息子が生まれてから、

2年10ヶ月が経ちました。


気管無形成という疾患で、

一般的な人のようにできないことが、

二つあります。


一つは、

口から食べることができません。


もう一つは、

声を出すことができないので、

話すことができません。


しかし、

一つ目のできないことは、

今月予定されている、

食道再建手術によって、

できるようになる予定です。


そして、

もう一つのできないことは、

現時点で、

解決策はありません。


出生直後、

呼吸を確保するための手術を、

何度か行っている中で、

息子は声門の先の気道がありません、

と、

執刀医に告げられてから、

何か方法はないか、

と調べてみました。


しかし、

これといった方法は、

なかなか見つかりませんでした。


そんななか、

当時『関ジャム』という番組で、

「実はすごい楽器特集」を観ました。


そのなかで、

「トークボックス」

という楽器を紹介しているのを観た時、

これだ!

と思いました。


とあるサイトによると、

まず、

演奏する楽器の音を、

専用のスピーカーからホースを通して、

1回演奏者の口に送る。


そして、

口の中でその音を共鳴させた上で、

マイクで音を拾って外に出すことによって、

楽器の音が喋っているように加工している、

とありました。


これなら声門は関係なく、

口パクだけで話せるのでは?

と思いました。


当時、

定期通院の際に、

小児科の先生に話してみたところ、

トークボックスの存在は知りませんでしたが、

なるほど〜的な反応ではありました。


ただ、

もともともは楽器なので、

日常的に使用するには無理があるかなと。。


シンセサイザーを、

気軽に持ち歩くわけにはいきません。


とはいえ、

仕組みとしては、

まさに息子にピッタリなので、

近い将来、

医療機器として、

応用してもらいたいと強く思いました。


トークボックスは厳しいとなると、

意思疎通の方法は、

やはりジェスチャー、

そしてゆくゆくは手話になるのでしょう。


実は、

息子がNICUから退院する少し前に、

『今すぐできる かんたんベビーサイン』

という本を買いました。

 この本を使って、

息子が初めて覚えたのは、

「おはよう」

でした。


片手をグーにして、

顔の脇で上げ下げする仕草です。


息子の場合は、

ニコニコしながら両手でやってくれます。


その次は、

「おいしい」

です。


今は口から食べることのできない息子ですが、

嚥下訓練の一環として、

ジュースや味噌汁等の液体、

他にはメロン等の果物

少し口に含ませています。


本のとおりではありませんが、

こちらの顔を見ながら片手をグーにして、

ほっぺたをトントンします。


以前、

柿をなめさせた時には、

ほっぺたをトントンしながら、

何度もおねだりしていました。


本に書いてある以外の仕草としては、

「吸引」

です。


吸引前に消毒する時、

息子に向かって、

両手を広げて合わせてスリスリします。


すると、

息子も真似をしてスリスリしてくれます。


その他、

ミルク注入時に、

ごはんだよ〜と言いながら、

息子の前で両手でグーパーを繰り返します。


これは、

噛む動作のようで、

息子もしっかり応えてくれます。


確実に意思疎通できているのは、

今のところそのくらいです。


もちろん、

名前を呼べばこちらを向き、

おいでと言えば、

こちらに来てくれます。


ただ、

もうすぐ3歳を迎えるこの時期、

精神面の成長が気になっています。


恐らく、

一般的なお子さんに比べれば、

だいぶ遅れているのは実感しています。


しかし遅れていながらも、

日常生活のなかで、

もう少し意思疎通を深めていきたい、

というのが本音なのです。


かと言って、

強制的に教えるのも、

何か違うような気がしています。


一方で、

ふだん、

ほぼずっと一緒にいる妻は、

僕よりも、

だいぶ意思疎通できていると思います。


お気に入りの動画を見ながら、

妻の掛け声で身振り手振りを入れたり、

体を上下に揺すったり。


それを見て、

嬉しいと同時に羨ましく思っています。


ただ、

最近になってようやく、

僕が仕事から帰宅すると、

リビングから、

タタタとお出迎えに来てくれます。


これも意思疎通のひとつ。


仕事の疲れが一気に吹き飛ぶ瞬間です。


しかし、

後で妻に聞いたら、

妻が、

ほら、

パパ帰ってきたよ!

と、

きっかけを作ってくれていたのでした。。


またまだ道のりは長いですが、

ゆっくり成長していこう!



(改めて)食道再建手術まで

あと16