FAUNA

Argentum Gray



 上記記事で配偶者様にBose Frames Soprano(以下、Sopranoという。)を進呈したが、主自身の仕事用にもオーディオグラスが欲しくなってしまったため、今回買ってみた。


 選定​要件

  • 防塵・防滴性のあるもの
  • 仕事で使えるデザイン(オーディオグラスっぽさがないもの)
  • 高音質
  • 出自のしっかりしたブランド(見栄っ張りだもんで)

で調査開始。元々そんなに種類がある訳でもない分野で令和最新系の格安ブランドを除くと、BOSE Frames、Ray-Ban Meta、Echo Frames(3rd Gen)ぐらいしかまともな候補が残らない。更にビジネスユースなデザインのものとなるとそれこそEcho Framesの実質一択になってしまうのだが、実は他に上記選定要件を満たす知る人ぞ知るブランドがある。それがFaunaだ。


 ​Faunaとは

 Faunaは2019年にオーストリアで産声をあげた企業。親会社であるU-Soundの持つMEMSスピーカー技術と、同じくオーストリアのハイテク企業AT&Sによるテクノロジーをこれまたオシャレなフレームにぶち込んだ商品をリリース。

 日本ではウェリントンタイプとキャットアイタイプそれぞれ2種の計4モデルを展開した。

 2024年現在現行販売しているかは不明。日本の総代理店HPでもFaunaブランドのリンクが404 not found...


参考:国内でのラインナップ


 ​所感



 今回入手したのはMemor Havanaの色違いとなるArgentum Gray。その名が示す通り、銀と灰色を混ぜた半透明な色合い。ベースモデルであるMemor Havanaのシックなトートイズシェルカラーと比較するとかなりカジュアル志向なカラーリング。


同梱品はスタートアップガイド、USB-Cケーブル、セリート(メガネ拭き)だ。


1.メガネとしての評価

 フレーム素材はイタリア製アセテートで、レンズはZEISS社のものを使用。メガネとして見ても高品質な造りだ。

 レンズ交換も簡単で、フィッティング調整もある程度可能だ(下図参照)。


参考:調整可能部位

 メガネの超音波洗浄を行う際は、テンプルを取り外し、フロントのみ洗浄する。

 スタイルはオーソドックスなウェリントンタイプでガジェット感を感じさせないデザイン。

 巷の日本人レビュアーが異口同音に鼻当ての幅が広いためずり落ちると述べているが、元々欧米人の骨格に準拠した設計なので然もありなん。側圧は強めなのである程度鼻が高い人は保持できると思う。

 一般的なセルフレームメガネと同様に鼻当ての盛り加工も可能なので側圧のみの保持が不充分な人はメガネ販売店にフィッティングの対応可否を問い合わせてみるのも良いだろう。

 因みに主の場合は無加工で全く問題なかったため、フィッティング調整もせずに済んだ。


 メガネは智(よろい)部分が雑なもの(酷いものではフロントとテンプルのデザインが一貫してない、メガネを広げた際に丁番(ヒンジ)の取付角度がズレているなど)が散見されるが、Faunaはその点丁寧に作られている。また、Sopranoは充電用ポゴピンがテンプル内側に露出していて、そこがいただけない印象だったが、Faunaは完全に充電接触面が隠れるようにデザインされており、主的に大変よろしい。



 充電クレードルを兼ねているメガネケースも大変オシャレで品の良い造り。


 Sopranoのケースはブラックで簡素な造りだったが、Faunaはカラーも深みのあるグリーンとアイボリーの組み合わせで上品さを上手く演出している。しかし、バッテリーを内蔵している関係でそこそこ重量が嵩むため、可搬性は正直あまり良くない。



2.オーディオ機器としての評価

 先ずはFaunaのオーディオ機器としてのスペックをSopranoとの比較で列記する(全てメーカー公表値)

 Fauna         Soprano      


  • 防水・防塵性能・・・・IP52            IPX2
  • バッテリー持続時間・・4H(※1)       5.5H
  • Bluetooth ・・・・・・5.0              5.1
  • コーデック・・・・・・SBC.AAC     非公開
  • 専用アプリ・・・・・・なし(※2)   あり


※1 メガネケースが充電クレードルを兼ねて

 おり、ケースからの給電を含めた連続使

 用なら1サイクル20時間となる。

※2 嘗てはアプリが存在したらしいが、

 2024.6現在App Store(Google Playも)

 から無くなっているため、無しとした。

 因みにこのアプリでは、

 ・リマインダー(水分補給通知、姿勢を直す)

 ・サウンドループ(集中、リラックスの促進)

 ・ポモドーロタイマー(作業間隔を設定)

 が管理できたらしい。


 Faunaはスペック的に防塵性以外はSopranoに今一歩及ばない感じだが、MEMSスピーカー(&ウーファー)という強力な武器を携えている。

 MEMS(Micro Electro Mechanical System)とは従来のスピーカー構造とは異なり、ダイヤフラム(振動板)が振動して音を発するのではなく、一言で言えば半導体の一部が発音体となる構造で、軽量小型かつ音質面で優れているとのこと。よく分からんが、スマホなどで既に広く普及している既存技術ではあるらしい。

MEMSスピーカー部

ウーファー


 実際にSopranoと聴き比べしてみたが、残念ながら結果的にはどんぐりの背比べだった。双方とも高音、中音は割と出ているが、低音は弱々しい。Faunaの方がウーファーを搭載している分、低音域にアドバンテージがあるかと思ったが、少なくとも主のバカ耳では両者の明確な差異を感じとる事は出来なかった。

 やはりオープンエアスピーカーであるオーディオグラスのスピーカーはイヤホンやヘッドホンの領域に及ぶことは決してないことを改めて感じさせられた。まぁ、ハナから過度な期待もしてなかったのでさして落胆もないが。

 Sopranoと同様に、ガッツリ聴き入るのではなく、作業時のながら聞きの運用と割り切るべし。

 なお、操作は左右それぞれ機能が分割されている(下図のとおり)。

参考:操作方法


 短所としては、本体に電源スイッチがないため、ケースからメガネを取り出すとオートでPower Onとなる。そしてBluetoothを使用せず30分経過するとPower Off。その後いざ使用するとなった場合は、一旦メガネケースに収納し、再度Power Onさせないといけない謎仕様だ。主のようにデスクワーク時のみに限定する用途なら良いが、外出する場合はメガネケースも持ち出す必要がある。人によってはかなり面倒くさいと思う。

 任意でOn/Offできないのは主的にはマイナスポイント。

 ​メガネ化

 一通り所感も述べたところで、最後の仕上げであるメガネ化を施す。Argentum Grayはデフォルトでグレー系のカラーレンズが装着されているので、仕事用メガネとするには無色レンズに換装せねばならない。

 近くのメガネ販売店で自枠持ち込みレンズのみの加工を依頼。主は軽い近視(装用度数S-1.00)なので店舗在庫レンズでOK。



 これで漸く仕事用メガネ完成。