Grell Audio

Drop+Grell OAE1


   ここ暫くヘッドホン無所有の生活だったのだが、その裏ではこそこそとヘッドホン探しをしていた。当初はちゃんとした(?)ヘッドホンを探していたが結局ちょっと風変わりなヘッドホンを買ってしまった。Grell AudioのDrop+Grell OAE1だ。

 ​Grell Audio

   Grellが何なのか全く存じ上げなかったのだが、Sennheiserの高価格帯ヘッドホンHD800や、HD650、HD600等の設計に携わったAxel Grell氏のことらしい。2018年にSennheiserを退社後、2020年にドイツでGrell Audioを立ち上げた。

   アメリカのDrop(旧Massdrop)とのパートナーシップにより、2021年にDrop+Grell TWS1Xというワイヤレスイヤホンをリリースした。

参考:Drop+Grell TWS1X


   そして、2024.5月にはオープンバックタイプオーバーイヤーヘッドホンであるDrop+Grell OAE1 Signatureを発売。己の理念を突き通す挑戦的な商品づくりを続ける頑固気質なメーカーといった印象。


 Drop+Grell ​OAE1

   発売当時、ローンチエディション的位置付けのDrop+Grell OAE1 Signatureは 1,000個限定だった。その後暫く経って、スタンダードバージョンが今Drop(旧Massdrop)で販売されている。


参考:Drop+Grell OAE1 Signature

参考:Drop+Grell OAE1(Standard)


   新旧の相違点(スタンダードモデル観点)

  • ハウジングのメッシュ部やアーム部がシルバーからブラックに変更
  • Grell氏の署名が無い
  • ヘッドバンドの企業ロゴ印字が変わった
  • イヤーカップ内側にL/Rを表記
  • 締め付け力を調整し、快適性を向上
  • 価格を下げた
  • バランスケーブルとキャリングケースが付属しない
  • 個別の周波数特性グラフが付属しない
といった感じ。

   OAE1の最大の特徴はドライバーが斜め前方に配置されていることだ。

参考:ドライバーの配置状況


   人間の耳は主に前方向からの音を耳介(外に露出している部分)が集音器の役割となり、音を反射させて鼓膜に伝える構造だ。Grell氏はそこに着目し、前方から音が聴こえるようドライバーの角度を変えることで、「人間が感じる自然な聴こえ方」を追求し作製したのがOAE1だ。
   OAE1の基本スペックは以下の通り
  • 40mmバイオセルロースダイナミックドライバー
  • 周波数特性:12 - 32,000Hz(-3dB)、06 - 44,000Hz(-10dB)
  • 感度:106dB/1kHz
  • インピーダンス:38Ω
  • 重量:375g

 所感

   DropにはSignature(リファービッシュ品)とスタンダードモデルの両方がセール価格で売られており、ほぼ同額だったのでSignatureにした。充実装備であることと、Signatureはユーザーの意見がまだ反映されていない、製作者の意図だけで作られているからだ。


   今回初めてDropで購入したのだが、どういう訳か購入(&決済)から3日後に自宅に届いた。海外発送と関税手続、国内配送まで考えたら有り得ない早さなんですけど?何にせよ早く着く分に文句などある筈もないのでDropには感謝を。



   アメリカから3日という超特急で来日してくれたOAE1さん。化粧箱はちょいダメージありだが気にならない程度。

   キャリングケースは綺麗。人によっては充分デカくて嵩張ると感じるサイズだが、Dyson Zoneを所持していた自分からすれば薄くて軽いので全然許容範囲内。


   同梱品の様子。4.4mmバランスケーブルは編組被覆だが、3.5mmアンバランスケーブルはチープなゴム被覆。個人的にここは価格を上げてでも編組ケーブルに統一して欲しかった。

   同梱品その2。マニュアルと周波数グラフ

   オープンバックタイプならではのメッシュ。思えば開放型ヘッドホンは数年前に所持してたKOSS Porta Pro以来でかなり久しぶりだったことをふと思い出した。

   アーム部にSignatureモデルであることを示すGrell氏のサインが。性能に全く影響無いのでだからどうしたという話ではあるが。

   イヤーパッドはベロア素材。肌触りはともかく付いたホコリがとにかく目立つんだよなぁ...


   リファービッシュ品なので多少の汚れ等は覚悟していたが、キズも無く新品同様だった。


   装着感については、ヘッドバンドの締め付けがかなりキツいという海外ユーザーの意見が多いが(その結果、スタンダードモデルでは改善が施された)、自分は特にキツく感じなかったし、不快感も特段感じない。

  

   音質はオープンバックタイプにもかかわらず、クローズドバックタイプのような必要充分な低音が出ている。ミドル、トレブルも低音同様良く出てて、同条件で手持ちのイヤホンであるWestone MACH70と同じ曲の聴き比べを行ったところ、OAE1はMACH70では聴こえないかすかな高い音まで表現出来ていた。


   聴こえ方についても個人的に癖の強い出音を期待していたが、皆が言う程あからさまに「前から音が聞こえる!」みたいな感じはなく、至って普通な感じ。これが自然な音の聴こえ方なのかもしれない。


   当然看過できない欠点もある。主に構造上の問題ばかりだが。

   マイナスポイントその1。ヘッドバンドアジャストはクリック感がないため、左右同じ長さにセットしたい時はかなり手間だ。

   なんかいかにもカチッと音がしそうな刻みがあるが、実際は残念ながら無音・無感触だ。


   マイナスポイントその2。本体側のケーブル差込口が出っ張り過ぎている。

   コイツが問題の出っ張り部分(プラ製)。

   2.5mmTRRSケーブル

   ケーブルを装着した図。ご覧のようにケーブルの最も太い部分が完全に隠れてしまうため、ケーブルを外す際は細い部分を持って引っ張ることになる。

   Grellのこだわりデザインなのか、はたまた凡人には到底理解不能な科学的知見に基づくものかは皆目見当もつかないが、なんにせよ断線リスクをユーザーに負わせるのは正直やめて頂きたいところだ。


   とまぁこんな感じのOAE1 Signatureでしたとさ。ほどほどの性能で低価格且つ上記のいくつかの短所を許容できるなら充分検討の余地はあるのではないだろうか?


   後日ベースの練習にコイツを使っていたら、隣の部屋に居た配偶者様から五月蝿いとの苦情を頂いた。これまで密閉型ばかりだったため、ついつい音漏れの事を失念していた。確かにシャカシャカ音漏れが凄い。これは...代替品が必要だな。OAE1には職場での活躍を期待しよう。またヘッドホン探しか...