地方公務員は、「全体の奉仕者」として公共の利益のために職務にあたります。
そのため、社会からの信頼が不可欠であり、その信頼を損なうような行為(信用失墜行為)は厳しく禁じられています。
この「信用失墜行為の禁止」は、地方公務員法第33条に明文化されており、公務員としての根本的な行動指針の一つです。
本記事では、第33条の条文の意味、信用失墜行為の具体例、違反時のリスク、そして試験・面接での活用法まで、徹底的に解説します。
地方公務員法第33条の条文
(信用失墜行為の禁止)
第三十三条 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
1. 条文の趣旨と背景
この条文は、公務員個人としてだけでなく「職員全体」の社会的信用を損なわないように行動することを求めています。
つまり、一人の不祥事が全体の評価に影響するという点を強く意識した内容です。
信頼を失う行為は、たとえ職務外の私的な行動であっても処分対象になり得ます。
なぜなら、公務員はその立場ゆえ、社会的に高い倫理観や行動規範が求められているからです。
2. 信用失墜行為とは?|具体例で解説
「信用失墜行為」とは曖昧に聞こえますが、判例や実務では以下のような行為が該当する可能性があります。
職務内での信用失墜行為
- 職務上の機密漏洩
- 収賄、職権乱用などの犯罪行為
- 住民に対する差別的な対応
職務外での信用失墜行為
- 飲酒運転や窃盗などの刑事事件
- SNSでの不適切投稿(暴言、機密に関わる内容)
- 風俗店でのトラブルやスキャンダル
ポイントは、職務外であっても、公務員としての社会的信頼を損なう行為は処分対象になり得るということです。
3. 信用失墜行為がもたらす影響とリスク
信用失墜行為が発覚した場合、公務員自身だけでなく、勤務先の自治体や職場全体にも深刻な悪影響を与えます。
- 住民からの信頼低下
- メディア報道による組織のイメージ悪化
- 他の職員への風評被害
- 再発防止のための過剰な規制強化
そして、当該職員には懲戒処分(戒告・減給・停職・免職)が科される可能性があります。
4. 懲戒処分の実例|実務における適用ケース
実際に、以下のようなケースで信用失墜行為と認定され、処分された事例があります。
- 休日に飲酒運転をして物損事故を起こし、懲戒免職
- SNSで特定住民を中傷し、減給処分
- 市役所職員が風俗店に関与し、停職6か月
こうした事例からわかるように、**勤務時間外の行動であっても、社会通念上の信頼を損なう行為は処分対象**です。
5. 信用失墜行為と表現の自由のバランス
公務員であっても一市民としての権利(表現の自由・私生活の自由)は保障されています。
しかし、その自由が社会的な立場と衝突する場合、制限されることがあります。
たとえば、「特定の思想に基づく政治活動のSNS投稿」が組織の中立性を疑われれば、信用失墜行為となる可能性があります。
6. 公務員試験や面接での活用ポイント
信用失墜行為の禁止については、面接でも問われる可能性があります。
面接官に対して、
> 「私は公務員としての自覚を常に持ち、職務内外にかかわらず社会的信頼を損なう行動は絶対にしません」
といった意識の高さを示せると好印象です。
また、論文試験でも「服務規律」や「倫理」がテーマになる場合、第33条の内容を具体的に盛り込むことで、説得力のある主張が可能です。

まとめ
地方公務員法第33条が求める「信頼を守る覚悟」
地方公務員法第33条は、職員個人の行動が組織全体の信用に直結するという認識のもと、職務内外を問わず、社会的信頼を失うような行為を禁止しています。
現代はSNSやメディアの影響で、一つの不祥事が瞬く間に拡散し、住民の信頼を大きく揺るがします。
だからこそ、公務員は常に「自分は見られている存在である」という意識を持って行動することが重要です。
信頼は一朝一夕では築けませんが、失うのは一瞬。
公務員として、その覚悟と責任を胸に、日々の行動を律していく必要があります。
それでは、またね〜