<艶が~る、妄想小説>


【温泉企画♪】*結城翔太編*(前編)


今回は、翔太くんと主人公ちゃんのお話どすきらハート 純愛ハート大好きだぁ~!!少しでも、二人のドキドキが伝わると嬉しいです…にこっ 今回は、二人の目線を交互に描いてみましたキャー 


相変わらずの駄文ではありますが…よかったら!


【温泉♪おんせぇぇん♪】前半戦

【温泉♪おんせぇぇん♪】後半戦第1部

【温泉♪おんせぇぇん♪】後半戦第2部

【温泉♪おんせぇぇん♪】*翔太×俊太郎編*

(↑続きものにつき、良ければこちらからお楽しみ下さい)



【温泉企画♪】*結城翔太編(前編)



あの激動の座興杯対決が幕を閉じてから、四日後の今日。


待ちに待った、翔太くんと温泉旅館へ行ける日がやってきたのだった。


決着がついたあの夜…彼は、青白い顔をしながらも、「誰にも渡したくなかったから…」と、真剣な眼差しを私に向けてくれた。


本当は、とっくに限界を迎えていたはずなのに…。


それほどまでして、私との時間を楽しみにしてくれていた。


何度、止めても言う事を聞いて貰えなかったから、とても心配だったんだけど…でも、そんな頑固なところも、私は大好きで……


子供の頃から頭の回転が速くて、常に、先を読んで行動できるし、バスケなどで鍛えられたであろう、順応力や協調性も豊かだ。


そんな彼がいつも傍にいてくれたから、自分らしくいられたのだろう。


「翔太はん、来はったよ!」
「本当?ありがとう、花里ちゃん」


準備が済んでいた私は、わざわざ階下からやってきて教えてくれた花里ちゃんにお礼を言うと、風呂敷を胸に抱え玄関へと急いだ。


逸る気持ちを抑えながら階段を駆け下りると、紺色の浴衣姿に灰色の袴姿の翔太くんが私を迎えてくれた。


「翔太くんっ」
「準備は出来てるか?」
「…うん。袴姿、似合っているね」
「そ、そうかな?」


彼は、少し照れくさそうにはにかんだ。


そして、挨拶もそこそこに、早速、秋斉さんに出かけることを伝えると、私達は置屋を後にしたのだった。



大門を潜り抜けたあたりから、彼は温泉宿について話し始めた。


京の町から離れたその温泉宿は、山の中腹にあり、そこまではかなりの距離を有するらしい。けれど、その温泉宿は、慶喜さん曰くとても評判の良い宿らしく、その近くにはかなり広い範囲の紫陽花園もあるのだそうだ。


「俺なりに、人づてに聞いたりして調べてみたんだけどさ、その紫陽花がとっても綺麗らしいんだ。せっかくだから、そこにも行ってみようぜ」
「うん。いつも、ありがとう…」
「いや…こんな機会は滅多に無いからさ。それに…」


そう言い掛けて、彼は少し神妙な顔つきのまま黙り込んだ。


「…どうしたの?」
「何でもないよ…ところでさ、その着物似合ってるな」


またいつもの笑顔が私に向けられると、私も、ずっと気になっていた袴姿のことを尋ねてみた。


「翔太くんこそ、袴姿は初めて見たけど…」
「これも、藤吉さんのなんだ」
「藤吉さんの?」


藤吉さんは、龍馬さんの下男を勤めていて、翔太くんがこの時代に来てすぐに龍馬さんに面倒を看て貰うことになった時、藤吉さんとサイズが同じだった為、いつもの着物は勿論だけど、この袴も貸して貰ったのだそうだ。


「いつもよりも、真面目そうに見える…」
「そうか?…なんか、着慣れないから変な感じなんだけどな」

「男っぽくも見えるよ」

「……そうかな?」


そうい言って、彼はまた照れたような笑みを浮かべた。



それから、旅館に辿り着くまでの間、日本中を駆け巡っている彼らの武勇伝を聞くことになり、その想像以上の出来事にただ呆然としたり、そうかと思えば大笑いさせられたりと、それだけでもうすでに楽しくてしょうがなかった。


