1.2宇宙と人間原理<人間原理を紐解く(私的理解)> | ピアの窓

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徒然に気の向くままに

(1)   人間原理の私的見解

前回「人間原理とは」をウィッキペディアで見てきたが、最初に触れる殆どの人は理解に苦しむのではないだろうか。そこで、科学者が説明する宇宙と人間原理を通じて、私なりの理解を要約して説明したい。

人間原理には2つの側面があるではないか。

①    「人間という知的生命がこの現宇宙に誕生したということ」から現宇宙構造を理解できること

②    「人間という知的生命が現宇宙を観察、認識しているということ」から現宇宙構造を理解できること

①    については自明なことだが、人類が誕生、生存するために必要な条件(物理定数等)が現宇宙に全て揃っているということである。例えば、重力の大きさ、真空エネルギー密度などなどと言った星や太陽の存在、生命体の誕生に必要な元素、環境など必要な物理化学条件が揃っていること。

②    について

この項目は分かりにくいが、人間原理の核だと思われるので少し丁寧に話を進める必要がある。

この納得には相当の時間を要した。理由としては多宇宙(マルチバース)に関わる仮説を前提としていること、量子力学の不可解な現象の理解(いや納得)が必要であることである。

(2)人間の観察、認識について

ここで観察、認識について少しだけ掘り下げて考えてみよう。人間の観察、認識のアヤフヤさは、良く指摘されるところです。観測選択効果ということをご存じでしょうか?観察の前提条件によって、観察結果が全く異なってしまうということです。

また、人間と多くの動物や昆虫とも知覚、認識の結果が異なっていることも知られている。人間同士でさえ居住環境によって知覚に基本的な差異があると言われている。

もし、違う物理定数を持つ他の宇宙に住む生命体がいたとしたら(3次元に住んでいるとは限らない)、我々の現宇宙はどのように観察されるだろうか?

すなわち現宇宙に住む人間だからこそ、現物理定数などの現宇宙の構造を認識できる。敢えて誤解を恐れずに言うと現宇宙の構造を決めている。ということになる。

 

観測選択効果(かんそくせんたくこうか、observation selection effects)とは、科学哲学の世界でよく使われる言葉で、何らかの現象観察が行われる際に、観察者の性質や能力によって、観測される対象の層に偏りが生まれてしまう現象のことを言う。例えば地震の強さと回数についてのデータを取る場合、計測器の精度が悪ければ微弱な地震は少なく見積もられ、逆に強い地震の占める割合は相対的に大きく見積もられてしまう。人間原理について議論する際によく参照される概念。