音符ひとつの「あり」「なし」で、激しく論じ合っているのである。
 ところで、当時は角川映画の全盛期であった。
 折しも、横溝正史原作の『犬神家の一族』という映画が大ヒットしていた。
 そこで3人は、
『犬神家の一族のテーマ』
というサウンドトラック曲をやろうとしていたのだ。
 大野雄二が作ったその曲は、とても美しい曲であった。
 聴きどころは、バイオリンの主旋律に対するオブリガート(対旋律)であり、それを奏でるのがホルンということもあって、
(この曲、絶対にやるべ!)
 3人は思い立ったのである。
 その、肝心のホルンのオブリガートについて、意見が真二つに分かれているのだ。

 つづく
「文化祭デビュー!」の第1話へ
 一番最初の「夢想時代」第1話へ

$桜町荘セレナーデ