やっと山道に入り始めた頃、涼しい風が私達の間を吹きぬけた。日陰は、寒いくらいで薄らと汗ばんでいた身体を冷やしていく。


「もう、そろそろかな…」


彼は、胸元から懐紙を取り出し、そこに書かれている目印を頼りに歩き始める。


「おっ、あそこじゃないかな」
「そうだね、あそこに紫陽花が見えて来たよ」


私達は、逸る気持ちを抑えきれず一緒に駆け出した。


その紫陽花園の中には、紫、薄桃、白色の花びらを咲かせた花々が咲き乱れている。


「すごい綺麗だね…」
「ああ、当たり前なのかもしれないけど、俺達の時代と全然変わらないんだな」


紫陽花のほかにも、菖蒲や、薄紅立葵なども綺麗に咲き誇っていた。


木々も沢山ある為、植物以外にもヒラヒラと舞う蝶や、蜂などの虫たちも、木からは鳥達がその可愛い声を聴かせてくれる…。


「なんか、こんなにのんびりするの久しぶりだね」
「そうだな」


二人でこんな風に一緒に歩くのも久しぶりだけれど、隣りにいるのが大好きな翔太くんだから…。時々、チラリと彼の端整な横顔を見つめながら、一人顔を綻ばせていた。


「ん、どうした?」
「えっ?ううん…なんか、翔太くん…また男っぽくなったね」
「なっ、なんだよいきなり…」


彼は一瞬、こちらを見つめると、すぐに目線を外しながら照れ笑いを浮かべた。


(この横顔も大好きだったり…)


この時代では、いつも一緒に居られるわけではないから…


だから、


「翔太くん…」
「ん?」
「…手繋いでもいい?」
「えっ…」


今度は少し驚いたように目を見開くと、彼はいつもの微笑みを浮かべながら、「もちろん」と、言ってそっと手を差し伸べてくれた。


差し出された手を握り締めると、少し荒さを残した彼の手の平から優しい温もりが伝わってくる。


(…やっぱり、安心するなぁ……)


