知っておきたい魅力的な男、イ・ジョンソク

<翡翠恋人> で韓国と中国を行き来し、現実と仮想世界を駆け抜け、圧倒的に神秘的な男 イ・ジョンソク


 

 


スタジオに入ると、雨がしっとりと降ったその日にお似合いの魅力的な低い声が私たちを迎えた。彼の顔を見る前にまず声に惹かれた。CeCiは、彼を何度も撮影しているが、エディター本人が彼に会うのは初めてだった。挨拶を交わすと、はにかんだ感じが窺えた。28歳の男性にこんな少年らしさがあるなんて。

韓国ドラマにカムバックする初のインタビューをCeCiとしたかったという彼に「なぜ、CeCiと?」と聞いてみた。「僕はCeCiの感じが好きなんです。ファンが一番好きな撮影で挨拶をしたかったです」。久しぶりのカムバックで、彼の意思は意味のあるものだった。撮影前にコンセプトをエディターと相談し、数回の調整を経た後、撮影当日の午前中に新しいスタッフに髪を切ってもらいスタジオを訪れた。今までの撮影とは違った感じにするため、新しいスタッフ、フォトグラファーも自分で選んだ。ワンカットを撮り終えると、全カットをモニターの前で眺め、「近くで見て」と言うエディターの言葉にも「僕はここでも見えますから」と撮影チームのモニタリングを邪魔しないよう遠くから眺める配慮が感じられた。

 

少年と男性、二つの姿、現実と仮想世界を両方入れたいという難しい撮影コンセプトを表情と身振りで表現し、撮影が中盤を過ぎるとモニタリングするエディターの後ろで「大丈夫ですか」と尋ねた。マガジンの持ち味、撮影コンセプトを理解し、出来具合を撮影途中で聞いたスターは久しぶりで、彼がなぜエディターのラブコールを何度となく受けるのか納得がいった。

 

 


 

 

 

 


撮影していると急ににぎやかになった。彼のモデル時代からの友人で、撮影当日に彼と共に企画会社の家族になったYG所属のイ・ソンギョンがスタジオにいきなり現れたのだ。彼女の家が撮影現場に近く、友達を応援しようと立ち寄り、彼女特有の楽しいエネルギーを撮影現場に撒き散らして妖精のように消えていった。その場にいた皆が彼女の楽しいエネルギーをもらって、一段と明るくなった雰囲気の中でまた撮影を始めた。新しいスタッフと少し馴染ずにいた彼から少しずつ笑みが見え、こそっと見せてくれた彼の笑顔は本日のサプライズのようだった。

着替えが早かった事もあり撮影は予定より早く終わり、撮影スタッフが出て行った後の寂しいスタジオで、イ・ジョンソクとエディター、数人の知人だけが残り、彼が夢見た自分だけのカフェのような空間で行われたインタビューは、長年の友人とのおしゃべりように、窓際に夕闇が訪れてスタジオが薄暗くなるまで続いた。

 

1年間の空白期の感情、中国で過ごした3か月の思い出、最初の台本読み合わせの印象、前日YGとの契約を済ませたこと、今後の夢などをインタビュー原稿に書き、会話の録音ファイルを聞いてみると、どうしてこうも純粋に、これほど魅力的な声で彼女に語りかけるようなのか、ますます感心することになった。もし彼がボーイフレンドなら電話を切りたくないほどだ。

 

とても率直でエディターを驚かせた1時間半に及ぶ録音ファイルは、おそらくファンが何枚も要求する「Bカット放出」よりも大切な私たちだけの宝物のように思えた。いつの日か、マルセル・プルーストの <失われた時を求めて> の中で、主人公がマドレーヌを味わいながら失われた時間を思い出すように、インタビュー中に飲んだバニララテの甘さが今日の出来事を思い起こさせるようだった。暮れゆく窓際でテーブルを囲み、灯りも点さずコーヒー1杯で話し込んだ、純粋な瞬間の言葉だ。

 

 

 


