さてずいぶん長い間講義を放っていましたが、

実はその間大変ショックな状況に陥り、

完全に自説の根拠崩壊の危機を迎えていました。

 

そのきっかけが東日流外三郡誌。

 

はじめて出会ったのが中学三年の時で、それ以来東北古代史に夢膨らませ、

しかも大河ドラマにさえその内容が取り上げられるくらいで

僕の中ではバイブルとはいえないまでも憧れの歴史書でした。

そう、その内容を取り上げている本はあっても

原文、原本を終始みたことはなかった。

 

その本は


江戸時代に秋田孝季なる人物が諸国をめぐって収集した東北史をまとめたもので

門外不出のため知られていなかったが

出版者の先々代が天井の梁にくくりつけられていた行李に入っていた同書が落ちてきたため発見し、

出版者の代になって世に公表したものとされていました。

 

それを古史古伝を伝えるさまざまな出版物が載せ、あっという間に歴史業界をかけめぐっていき、

なかには世界不思議発見でもとりあげられたりしていたのですが、

 

古代東北王朝が北海道の先、カムイチヤツカ(うろ覚えですが)まで認識していたなど

どう考えてもつじつまの合わない・・・確かに江戸中期ころならロシアが極東に進出しているので

カムチャッカ半島がそう命名されているのはわかりますが、古代はロシア領ではないので

無理にアイヌ語に似せてつけたその名前が痛々しい・・・レベルの低い認識がぽろぽろと出ていました。

 

それは原本を読むとなおさら強くなるそうなんですが。

 

それはそれで理解しつつ、

東日流外三郡誌は信じこむのではなく

楽しむように切り替えていたのです。

 

そうしているうちに東日流外三郡誌偽書説は高まり、

挙句の果てには裁判沙汰となり、

 

最後はその出版者が亡くなってしまいました。

 

その顛末を


東日流外三郡誌を追い続けてきた

東奥日報の記者さんの本で知ったのです。

 

それは良い。

それは良いのですが、

 

その東日流外三郡誌擁護…

むしろバックアップをしていたのが

古田武彦教授だった。


それを知ってしまいました。


場合によっては詐欺ともとれる東日流外三郡誌の擁護行為の渦中に

もっとも信頼すべき教授の名が。

しかも中心的存在として。

 

この本を偽書と指摘し、糾弾し続けたのが季鑑「邪馬台国」であり

その主催者安本美典教授で、

古田武彦教授の最大のライバルだったのです。

 

たんに安本憎しからその方向に走ったのか?

 

いずれもわかりませんが。


ただ、教授本人への信頼はなくなりましたが

彼の説への共感は変わりません。

 

今後も九州王朝説を支持して考察していきます。

 

それと東北北海道の歴史を。

まずは日本の神話を復習しましょう。

日本神話は

まずはじめの神様が登場し、つぎにイザナギ、イザナミの二柱の神様が登場します。
この二人が国生みをするんですね。
国生みによって主要な島々を生み出したあと、
イザナミが火の神?だったっけ、これを生み、その際やけどを負って死にます。
 
冥界へ去ったイザナミ恋しでイザナギは彼女を冥界まで追いかけます。
しかし約束をやぶり、冥界で醜く変身してしまった彼女を見たイザナギはイザナミに追われ
冥界を去ります。
 
地上にもどったイザナギが身を清めた際に生まれたのが次の主役、
アマテラス、スサノヲ、ツキヨミの三柱の神々です。
 
生まれ出でた神々はそれぞれ昼の世界、夜の世界、地上を治めるように言い付かりますが、
スサノヲは母恋しで冥界=黄泉の国(ヨミのクニ)へ行きたいと泣きじゃくります。
 
神々から疎まれたスサノヲは黄泉の国に向かうこととし、姉のいる高天原に挨拶にいきますが、
そこへ上る途中、畑のあぜを壊したり罪を犯します。
高天原についたスサノヲはアマテラスに自分に邪心の無いことを証明して見せ、認められますが、
増長した彼は神聖な機織の作業場に皮をむいた馬を投げ込み機織の女神を殺してしまいます。

驚き傷ついたアマテラスは天の岩戸に閉じこもり、大岩でそこを閉ざして世界から光をなくしてしまいました。
 
困った八百万(やおよろず)の神たちは一計を案じ、
天の岩戸の前に集まり、ニワトリを鳴かせ、大騒ぎをします。
ここで有名なアメノウズメが裸踊りを演じ、神々の興奮は最高潮に。
 
中で閉じこもっていたアマテラスは自分の閉じこもりで世界から光を奪い、神々は暗くなっているはずなのに大騒ぎをしていることをいぶかしがります。
そこで岩戸を少しだけ開けると、用意されていたのは鏡。すきまから覗いた先にまさに自分のような女神がいることにアマテラスは驚きます。
そのすきにタヂカラヲが岩戸を放ち、アマテラスを戻し、岩戸に注連縄(しめなわ)を張って二度とアマテラスがひきこもりできないようにしました。

アマテラスがもどったあと、スサノヲは捕らえられ、爪をはがれ、高天原を追放されます。
 
追われたスサノヲがたどり着くのは出雲の国。
 
ここで泣いているテナヅチ、アシナヅチの老夫婦と出会います。
聞くと、ヤマタノオロチに毎年娘を人身御供に出しており、ついに最後のクシナダ姫の順番が来たとのこと。
そこで老夫婦に八つの門と八つの酒の入った瓶を用意させ、姫を櫛に変身さて髪にさし、ヤマタノオロチを退治することにします。
やがてやってきたヤマタノオロチは八つの頭それそれを門の中に入れ、瓶の酒を飲み酔いつぶれます。
このチャンスにスサノヲはヤマタノオロチを切り刻み、流れ出た血潮で簸の川は赤くなったといいます。
 
