ノボの気儘な音楽トーク 7号: ゴルドベルク変奏曲のことなど | 生き活きノボのブログ

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 クラシック音楽ファンでない方は、ご存じない人が多いと思いますが、J・S・バッハのゴルドベルク変奏曲を、ノボはとっても愛好しています。もしかして、クラシック音楽ファンでも、バッハの鍵盤楽曲をあまり聞かない向きは、曲を記憶されていないかも知れません。しかし、この曲は、聞けば聞くほど、良く聞こえてきますね。

 バッハは、オルガンやチェンバロなど膨大な鍵盤楽曲を作曲し、その中の一つですから、確かに埋もれるのかも。ノボも、この曲をレコードで聞き始めたのが社会人になってからだと思います。ヴァルヒャの演奏するチェンバロのこの曲を繰り返し聞いたものです。曲は、変奏曲ですから、まず主題のアリアが静かに厳かに現れ、それが30通りも変奏されていき、最後にまた主題のアリアで締め括るというものです。だから、主題のアリアさえ頭に叩き込んだら、それを様々に変化させるだけですから、30通りとは言っても、取っつき易く、その変化の多様性に驚かされると思いますね。

 しかし、変化するとは言っても、同じ主題の曲を30も聞かされるのでは、飽きが来るとおっしゃる方もおられるでしょう。この曲には、実は、カイザーリング伯爵が不眠症にかかり、眠れぬ夜のために作曲を依頼したという逸話があるそうです。伯爵のお抱えのゴルドベルク少年が演奏していたということで、真偽はともかく、この曲名が付いています。伯爵がこの曲を聞く途中に睡眠に陥ったかどうか知りませんが、曲の素晴らしさに、返って目を醒ましたのではなかろうか?

 さて、その後、ノボは、この曲をチェンバロではなく、ピアノ演奏で聞きました。グールドのレコードを買ったわけです。その斬新さに最初はついていけませんでしたが、吉田秀和も絶賛していることだし、我慢して聞くうち、良くなってくるのですね。グールドが亡くなった直後、吉田秀和が追悼講演を水戸芸術館で行ないましたが、その時のグールドの演奏する映像と吉田の姿と語り口を今でも覚えています。そして、17年前、東京に単身赴任していた時、浅草の隅田川のほとり、アサヒビールの本社ビルのロビーでゲーデトリオの生演奏を聴きました。これはもう、感動以外の何物でもありませんでした。ついついCDを購入し、メンバー3人にサインして貰いました。また、8年前には、水戸芸術館にヴィンシャーマンが来て、水戸室内管弦楽団を指揮して、この曲を演奏したのです。チェンバリストとしてショルンスハイムも同行し、アリアの主題を弾きました。そのアリアの素晴らしいこと、何と形容していいのやら。ノボの目には涙が滲みました。チェンバロの音で涙が滲むなど考えられないのですが。

 今では、カート・ラダーマーが編曲し、ギターで演奏したゴルドベルク変奏曲のCDを、一番よく聞いており、夕べ、夜、また時折午前中の時間帯にも流すことがあります。30の変奏を持つこの曲ですが、演奏法も、チェンバロ、ピアノ、弦楽三重奏、管弦楽、そしてギターなど、何と多様なことか。 (平成27年7月1日)