7月20日から始まる韓国ドラマと下半期に放映される中国ドラマ <翡翠恋人> で、今年の下半期は、韓・中がイ・ジョンソクさんの話題で揺れそうな予感です。二つのドラマで同時に韓中を攻略するとはスケールが違いますね。まず、撮影した <翡翠恋人> とは、どんなドラマですか。
<翡翠恋人> は、1930年代を背景に、中国のハリウッドと呼ばれる横店 (ホンディエン) で撮影したが、街そのものがセットで壮大なスケールです。50部作の時代劇で、洗練された印象のファンタジーロマンスだと思います。中国版 <ロミオとジュリエット> のようですが、宝石の名家である二家族の争いとロマンスの話です。シナリオは中国作家が書き、ハン・ジンヒョク監督が演出しました。

 


中国作家の作品で、相手役と演技をするのは少し大変だったと思います。
中国の作品をすると決めた時、彼らの情緒に合うように中国の作家が書いた作品をするのが妥当ではないかと思いました。相手のセリフは先にハングルで読んでわかっていたが、相手役の呼吸、セリフが終わる瞬間など言葉が通じなくても互いに感じ取って演じられましたよ。とても不思議な経験でした。 

 

 

<翡翠恋人> は400億もかけた大作だが、ファンがジョンソクさんのどんな魅力を感じられたら良いでしょう?
金持ちの役が初めてだから (笑)。服を何度も着替えました。韓国から衣装を全部用意して行ったが、今まで見た事のない僕を見られるのでおもしろいと思います。ジン・ヒョク監督の作品なので映像美も素晴らしいし、中国でホットなジェン・シュアン俳優とも撮影して、韓・中俳優の絡みを見る楽しみもありそうだよ。

 

 

新韓流四天王に挙げられるほど中国では勢いがあります。今回のカバーも韓・中共同ですよ。<翡翠恋人> を撮って中国での四天王の人気を実感しましたか。
僕が尊敬する方々が四天王なのは認めるが、僕がそこに入るのは不思議だし光栄に思えました。ホンディエンという街はとても遠く離れたところだが、週末になるとファンがホテルに来て、韓国料理が懐かしいだろうと、食べ放題にしてくれる気持ちが本当にありがたかったです。また、スターバックスが宿から1時間ほど離れているが、毎朝スターバックスから僕の好きなアメリカーノやアイスラテを買って来てくれるファンもいました。それが本当にありがたかったです。本当に気遣ってくれたと思います。


<翡翠恋人> の撮影で息のあった俳優が気になります。
劇中の名前が「チャオモン」で、僕の秘書役の兄に多くを学びました。韓国の撮影ではバストショット (胸から上の撮影) が多いので顔の演技が主になるが、中国の俳優はアクションが多く、合わせていくうちに僕も多く学びました。


では、韓国のドラマについて話しましょう。一度も共にしてこなかった <ナイン> のソン・ジェジョン作家と、<彼女はきれいだった> のチョン・デユン監督作品ですが、選択した理由が気になります。
台本が本当におもしろかったです。マニアっぽさはありますが、一度は見ないわけにはいかないでしょう。


5月4日の初の台本読み合わせの印象は?
作家がずっと準備されてきたので質感が本当によく合う作品です。キャラクターが現実世界の人物ではないので、作家がワンシーンごとに、こんな感じがいいと指摘してくれました。

 


作家の前作 <ナイン> も通して見ないと理解できないでしょう。一話も見逃せなくなりましたよ。
この作品も<ナイン>以上だと思います。台本を見ただけで作家が精魂が込められている感じられました。 

 

 

ドラマでは元オリンピック射撃金メダリストで、財閥の青年天才カン・チョル役です。役の為には何でも熱心にするあなたなら射撃も頑張ったのではないか?
昨日、射撃練習を初めてしてみたが、意外に銃が重かったんですよ。金メダルを目指して熱心に練習中です (笑) 。

 

 

では、ちょっとプライベートな話をしましょうか? モデル出身の俳優なので洋服選びの目は長けているかと思います。
そうですね。ふだんはスウェットにサンダルです。若い頃はUNDERCOVER、LAD MUSICIANなどのブランドが好きだったが、今はスタイリストが服を脱がせる時、いつもの自分に戻る時に虚しくなります。終わって家に帰るのだから楽に着ています。(撮影中、彼は服を着替えるたびに、その時の気持ちをおもしろい言葉で表現して撮影チームに笑いをプレゼントした。その服を着た時に似合うシーンを思い描いた)

