ゲッサン連載の『星間ブリッジ』ヒロイン暴走以外の展開はありえるか? | 叙情夜話ブログ

叙情夜話ブログ

コバルト文庫・破妖の剣について語っています。ネタやレビューや考察など色々。
ネタバレがあるので未読の方はお気を付け下さい。
二次創作はこちら→http://nanos.jp/hayou/

 

 


ここから第一話が試し読みできます。

http://gekkansunday.net/series/seikan

 

絵柄はふくやまけいこ氏に似ていて可愛く、背景は細かく描きこんであり、時代考証もきちんと成されていると感じました。

ただ、戦争がらみの話を描くのにきゅっきゅぽんというふざけたペンネームと、タイトルの合ってなさはどうにかならないかと……。

 

 

>舞台は昭和初期の上海。
全日本人の運命を変えた戦争が起こる1年前、
少女ハルは海を渡り
中国人の少年と運命の出会いを果たす――

 

 

表紙やあらすじの通り、日本人の女の子が中国人の男の子とお友達になるというお話です。

 

とにかくヒロインが無鉄砲すぎて頭が痛くなります。周囲が止めるのも聞かず危険な場所に突っ込んでいって、結局迷惑をかけ、事態を大きくし、最悪の場合人が死ぬ。

 

子供だから仕方ないでまだ許されているものの、女学校を卒業してなおこれなら、この先の展開が危ぶまれます。

こういう猪突猛進型のヒロインは昭和で終わらせて欲しいけれど、実際物語の舞台は昭和なので何も言えないという。

既に冒頭で、老いたハルが孫たちに語り掛けているような場面がありますし、もう1話の段階で中国人少年がハルを庇って亡くなる未来しか見えません。

 

この時代の雰囲気は好きなのに、ヒロインが暴走するだけのストーリー展開にどうも入り込めなくて、作者さんが自分の描きたいところだけ描いているという印象を受けます。

 

 

ん?

文句たらたらで、なんで読んでるのかって?

そんなの、お父さんの顔が面白いからに決まってるじゃないですか。

 
 
ハルやお母さんに比べて、明らかに悪意のある描き方を見よ(笑)
 
お母さんは美人で夫を上手にあしらう、いかにもな良妻に描かれているのに、この格差ときたら。
眼鏡、出っ歯、赤ら顔の髭面、横柄ですぐ怒鳴るという、歴史の教科書の風刺画に出てくる、昔の典型的な日本人男性の顔をモデルにしていることは明白であります。
何でお父さんだけこんな扱いなん?ハルとお母さんみたいに美形に描いてやれよ。
当時は本当にこんな男性が多かったのかも知れませんが、あまりにもテンプレ過ぎて、お父さんの顔がアップで出てくるたびに笑ってしまいます。
 

磯部磯兵衛の顔を見ると笑ってしまう現象と似ている。

教科書やポスターなどでお馴染みの顔だから、意味もなく面白いんでしょうか?

 

彼自身は、そこまで悪人として描かれてはおらず、お転婆なハルのことを心配している良き父親です。

時代ゆえ中国人に対する差別心はありますが、ハルのお花畑に影響されて緩和しつつあります。

 
お母さんと結婚できたのは確かにすごいな。
 
 
でも、私もお父さんの顔を面白いと思っているわけだから、お母さんもお金目当て同じ理由で結婚したのでしょうね。
確かに、個人的には、ツンケンした美形より表情豊かな人の方が魅力的です。
 
相手役のシンくんは、ハルにつきまとわれるより中国人の女性と一緒になった方が絶対に幸せだと思います。
「戦争が二人を引き裂いた」と言っても、そもそも今の時点で友情以上のものを感じませんし、ハルの方に愛があるにしても、それは日本人としての「かわいそう」という優越感からくる愛情に過ぎないのではないでしょうか。
その辺りの心理がきちんと描かれればいいのですが……。
 
 
 
『叙情夜話』ではこれからもお父さんの顔芸を応援していきます。