とここまでのお話。
出てきた地名は国生みで生まれ出でた島々を省くと、
「高天原」と「出雲」です。
 
ここからしばらく日本神話は大国主(おおくにぬし)を主人公として出雲を舞台とします。
しかし、出雲の話はやがて高天原からアマテラスの直系の髪が国譲りを要求し、
下ってきた神々にやがて国譲りをすることになり消えます。
 
話は国譲りした出雲のその後を伝えることなく
九州に移ります。
日向の海彦、山彦の話になり、
次に出てくるのが神武天皇。
 
彼は九州を出て自分の治めるべき土地を兄たちと目指します。

途中瀬戸内海周辺で力をつけ吉備に滞在したあと河内に侵入します。
しかし撃退され、兄は戦死します。
まともに立ち向かっては勝てないと知った神武は熊野まで迂回し、ヤタガラスの先導のもとに南の山地からヤマトを目指します。
途中勇壮な話というよりも策略の限りを尽くして土地の豪族をねじ伏せやがて神武はヤマトを自分の国とすることができました。

そして欠史八代。
 
崇神天皇までお話が無いのです。
 
概略ですが、これが日本神話の構図です。
 
どこかわからない場所。→高天原→出雲→日向→ヤマト

舞台は次々と移りますが、広がりはありません。
不思議ですね。
 
神武の東征に至っては国の主役の話ではありません。
 
九州の豊かな土地を基地にヤマトに乗り込むのではないんですね。
九州から止む無く飛び出していった神様が
他の神様の土地を奪いに行く話しです。

じゃあ元いた国はどこ?どうなった?

最初に攻めた場所は河内なのに、奪い取った国はヤマト?
 
出雲に行ったアマテラスの直系はどうなったん?

つまり神話時代から日本にはいくつかの国があり、
その主役は出雲か筑紫だった。
 
まずこれが言えます。

実は教科書だけでは日本の過去は読めないんですね。
学会が面倒なことを教材にして検討しないからですが。
 
中国の歴史書を見れば、確かに倭国や倭人が倭奴国に受け継がれ、
邪馬台国になり…最後には日本になったように見えますが、
倭の文字を追っかけるだけではそれくらいの認識しかできないんです。
 
中国の歴史書には大陸の東の海中にいくつもの国が描かれています。
例えば東提国、そして扶桑国。

中国の東にあって島国であり、国のていをなしているところ。
それは台湾、沖縄、日本列島のどこか以外にはあり得ないのです。
 
ここで忘れてはいけないことがあります。

日本の土器は世界最古であるということ。
 
金属器では中国の文明に大きく遅れをとりますが、縄文文化は中国文明より古いのです。
 
そして黒曜石があった。
 
二十代の頃、青森の田舎館の遺跡に行きました。
縄文晩期から弥生初期にあたる水田跡を見に行ったんです。
 
そこの資料館で館員の方や高校の先生とお話をしましたが、その時机の引き出しから出されたものが
白滝遺跡(北海道白滝村)産の黒曜石の矢じりでした。
この黒曜石の加工品は遠くウラジオストックからも出土します。

黒曜石は現在にあてはめるとステルス戦闘機のような最新で高度な技術、資源なんです。

この黒曜石で武装した集団と、ふつうの石、もしくは骨の矢じりで武装した集団が戦ったとしたら、
その結果は明らかです。
 
その原料を抱えてる土地の人間は、そこに採取に来る人たちを指をくわえて見守っているでしょうか?
 
これは古田教授が長野県の和田遺跡を引き合いに書かれている説の焼き直しですが。

武力であり、交易品である黒曜石。
これを持っていながら経済活動は無いと考えられるか?
その権益を守るには組織は必要ないか?

このことからも国という概念は別にしても列島のいろんなところに人々の武力を有し、交易を行う集団が
縄文時代からすでにあったと考えるのはおかしなことではないと思います。

縄文からクニがあるとすれば、それは弥生期に米作でもっと経済力があがり、労働力の獲得という新たな戦争の火種を生み出しますから、ますます国家が存在していなければならないことになります。

大和朝廷の草創期、
列島には南九州、北九州、出雲、吉備、関西圏一円、越前能登越中越後の連合エリア、東海地方、北関東には間違いなく国家があったはずです。エミシとされた東北、北海道も然り。
 
日本には多くの国があったのです。
 
そこで浮かぶ点。
 
日本の神話になぜ富士山が出てこないのか?
 
富士山の近くにある地域、もしくは見ることのできる地域には富士山の神話とも言える民間伝承が散見されます。
 
その高さ、秀麗さは近代以降の日本人にとって日本の象徴といえる存在なのですが、

大和朝廷の神話には富士山は
 
ヤマトタケルの時代になるまで姿を現しません。

そのことは即ち、

ヤマトタケルの時代になるまで東海地方は支配領域ではない。

琵琶湖も出てこない。

滋賀県も領域外。
 
もとの神話の舞台である、出雲筑紫とも交流が無い。
 


つまりヤマトという国は日本全体ではなく奈良盆地の小領域でしかなかった。
 
それが崇神天皇の拡大策が成功し、奈良盆地jから領域を広げることに成功した。
 
そういうことなんです。
 

さあ、この準備室の基本をここでお話しました。
 
ここからやっと本題に入りなおしますね。