 

 

それでも好きなタイプがあるでしょう。
うーん……僕は昔からラインが綺麗とよく言われていたので、チャ・スンウォン先輩、イ・ミンホ先輩のように男性的なイメージに憧れました。最近は男性的な魅力が感じられるスーツが好きです。既製服では手足の長さを合わせることができないので、オーダーメードスーツが楽で、生地は体に馴染むシルキーな感じがいいよ。 

 


これまで演じた役はどれも事情を抱えた役でした。ラブコメの典型的なキャラクターである財閥2世の役ではありませんでした。役を選択するにあたってイ・ジョンソク独自の審美眼は何でしょう。
僕は悲劇が好きです。僕が演じるキャラクターは、親が殺されていたり、特殊な状況で感情がギリギリまで追い込まれる役のキャラクターに惹かれますね。


では、正統メロ (恋愛ドラマ) をしてみたい気持ちはありますか。
あります。激しくて。致命的で。

 

 

 

 

よく似合いそうです。それでは相手役は誰がいいですか?
デビューの時からいつもイ・ナヨン先輩のファンだと言ってきました。

 

 

割と内気なA型のあなたがどうしてインスタグラムやVアプリをしようと思ったのですか?
恋愛の始まりも誰かの一方的な勇気から始まるでしょう。そんな気持ちですよ。ファンにコメントを書いて、3か月も経つと照れくさくて恥ずかしくて。「僕は何故こんなコメントを書いたんだろう」と。恋愛する時も幼稚になるように、ファンにもそうなってしまうんです。

 

 

1年休んでみて何を考えていましたか?
朝、起きると思い出せないような事で悩んでいました。昨年、休んでみると、自分はできる事が何もない人だったんですよ。若くて美しい時に一作品でも多くやらないとと思いました。今年は作品4つはやりたいです。 

 

 

一時、<シャーロック> のベネディクト・カンバーバッチにハマっていたでしょう? また、自他に認める「ドラマオタク」でもあって。最近よく見ている番組は?
<町の弁護士チョ・ドゥルホ> です。パク・シニャン先輩が演技上手です。涙のシーンがあったが、 とても悲しかったです。スチール写真でも悲しみが伝わってくるほどで。

 
 
韓国にいるなら <パク・シニャンの俳優学校> に入らなくてはならないのでは?
それもいいですね。僕は男によく惚れる方で、最近はパク・シニャン先輩、マ・ドンソク先輩に惚れました。
 
 
お、マ・ドンソクさんに?
力の入った演技ではないのにキレがあって面白くて、テンポ感と程良さが好きです。あんなマッチョ感がいいですね。
 
 
「布団の外は危険」タイプなのに、家では何をしていますか?
ドラマを見て、SBSスペシャルドキュメンタリーも見て、夜中にUFC (アメリカの総合格闘技) ハイライトも見るが、最近は血しぶきが飛び散るのが好きで。血がほとばしる役もしてみたいです。 
 
 
ファンは嫌がると思いますが?
いや、好きでしょう。 
 
 

バラエティは考えていませんか?
バラエティは賢くてセンスのある人がする事だと思います。ほとんどの歌手は演技やバラエティをやっても緊張しないし上手いと思う。震えないのがとても羨ましいです。

 
 
自分は強心臓ではないようですか?
僕は今でも、用意してきた事から一つでも外れると冷汗が流れます。
 
 
カフェを持ちたいという夢は変わっていませんか? どんなカフェをしたいですか?
お客さんがいないカフェ。お客さんが僕のカフェ。今日のようにお客さんは1人もいなくて友達とおしゃべりできるカフェ。
 
 
「僕の唇 温かいコーヒーのように」(コーヒーのCM) が浮かんできます。
1日に3杯は飲みますね。 
 
 
お酒は今でも飲まないのですか? 一時、暴走した事もありましたよね。
一時は酒が大丈夫かなと思う時があったが、どうも酒は体質に合わないようです。いい人と一緒の時だけシャンパンぐらいは飲みます。 
 
