子ども達に学習を教えていると
多くの子どもが、低学年のうちは算数が好きと目をキラキラさせて言います。
今までの経験で考え解くことの出来る勉強が楽しいんだなと思います
解けるか解けないかは別として、キッズBEEの簡単な問題などをクイズで出すと、とても喜んで一生懸命考えようとします。
ところが高学年になるにつれ、だんだん算数が嫌いと言い出し、中高生になると、数学が好きな子は少なくなってしまいます
とても残念ですし、
どうしてだろうと考えていました。
子ども達を何年間も継続してみるようになって思うのは、シンプルに経験不足。
日常生活のなかでの生活に即した経験の不足から、算数が分からなくなっていると思うのです。
例えば、アメが64個あってみんなに8個ずつ配ると何人に分けられますか?
という問題では
「ものを何人かで分ける」という事を経験していない場合、そもそも分けている場面が頭のなかで想像できない子がいます。
もらう事には慣れているのだけれども、自分で家族にいくつかのものを分けたり、友達とドングリやおはじきを分けたりして遊んだ経験がなければ、何人かで分けるという行為が分かりません。
だから、すぐに「なに算?」と聞いてくるのです。
同じ数ずつ分けるのだから、同じ数ずつ減るわけで、わり算になりますが
かけ算やわり算を、計算として覚えている子は、同じ数ずつ増えたり減ったりするというしくみが分かっていないので、かけ算やわり算は全部九九で考えようとします。
だから、かけ算やわり算だと書いていない場合、どうすれば良いのか分からない事があるんです
また、分数の時に
1/5は、ひとつのものを5個に分けるという説明が分からない子がいます。
半分に分けるのは分かるのだけれども、5つに分けるのは、した事がないようで、一昔前だと、ケーキやピザを分けるとすれば...という説明をすると分かる子が多かったのだけれども、最近ではとても悩んでしまい分ける事が出来なかったり、とても歪な配分で分ける線を引いたりする子が多くなりました。
分けたことがないんやろうなと思うのです。
こういう事が、他の単元でもチラホラあって、物の断面図はどうなるのかとか、旅人算や流水算や植木算などでも、何となくのイメージが昔よりわきにくいのか、映像や目にキチンと見える状態で見せないと分かってもらえない事が多くなりました。
算数のイメージが分からないという事は、理科の単元でもイメージがわかない事が多くあって
紙飛行機がどうしたら遠くへ飛ぶのか、滞空時間が長くなるのか等々
理屈で説明するのは 難しいけれども、なんとなくどうすれば良いか分かるというのは、経験していないと子どもは分からないので
分からないままに学年が進み、ちょっとした分からないが積み重なって、分からない→全然分からないになってしまい、勉強が楽しくなくなる事につながるんだと思います。
賢いと周りから評価があり、学力の実績もあって勉強が楽しいという子達は、詰め込みで勉強をしている子は少なく、保護者が熱心に勉強を教えているご家庭は私が出会ったなかでは少ないように思います。
ごく普通の日常を送るなかで、よく遊んでいる印象。
基本的な生活のなかで、いろんな経験を丁寧にさせてもらっている。
例えば、手作りの料理じゃないといけないわけではないけれども、料理って段取りを考えたり、下準備をしたり、様々なものを合わせて美味しい味を作ったりする。原材料から、形を変えて、料理が出来るわけで
切り方の違いで、見た目も食感も変わったりするし、
デザートを作るのでも、ゼラチンを好みの固さに固めるコツだったりがあります。
洗濯や掃除も化学の要素があって、汚れの落とし方や、やり方も知識が盛り沢山だったりする。
散歩や買い物もそうだし、習い事や特別なイベントに参加しなくても、毎日の生活を親子でシェアして、子どもによく見聞させている家庭が、賢く楽しく勉強が出来る親子にすごく多い。
だから、お母さんにどうやって子育てしたのか聞いても、特別な事はしてないのだけれどと首をかしげるし、子どもと話しても、他人に話せる経験を家庭内でたくさんしているので、自分の家の話がよく出てくるのです。
低学年の頃は、しくみを理屈で理解するのは難しいように思います。
大人だって、経験した事がない仕事に割り振られたりしたら、失敗もするし、分からなくてまごまごするのだから。
経験則として知っていると、分からないなりに「ああ、アレね」となります。
「ああ、アレね」が下地にあって、説明をされて、知識と経験を重ねると、しっかりとした記憶として脳に暗記されます。
学年が上がると、理論的に想像力を持って推測しないといけない問題が出てきます。
それを考える事が出来るように、そして、勉強が知識だけに終わらず、自分の人生を幸せに楽しくするアイテムとして活用するために
生活の経験を子どもにたくさんさせてあげて欲しいと思います。