがささやかな夢だった。俳優は歌手に比べてファンと向き合える機会が少ない。おととしの演劇公演の時に「出待ち」という文化を体験し、本当にファンミーティングをしたいと思った。僕のほうが楽しくてバラエティに富んだ事をたくさんしたというか(笑)。このような時間と場所が与えてくれる力、エネルギー、そのすべての瞬間が良かった。

 

 

演劇<エレファントソング>で演劇の面白さを感じたようだ。ドラマとは違う演劇の魅力は何か?

演劇は何も通さない状態だと声と響きが伝えられる。空気の圧まで感じられるほどだ。その中で、本質に集中する。観客の熱い反応も肌で感じられる。幕が下りた時のダイレクトなフィードバックを一度味わうと中毒になる。90分ほどの演劇を見るために、観客が時間とお金を払っただけ満足させなければならない責任感が甚だしい。公演を終始引っ張っていかなければならず、その中で観客を集中させ、緊張させたり時には雰囲気をほぐして笑わせなければならない。そうやって劇全体を捉えてバランスをとる作業だ。もうワンテイクは行けないんじゃないか (笑)。

 

それに演劇には補助装置がない。音楽や衣装を替えたり、胸から上のアップを撮るのはまず無理だ。それで体の使い方をたくさん学んだ。ドラマは作家芸術、映画は監督芸術、演劇は俳優芸術という言葉があるではないか。それが凝縮されて「本物」の俳優になっていくのだ。

 

 

 

自分のどんな「持ち味」が今の俳優クァク・ドンヨンを作り上げたのか?

これが「持ち味」と言っていいかはわからないが、スポーツを学んだせいか、後戻りする事がなく、何がなんでも突き進むようになったようだ。演技を始める時、数多くのオーディションを受けたが、ありえないような酷評と非難、否定的な悪条件が重なったような状況にぶち当たる事もある。その時に受ける挫折と傷が深くなるほど「今に見てろ」と思っていた。「思いしらせてやる、才能に宿った腹立たしさを!」という思いがずっと自分の中に渦巻いて、一歩踏み出せるガソリンの役割になった。

 
 

 

 

 

 

エディター イム・ジュニョン

写真 アン・ジソブ

 

 

 

 

 

2018年6月のこと。

川に流されていたワンちゃんを救ってくださった方がいて、インジョルミ (きなこもち) と名付けられてネットで有名になったそうです。ワンちゃんを心配したドンヨンくんがSNSにコメントを残してジョルミとご対面できるまでに。

おみやげに、おもちゃとマフラーを手編みしたんだね。器用!

 

 


 

2019年7月25日~8月1日放送の2部作 <MBC ずっと見ていてもかわいい>

リアルタイムで見たかった。クァクドーン泣き笑い