今学期、地元スクーリングの第1弾は、アニメと声優に関するものです。

 

何故この内容が出てくるかといいますと、産業社会情勢が絡んでいるからです。

 

教科書の隅とかに何個も同様の絵を少しずつずらしてパラパラめくると、あたかも動いているように見えるのがアニメーションの原理です。

ディズニー作品を中心とするアニメーションは、1秒間で24枚もの絵を見ることで動画となっていることは、周知の事実です。

アニメーションを作る前に声優さんが声を吹き込んでおき、キャラクターの口の動きは後から描画する方式であり、かなりリアルなものです。

ディズニー作品のように1話完結というパターンであれば、このような完成度の高いフルアニメーションという技法が使われます。

日本でも昭和18年には既にこうした作品があったそうです。

子どものキャラクターでは子どもを起用するということも普通だったそうです。

 

しかし、この後に戦争が起こり、GHQによる占領でガラリと変わり、児童福祉法、労働基準法などで子役を使うことが難しくなったそうで、この後は女性声優が少年役もこなすといったことが一般的になっています。(現在のジャイアンは当時中学生から活動していましたが、勿論男性声優です。)

 

日本のマンガ産業が大きく発展したことは、今となっては周知の事実です。資本主義社会の中で、売れるマンガを毎週/毎月のように連載し、それを毎週の動画として放映しようとすれば、フルアニメーションの方式では無理があります。

1秒間に24枚もの絵を、30分番組を正味20分と仮定して、それで毎週放送していたら何コマの絵が必要になるやら…ということで、フルアニメーションをやめて省力化した日本型アニメとして制作するのが一般的になっています。

動きは3連続で4種類の画面をランダムにして口パクを再現、背景等は別に作成して前にセル画を置いて手動で動かしたり、動きを線で表現したり、静止画をズームで撮影するというやり方、更にはずっと静止画を出しておいて声優さんのセリフ・嘆き声だけで静止画に心理的動きを付けるという手法もあり、声優さんは出来上がった動画に声を吹き込むアフレコ方式が今では主流です。いわば、アニメーターと声優の協同作業という訳です。

 

アフレコであれば、口パクが現実のものでなくても良いので、「のび太のくせに」などというアドリブも使い易くなります。

 

流石に、毎週放映するアニメ作品にフルアニメーションなどという方法を採ったら採算は合わないですし、納期に間に合わないといった、日本の一般的作品独特の困難も抱えます。

 

制作費の確保は…そこは大きな資本を持った企業の傘下でやるようです。

映画版ではそう毎週作る必要はないので、フルアニメーションに近い手法を採ることもあるそうです。

 

声優さんは色々なキャラクターを使い分けるために、原作のキャラクターの設定が若干声優さんの演じるものに近付いていくということもあり、更には、視聴者が作品を見て抱いた印象を雑誌で紹介してイメージを増幅させていくことでキャラクターが独り歩きするということも考えられます。

 

結局のところは、沢山の要素が絡み合ったシステムということもできるように思います。