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 浪人はやがてどこぞの武家に仕官が叶い、浪人を脱出するのである。
 僕の東京ライフも、早くも出世の階段を上っているようであった。
 その居候とは、高校で同級生だった相澤という男である。
 高校も同級生だったが、中学校も小学校も同級生であった。
 同級生の見本のような男であった。
 その彼はある晩、ビールに酔っぱらい、河合奈保子のポスターに抱きついたのであった。
 あまつさえ、セップンまでしたのである。
 そのときの僕の怒りようは尋常ではなかった。
 当時の河合奈保子(のポスター)は、僕の心のよりどころだったのだ。部屋の守り神、ご本尊さまであらせられたのだ。
 ご本尊にセップンである。
 お釈迦様にわいせつ行為を働いたようなものだ。
 河合奈保子のお顔はよだれで歪み、僕の心も歪んだ。
 それからしばらくして、河合奈保子はゴミ箱行きとなったのである。

 つづく