私とBeatlesとの出会いは、父の所有していた3枚のLPレコードよるものだった。
それは、小学生4年生か5年生の頃だった。
仲の良かった幼馴染の影響も大きい。
その頃、ガンプラで遊んでいた私達は、次に戦車のプラモデルを作って遊ぶようになり、その後、ラジコンへと移行していった。
私が初めて買ったラジコンは、タミヤのワイルドウィリーというジープだった。
5年生になると、その幼馴染とはクラスが違ってしまい、別の友達と遊ぶようになったが、私がそのグループのリーダーと喧嘩をしたことにより、グループからはじかれ、仕方なく別のクラスの幼馴染と再び遊ぶようになったのだ。
そんな時、彼の家は、新築の一戸建てを建て引っ越しすることになった。
そして彼に自分の部屋が出来たので、そこで遊ぶようになった。
彼の家に遊びに行くと、彼はBGMをかけてくれて、それがビートルズだった。
彼にはお姉さんがいたので、その影響かもしれない。
そして、ビートルズのレコードなら俺の家にもあるということになり、家に帰って聴いてみたのが始まりだ。
親父の所有していたビートルズのレコード3枚は、以下のとおりである。
『A Collection Of Beatles Oldies』
収録曲
A1 She Loves You
A2 From Me To You
A3 We Can Work It Out
A4 Help
A5 Michelle
A6 Yesterday
A7 I Feel Fine
A8 Yellow Submarine
B1 Can't Buy Me Love
B2 Bad Boy
B3 Day Tripper
B4 A Hard Day's Night
B5 Ticket To Ride
B6 Paperback Writer
B7 Eleanor Rigby
B8 I Want To Hold Your Hand
『Yesterday And Today』
収録曲
A1 Drive My Car
A2 I'm Only Sleeping
A3 Nowhere Man
A4 Dr. Robert
A5 Yesterday
A6 Act Naturally
B1 And Your Bird Can Sing
B2 If I Need Someone
B3 We Can Work It Out
B4 What Goes On?
B5 Day Tripper
『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』
収録曲
A1 Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band
A2 With A Little Help From My Friends
A3 Lucy In The Sky With Diamonds
A4 Getting Better
A5 Fixing A Hole
A6 She's Leaving Home
A7 Being For The Benefit Of Mr. Kite
B1 Within You Without You
B2 When I'm Sixty-Four
B3 Lovely Rita
B4 Good Morning Good Morning
B5 Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise)
B6 A Day In The Life
後でわかったことだが、この3枚のLPは、いずれも父が会社の同僚に借りていた物だった。
父は、その少し前に地元の電気屋で自称30万もするステレオセットを買った。
おそらくその電気屋が店じまいとかで安くなっていたのだろう。
当時住んでいた狭い連棟式長屋には相応しくない、そのステレオセットは東芝製で、デカいスピーカー2つに、アンプ、ラジオ、カセットデッキ、レコードプレイヤー、それとイコライザー的なもの(ノイズキャンセラーかドルビーシステム)で構成されて、それらを納めるための専用棚で構成されていた。その棚の一番下に引き出しがあり、そこに数枚のレコードが入っていて、それらのレコードは全て借り物だった。ビートルズの他に、アレサ・フランクリンとオーティス・レディング、サム&デイブがあったと記憶している。
つまり、父には自分でレコードを買って集めるような趣味はなく、レンタルレコード店や会社の同僚から借りて来たレコードを聴くためだけに、その30万もするステレオを買ったのだ。
そして、毎朝そのステレオのラジオで「おはようパーソナリティ道上洋三です」を聴くのが我が家の日課であった。
話が逸れたので元に戻そう。
つまり、そのタイミングで前述のビートルズのレコードがあったのは奇跡的なことだったのだ。
『A Collection Of Beatles Oldies』と『Yesterday And Today』は曲が被っているが、父からすれば関係なかったのだろう。父とはビートルズの話などしたことないから、ただ同僚から借りただけで何でも良かったのだ。
でも私は、父がいない時に何度も何度も聴いた。
当時、私のお気に入りの曲は、「Yesterday」だった。
誰もが知る名曲中の名曲であり、Paul McCartney作の曲である。
ご存知のとおりビートルズの曲の殆どは、Lennon-McCartney作となっているから、当初は2人の共作だと思っていたのだが、それを、これはJohn Lennon作、これはPaul McCartney作だと教えてくれたのが幼馴染だった。
彼のお気に入りは、『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』と『Abbey Road』
だった。
ジャケット写真にまつわる話なども教えてくれた。Paul McCartney死亡説だとかそんな裏話もだ。
その頃、新たにCDという媒体が発売された。
まだ海の物とも山の物ともつかない媒体だったが、彼は、『Abbey Road』
のCDを持っていて、私に聴かせてくれた。
私の家には当然CDプレイヤーなどあるはずもなく(ビデオデッキすらなかった)、カセットテープにダビングしてもらって聴いたと記憶しているが、それがその時期だったかどうか定かではない。だが、私が『Abbey Road』のCDを買ったのは、ずっと後になってからなので、その記憶に間違いはないと思う。
彼は私に、リリースは『Let It Be』のほうが後だが、『Abbey Road』が、ビートルズが最後に録音したアルバムなんだと教えてくれた。
その最後のアルバムの最後の曲が「The End 」なんて凄くないか?「Her Majesty」は付け足しなんだと熱弁してくれた。
そして、彼はGeorge Harrisonが一番好きだと言っていた。
だから、George作である「Something」と「Here Comes The Sun」の2曲が収録された『Abbey Road』こそが最高傑作なんだと熱く語っていたのを今も覚えている。
私達がビートルズを聴き始めた頃には、すでにJohn Lennonは亡くなっていたはずなのだが、John Lennonが殺された時に彼から家に電話があったと記憶していた。後で調べたところ、John Lennonが死んだのは小学3年生の時だとわかったので、その時点ではまだビートルズは聴いていなかったと思うから記憶違いなのだろう。
ビートルズの全てを聴き終わると当然、John LennonやGeorge Harrisonのソロ作を聴いていったのだが、何故かPaul McCartneyのソロは聴かなかった。
当時、ビートルズの曲で好きだったのは、前述の「Yesterday」や「The Fool On The Hill」などPaul McCartneyの作った曲のほうが多かったのに、不思議なものだ。
そして、かれこれ数十年が経った。
今、ビートルズは殆ど聴かない。
でも、ビートルズのカヴァーは聴く。
勿論、本家を超えることは出来ないかもしれない
が、中にはアレンジの妙によって、
そう来たか!
と感心させられる曲もある。
そこで、次回は、マイ・ベスト・ビートルズ・カヴァーを紹介します。