「子供の頃も、よくこうやって手を繋いで学校行ったりしたよね」
「そうだったな…」


小学校低学年の頃は、よくこうやって歩いていたことが多かったけど、成長と共にこの手を意識するようになって、次第に離れて行き……。


いつの間にか、この手は私だけのものではなくなっていって、少しだけどお互いの間に距離さえ感じていた。


でも、こちらの世界に来てから、この大きくて温かい手に何度も励まされ、


『相変わらず、カメラは見つからないままなんだけど…いつか、必ず見つけ出して、一緒に現代へ帰ろう』


会うたびに、そう言って私の背中を押してくれた。


これからも、ずっと…この手に包まれていたい。


私は、そんな風に思いながら、彼の温もりを胸いっぱいに感じていた。



それから、紫陽花を堪能した後、そのまますぐ近くにある温泉宿へと足を運んだ。


二人きりでこういう場所へ来たことが無かったから…。お互いの顔を見合わせて、照れくさそうに中へと入って行った。


「ようこそ、お越し下さいました」


女中さんがほんの少し眉を顰めながら、私達を交互に見た。


なんとなくその視線が、随分と若い二人が…と、言っているようだ。


そして、部屋に案内された私達は、女中さんから部屋の案内をされた後、思い思いに寛ぎ始める。


その部屋は、とても広くて雰囲気が良く、閉じられていた障子を開けると、こじんまりとしているがとても素敵な庭が顔を出した。


「うわぁ…」
「おっ…」


思わず、二人で同時に感嘆の声を漏らす。


現代の温泉旅館とは違う、『和』を感じながら隅から隅まで目をやると、チラッとお風呂のようなものが見えた。


「あれは?」
「部屋専用の露天風呂らしい」


彼は、お風呂を見ながらそう呟いて、すぐにそのお風呂場へと足を運ぶ。彼の後を追いかけ、その先を見やると、結構広い露天風呂が視界に飛び込んで来た。



*艶が~る幕末志士伝* ~もう一つの艶物語~




「うわぁ~!素敵なお風呂…」
「どうせならと思ってさ…」
「でも、高そうだね…」
「思ったより安かったし、餞別も貰えたから」


彼は、私の言葉に苦笑しながら、この時代では、旅の安全などを願う為に、金銭的援助があるのだということを教えてくれた。


「本当は、遠慮しようと思ったんだけど…せっかくの機会だから、遠慮なく使わせて貰うことにしたんだ」


また視線を合わせては、逸らし…


どちらからともなく、声を掛け合う。


「あの…」
「あのさ…」


そう言うと、彼は、「お前から…」と、言って俯いた。


私も、俯きながらも思いきって、一緒にお風呂に入らないかと尋ねてみた。


「えっ、一緒に?!」




~ 翔太 side 



「な、何を言い出すかと思えば…」


俺は、その一言に吃驚して、思わず俯いている彼女を見つめた。


そう言いながらも、じつは…ずっとそのことが気になっていた。一緒に入りたい気持ちはあるものの、それをやってしまったら、自分の欲求を抑えられるかどうか分からないから…。


(…ここは、やっぱり…)


「い、一緒にっていうのは…やっぱ…」


そう言い掛けて、ふと袴の裾を引っ張られると同時に、俺を見上げる色っぽい視線と目が合った。


「えっ……」
「やっぱり駄目かな?」
「お前、それ…本気で言ってるのか?」
「一人で入るより、二人で入ったほうが楽しいかなって思って…」


ただ単に、一緒に入りたいだけなのだと言うけれど、それ以上の事を意識してしまう。


しばらく、二人で温泉を見つめながら立ち尽くしていた。


(どうしよう?ここは、一緒に入るべきか…やっぱり、別々に入るべきか…)


頭の中でいろいろ考えているうちに、また現実が重く圧し掛かった。


彼女とこんな風に二人きりで過ごせるなんて、二度と無いかもしれない…。そう考えた次の瞬間、俺は彼女の手を絡め取り、「一緒に入ろう」と、口走っていた。


「翔太くん…」
「別に、嫌らしい気持ちは無いから…」


そう言うと、彼女はほんの少し微笑みながら小さく頷いた。


それから、部屋に戻ってお互いに今までのことを報告し合うと共に、幼い頃からの話や学校生活での話しなどで盛り上がった。


こうやって、久しぶりに大声で笑って語り合っていると、ただこういう格好をさせられているだけで、現代に戻れたような気になってくる。


この笑顔さえあれば、俺は何でも出来るような気になってくるから不思議だ。


それでね…と、話し続ける彼女の笑顔を見つめ、また少しずつ心が癒され始める。現代にいた頃も、この笑顔が見たくて、用事を作ってはわざわざ会いに行ったり、雨の日は傘を忘れた振りして一緒の傘に入ったりして…。


いつか、この想いを伝えたいと思いつつ、言えないままだった。


こんなチャンスは滅多に無いし、もしかしたら…二度と無いかもしれない。だから、自分の想いを伝えられるのは、これが最後かもしれない…。


「……翔太くん?」
「えっ?」


いつの間にか、そんなことを考えこんでいた俺に、彼女は不思議そうな顔を浮かべていた。


「あ、ごめん。ちょっと、考え事をしてて…」
「考え事?」
「いや、何でもないんだ。それより、腹減ったな」


彼女も一つ頷くと、俺達は、宿で京料理に舌鼓を打ちながら楽しい時間を過ごした後、いよいよ温泉にでも入ろうか…と、いう展開を迎えた。


「…………」
「…………」


少し気まずい沈黙が流れる中、俺は思いきって口を開いた。


「どうする?」
「…どうするって?」
「やっぱり、別々に入ったほうが良ければ…」


俺もだけど、彼女の耳が真っ赤になっていくのが分かる。彼女は俯いたまま、「先に行ってて」と、言ってぎこちない微笑みを浮かべた。


俺は、促されるまま風呂場へ急ぐと、この後起こるかもしれない展開を想像しつつ、露天風呂を堪能し始める。


「…ふぅ~」


こんなふうにのんびりと風呂につかるなんて、本当に久しぶりだ。


いつも、ざっと入ってすぐに出なければいけなかったから…。


しかし……本当にあいつ、入って来るつもりなのだろうか…。


そんな風に考えていた時だった。


背中越しに気配を感じ、思わず何の気なしに振り返ると、そこには手拭いで前を隠しただけの彼女の姿があった。


「……あ、ごめっ!」


急いでまた彼女に背を向け、後ろで行われているであろう行動を勝手に想像する…。


やがて、その気配が近づき俺の視界に入って来ると、彼女は少し離れた場所にゆっくりと体を沈めた。胸元に濡れた手拭いを当てただけの無防備な姿に、思わず心臓が大きく波打ち始める…。


