先日記事にしたマダラバッタの標本経過です。
アセトンから出して展足している間、目に見える勢いで退色していきましたが、ここ数日間色の変化が見られないので、この先劇的に色が変わる事は無いと思われます。
真っ黒!大失敗!というわけではありませんが、やはり生前の艶やかな色合いは残せませんでした。
それと、明らかに腹部がしぼんでみっともない恰好になっています。
この個体は小さくて腹部に綿が入れられなかったんですよね。
こちらはやや大型種のツチイナゴですが、生前の淡い褐色は失われ全体的に赤っぽくなっています。
アセトンに浸ける時間が短すぎたので、次は状態を見ながら1~2時間浸け込んでみようと思います。
驚いたのがショウリョウバッタモドキで、全体的に少し色は薄くなりましたが色合い的には違和感なく、腹部も生前時の状態を保っています。
この個体も小さかったので綿を入れずに整形したんですが・・・
どうやら種類や個体の大きさによって乾燥後の腹部の状態はまちまちになるようです。
そして今回、成功と言えるレベルまで色を残せたマダラバッタです。
どうでしょうか、この緑!
生前のままとはいきませんが、けっこういい感じに残ったと思うんです。
複眼はこれから徐々に退色していく可能性がありますが、ショウリョウバッタモドキといい本種といい、アセトンと緑の色素の相性がいいのかそれとも緑の部分は色を成している層が厚くて落ちにくいのか、他の色と比べて残りやすい印象を受けました。
ちなみに、
バッタを採った日はトンボも少し採っていたんです。
昔、クワガタを採るために磯竿を魔改造した4メートルの網が、倉庫の奥に眠っていたので引っ張り出してきました(笑)
さすがにギンヤンマともなると長竿とはいえ容易なものではありません。
30分くらいかけてやっと1匹捕獲できました。
三角紙に入れ、2日かけてフンを出させた後、腹にエノコログサの芯を挿し込みアセトンに約4時間浸けて脱水・脱脂を行いました。
トンボの標本作りで一般的なのはシリカゲル乾燥法ですが、それだと冷蔵庫で1か月乾燥させる必要があり、時間とスペースをとります。
その点、アセトン法の場合はかなりスピーディーに仕上がります(色々とリスクはあるんですが)。
私はアセトンを使った標本づくりは今回が初めてとなります。
さて、仕上がりの違いはいかがなものか?
展足、展翅が終わり、体内のアセトンが全て揮発した状態です。
横から。
正面から。
エノコログサの湾曲を矯正せず使用したので若干体軸が曲がっています。そこは目を瞑ってください(-∧-;)
色が残っている・・・といえば残っていますが・・・
はっきり言って、上手に冷蔵庫で乾燥させても同じくらい色残ります(^_^;)
生前の写真と見比べてください。
ギンヤンマの♂の特徴である胸部から腹部にかけての緑・青・銀のコントラストも境がはっきりせず滲んでいますし、腹部の若草色のアクセントもくすんで台無しです。
複眼なんかカピカピに乾いたエンドウ豆みたいになってます。
これがトンボの標本の難しさです。甲虫屋には分かるまい(つД`)・゚・
もうひとつはベニトンボ。
胸部の紫色と、腹部の真っ赤な色がきれいなトンボです。
ギンヤンマと同様にアセトン法で標本を作りましたが、こちらは小型種なので2時間程度でアセトンから引き揚げています。
その甲斐むなしく腹部がまだら模様に・・・
同一個体の腹側です。
赤はどこへ消えたの??
紫は??
このようにまったくアセトンに向かない種類もいるらしく、そういうトンボは他の薬剤を当てるかシリカゲルで無難に乾燥させた方がよさそうです。
目標に掲げた「昔の自分を超える」という事は想像以上に難しいみたいです・・・
そんなこんなでこのところほとんど毎日、標本の作成について書物を読んだりネットで情報を集めたりしているんですが、ひょんなことから生体の面白い固定法が載っている論文にたどり着きまして、それは昆虫標本の作り方では無いんですがとても興味を惹かれる手法で、それをトンボに応用できないかと考えました。
それは薬局で買える、とある薬剤を使って行うらしいので、天候が良くなったら資材を集めてさっそくチャレンジしてみたいと思います。