又吉直樹『生きとるわ』を読みました。









小説を読むのは、何年ぶりだろう?


それこそ、又吉直樹の『劇場』を読んで以来かも😅







本のあらすじ。





公認会計士として傍目には順調な生活を送っている岡田。


しかし、高校時代の仲間だった横井に五百万円を貸したことから、その人生は狂い始める。


横井は他の仲間たちからも借金を重ねたあげく、姿をくらましていた。


阪神タイガースのセ・リーグ優勝が決まった夜、岡田は大阪・道頓堀で偶然横井と再会する。


貸した金を取り戻そうとする岡田は、逆にさらなるドツボにはまっていく。


人間の「闇」と、「笑い」を両立させた奇跡的な作品!







感想です。






まず、満足度で言えば5点満点の4点。


読んでいて気持ちいいものではなかったです。


でも、読み進めていくうちに、どんどん話の中に引き込まれていったので、


結果的には、面白かった、という感想です。









ここからはネタバレありです。










最初の方は、岡田が常識人で安心できるタイプの人間。


横井は嘘ばかりついて人を欺き、


借りたお金も返さない屑人間。


と思っていたけど、


岡田が横井からお金を取り返そうとすればするほど、


段々やってることが横井と同じになってきて、


嘘をつき、犯罪まで犯してしまう人間に成り下がるところが、


苦々しくもあり、滑稽でもありました。





そもそも横井の大切なもの(彼女)に手を出して、


奪った岡田自身が、屑人間の阿保だったわけで。




横井に対して後ろめたい気持ちがあるから、


薄々返ってこないとわかりつつも、


500万円を貸したのか。





あと、どこか横井を自分より下に見ていて、


お金を貸すことで、自分は社会的にも経済的にも


安定していて、


横井より上の人間なのだということを、


見せつけたい部分もあったのかと。






もともと、岡田は本来の屑な自分を偽って、


真っ当な人間を装っていただけなのだ。


そんな偽善者の岡田の名前が、


「善人(よしと)」なのも、可笑しかった。






また、妻の有希が岡田から、 


実は横井に500万円貸していて、


その他に消費者金融にも借金があることを告白されるシーンは、


金額まで同じで、過去の自分と重なりました。





私は実家へ帰ることはしなかったけど、


両親にそのことを話さなかったのも同じです。


なので、有希の気持ちは理解できました。





一旦は家に戻り、二度と裏切らないことを条件にやり直すことにした有希でしたが、


岡田と女性とのトラブルも発覚してしまい、2人は離婚。





岡田のように、借金があるうえに、夫に女性関係のトラブルまであったとしたら、


さすがに私も離婚していたかもしれません。


いろいろと、自分に置き換えて読んでいました。





この作品は、人間の醜い部分や闇の部分を曝け出して書かれているにもかかわらず、


それを又吉直樹のセンスで笑いに変えて、


中和させているところが面白く、


引き込まれるのかもしれません。





誰しも、心に傷や苦悩、ちょっとした闇を抱えながら、


それでも笑って、今を生きている。


有希には幸せになってもらいたいです。