 
今日、サプライズで来たイ・ソンギョンさんもそうだが、女性の友達と気兼ねなく親しいようです。ヒョヨン、カン・ソラなど。
女性の友達のほうが真剣に、落ち着いてじっくり話すことができるようです。例えば「その映画どうだったの?」と男の人に聞くと、「おもしろかったよ」「かっこよかった」で終わりなのに、 女性は「あのシーンで何故あんな演技をしたのかな?」「あのセリフが良かった」と話が続くよ。
 
 
イ・ソンギョンさんとは、どこで友達になりましたか?
モデルの時から友達なので10年ほど前です。当時はそれほど親しくなかったです。イ・ソンギョンは日が沈めば家に帰るような、おしとやかなお嬢さんだったんですよ。心根がきれいな友達ぐらいに思っていたが、イ・ソンギョンが俳優デビューしてから親しくなりました。
 
 
下半期のドラマ戦争が始まるが、参戦するにあたって一言?
おもしろいドラマが多いと良い。僕が出演を決める前にウビンがカメオを頼んできたので出ようと思ったが「ごめん、僕も同時間帯に出る事になった」と言いました。ドラマ初回を見るポイントはキャスティングでしょう。「ドラマオタク」としてキム・ウビン&スジは絶対見ると思います。同年代俳優が出るドラマは美しいですね。この年齢だから美しい。そんなシーンは必ず見ますね。
 
 
「イ・ジョンソク&キム・ウビン」は、「チョン・ウソン&イ・ジョンジェ」のような関係だといいですね。
モデルの時から同じ年頃がウビンしかいなくて親しかったし、<学校2013> で一緒だったし、俳優で連絡するのはウビンだけで、韓国に戻って来ると一番先に連絡して、(ウビンの) ニュースが入ると一番先に連絡して僕も一緒になって喜びます。
 
 
さきほどイ・ミンホさんも好きだと言っていたでしょう?
イ・ミンホ先輩は私的な席でお会いした事はないが、僕が企画会社の問題で大変な時に真っ先に電話をくださいました。先輩も同じような事を経験して、どんな理由があったにしても気持ちが大変だろうし、何かアドバイスできる事があればと電話を下さったその気持ちがありがたくて、本当にありがとうございました。 
 


昨日付で所属会社をYGに決めたが、理由を伺ってもいいでしょうか。

僕個人の携帯電話の番号をどうして知ったのか、何度も提案を受けたが、韓国に来てみると台本をじっくり読むための環境を作ってくれる場所はどこだろうと悩んでいました。ヤン・ヒョンソク社長が直接電話をくださり、「何を助ければいいのか」と言われたので、「演技だけをできるようにしてください」と言いました。条件を提示して来たところは多かったが、何をすればいいかと尋ねてくれたのはたった一人でした。


企画会社の決める時、ロールモデルのカン・ドンウォンさんの影響はなかったのでしょうか。
先輩の選択だから信じるところもあったでしょう。ファンが僕のインタビューを見るように、チャ・スンウォン、カン・ドンウォン先輩のインタビューは必ず見ます。僕より先に、その道を行く先輩たちのインタビューは、僕にとっても良い人生の道しるべになります。
 
 
「インタビューはカウンセリングを受けている感じがする」という言葉が印象的でした。
僕は会話が途切れずに続くのが好きです。(インタビューは) 時には誇張や矛盾もあるが、全て跳ね除けなければならないとわかっています。その為にはできる限り正直でいようと思っています。
 
 

自分のインタビューは全部見ますか?
全部見ます。僕は自尊心はあまりないが自己愛は強いですよ(笑)。

 

最後にファンに一言。
このように作品を長く待たせたのは初めてだと思うが、待たせたぶん良い演技ができるように最善を尽くします (マッチョな男Ver.でうまくまとめて)
 
 
 
テンションを勝ち抜く方法
あえて「テンション」(緊張感) という英単語を使った理由は、この業界ではよく使う言葉だからです。今月は、やはり私もテンションを多く感じた1か月でした。韓中共同カバープロジェクトで久しぶりに復帰するイ・ジョンソクさんの撮影現場でも大なり小なりのテンションが感じられましたよ。程よいテンションは良い結果を得る為には必要な要素だが、一日中続いたテンションを和らげたのは、撮影の中心だったイ・ジョンソクさんのサプライズのような笑いのプレゼントでした。
編集長 キム・ウンジョン

 

↑リンクが切れたので新たに貼っておきます