2014/7/12

鉄は熱いうちにと言いますから冷めないうちに書きます。久々に東京から出て神奈川方面へ見学に出かけました。
鎌倉は腰越の小動神社天王祭の宵宮です。ネットでよくひっかかるのは本宮ですが、山車がじっくり見れるのは宵宮。
神奈川方面はこのブログでよく紹介するお囃子(神田囃子系っていったりしますね)とは別に鎌倉囃子とか小田原囃子と呼ばれる囃子があります。
山車の文化も違いますから面白く見学できました。


(下町人形場の古写真より)
かつては氏子五ヵ町の山車が揃い、「西の祇園の花車、東は腰越の人形山車」なんて称されたようです。四町内が二人立ちの豪勢な人形を上げていましたからさぞや絢爛豪華な祭礼だったのでしょう。
山車は四台現存し、いずれも片瀬の住人様の定義するところの湘南型(唐破風・小型車輪・回り舞台)です。

片瀬江ノ島駅から腰越方面に向かうと下町の山車が。
関東大震災後に改めて大正15年に建造した二代目。腰越で唯一オリジナルの形で現存する。
山車人形は神宮功后と応神天皇を抱く武内宿禰です。


武装をして三韓征伐を成し、凱旋後に出産した皇后です。
キリッと引き締まった顔をしています。


擬宝珠の形も面白いです。内部には一本柱の構造が備わっていますが近年は立てていない様子。


像鼻が沢山ついてるのも不思議な印象です。車輪は湘南型の特徴でもある小ぶりな車輪。梶はついてません。


大通りは江ノ電が走ります。


中原町の祭典事務所には


素戔嗚尊の山車人形が飾られております。


少し前に紹介した羽村の様なワイルド系のお顔立ち。


力強くにらみつけています。幕は一番痛んでいるように感じました。


土橋町の頼朝と五郎丸の人形。仮設の人形場に飾られていました。


土橋町の山車は放火により山車を焼失し、焼け残った部材を用いて復元した。


そのためゴムタイヤを用いている。


神戸町の八幡太郎と鎌倉権五郎影政の人形。


商店の一部を用いて飾られています。旧大横の和唐内もこんな顔でしたかね。歌舞伎の影響の様な気がします。


神戸町の山車。明治建造の山車で昭和37年に半焼した山車を平成14年に復元。


梶の道具や屋根の形を見るに皇大神宮の山車を思い出します。



御仮屋の先には鎮守の小動神社があります。


神社神輿。翌日に江ノ島八坂神社の神輿と共に海中渡御が行われます。



浜上町の義経と弁慶の山車人形。
山車は焼失し現存しないが人形は平成18年に復元した。
置き場所の確保や資金の関係で山車再建の目途は立っていないようです。


参道わきには山車の収蔵庫が備わっています。


江ノ島と鎌倉の海を一望できるのでちょっとした穴場スポットにもなってたりします。
主祭神は武速須佐之雄です。神仏習合の別名は牛頭天王で、天王祭という名前は須佐之雄をお祀りする神社でよく呼ばれています。
翌日に合同で神輿の海中渡御を行う江ノ島の八坂神社も須佐之雄の神社です。こちらのご神体が流れて祀られたそうな。
漂着物のご神体というのは浅草、相模湖の与瀬、品川の荏原とよく聞きます。客人神の一端でしょうか。


神社の神輿蔵から慌ただしく準備が進められていました


鎌倉方面に少し歩くと日本の駅100選の一つの鎌倉高校前駅です。右は七里ヶ浜。海がちょっと隠れますが、こっちのが空いてます。
江ノ電と海を収められるビュースポット。カメラを構えて江ノ電まちをする観光客多し。
スラダンやプリンセスプリンセスのPVのロケ地だったり。最近ではヨサコイアニメのロケ地(いわゆる聖地?)だったり。


夕方5時頃から屋台と呼ばれるリヤカーで囃子が演奏され町を練り歩きます。


山車でもお囃子が演奏され始めお祭りらしくなってきます。
お囃子は楽器構成こそ同じですが、なじみ深いお囃子とは少し毛色が違います。
鎌倉囃子やら小田原囃子と呼ばれる流れなんだそうな。地域では天王囃子と呼ぶそう。
大阪方面でも福生方面でもなく、小動天王祭の天王囃子。
皇大神宮方面の囃子もこの辺りから伝わったそうで、バチ数や曲数も多いように感じます。
四丁目ぽかったり、昇殿ぽかったり。4曲程度(下町では一曲復曲し五曲)が伝わっているとのこと。江戸囃子の遠いルーツという説もあります。
多摩地区にも所謂五人囃子以外にも祇園囃子や天王囃子と呼ばれる五人囃子よりも古そうなお囃子が多く残っています。
そういう所から調べていけば色々分かってきそうですが・・・今のところは勉強不足です。


流し踊りと呼ばれる民謡流しの通過後山車が出発します。


最初に書いた通り、下町の山車に梶は付いていませんので棒差し込み少しずつ軌道修正していきます。ソーレっ。


そして湘南方面の山車の特徴でもあるぶん回し。舞台が勢いよく回転させます。
回り舞台の山車自体はそう珍しくなく多摩地区やあちこちで見かけます。狭い街道で競り合いをするのが目的とも言いますが、湘南方面はこのぶん回しの為についてるような感じです。


すれすれの路地をを山車が進みます。


くらくなり流し踊りの通過後に山車も大通りに繰り出します。


中原町の山車。昼間撮影し忘れました;
こちらも放火により焼失し、焼け残った部材で再建された山車です。
彫り物は樹脂製で構造も一部往時から変更しています。


江ノ電が通過するときは道路わきに退避。
その昔は祭礼の為に運休し架線を取り外したそうです。
今は難しいでしょうなぁ。。。


8時頃に腰越駅付近に山車が集結します。どの山車もグルングルンぶん回し。


9時ごろに町内に戻り、またぶん回し。9時半にはすべて終了でした。


ちなみに、この日はスパームーンと呼ばれまして月が地球に接近し大きく見えて、尚且つ満月である日だったそうな。