当たり前のような穏やかな日常が、


いつか当たり前でなくなることは決まっている。


それは、誰しも平等に決まっていることだ。


平穏な日々が、儚いことを知っているからこそ、


今日この一日は尊く、


幸せであると思える。





昨夜遅く、帰宅した夫は、


病院でもらってきた、


一週間分の何種類もの大量の薬を、


一回分ずつ容器に振り分けて入れていた。


慣れてはいるが、面倒くさそうに、


一錠一錠、小さな容器に放り込みながら、


「こんなことまでして、生きていかないといけないのか。」


疲れ切った表情で、


吐き捨てるように、そう言った。





隣で座っていた私は、何も言うことが出来なかった。


ただ、生きていてほしい。


一緒にいてほしい。


それだけ。