(…目のやり場に困るんだよな…)


なぜなら、濡れた手拭いで隠されても、胸の膨らみまでは誤魔化せないままだから…。


「気持ちいいね…」
「…えっ?ああ、そうだな」


(意識し過ぎだ…ここは、もっと自然に振舞わなければ…)


「あのさ、まだ小学校に上がったばかりの頃、俺んとこの家族と、お前の家族と一緒に山梨の方へ家族旅行したことがあっただろう?」
「あ、そんなこともあったね~」


俺の親父の友人が経営するペンションへ一泊旅行した時、俺達はペンション内に設置された風呂に一緒に入り、時間が経つのも忘れ夢中で遊んでいたことがあった。


露天風呂が珍しくて、長湯をしていたからか…風呂から上がった途端、二人して体調を崩してしまって、こっぴどく怒られたことを思い出したのだった。


「ほんのちょっとだけど、思い出した。あの時は、大変だったよね…」
「ああ、なんであんなになるまで長湯しちまったんだっけ?」
「私も、思い出せない…でも、きっと楽しかったんだと思う。翔太くんと一緒に入れて…」


そう言うと、彼女はまた柔和な微笑みを浮かべた。


俺もきっと、楽しかったんだろうな…。


そして、今も…彼女と一緒に居られて楽しい…のだけれど…


……体のほうはもう、限界だ。


俺は、彼女の目を盗みつつ、岩の上に置いておいた手拭いを持ち背にしていた岩に座ると、それを腰元に置いた。




ヒロイン side



「あ……」


彼は、私が視線を下に向けている間に湯から上がると、手拭いを腰元に置いてふぅ~と、吐息を漏らした。温泉ってこともあるのか、その鍛えられた上半身はほんのりと赤く染まっている。


(目のやり場に困る…)


鍛えられた胸元を流れる湯を目で追ってしまう。


バスケの試合を応援しに行った時、たまに目にした胸元や腕と比べたら、数段逞しくなっていた気がする。


きっと、こちらの時代に来てから、厳しい剣術の稽古に明け暮れていたからだろうけど、いつの間にか少年から青年へと変わっていく彼に、ほんの少しだけど戸惑いを覚えた。


(やっぱり、これ以上は入っていられない…)


「俺、先に出てるよ」
「えっ?」
「もう、のぼせそうだからさ…」


彼は、苦笑すると、私に目配せをした。


上がりたいというサインなのだと察した私は、「ごめんね」と、言って彼に背を向ける。


「いや…やっぱ、一緒に入るって…落ち着かないな…」


そう言って、彼が上がる時の音と小さく波打った湯だけを感じ、波打つ自分の手拭いを胸元に手繰り寄せる。


「せっかくの温泉だから、ゆっくりして来いよ」
「うん…ありがとう」


彼の気配が無くなった頃にゆっくりと後ろを振り返り、一人になったことを確認すると、上半身だけ湯から出して岩に腰掛けた。


(もしかして、気遣ってくれたのかな…。そうだよね…やっぱり、子供の頃とは違うんだもんね…)


意識しちゃうよね……。


そよぐ風が、半ば逆上せ上がった身体を掠めていく。


「…涼しい」


こんな平和な時間を過ごしていると、戦乱の世で生きているのだということを忘れてしまう。


今、私達がここでこうやって生きていられるのも、こちらに来てからお互いにお世話になっている人達がいてくれるおかげ。


だけど、もしも翔太くんがいなかったら…自分一人だけでこの時代に飛ばされていたら…


そう考えたら、とても怖くなった。


彼がいたから、なんだかんだと生きて来られたんだと思う。


(ありがとう…翔太くん)


改めて、心の中で彼の存在に感謝すると共に、これからも、ずっと彼について行きたい…。


そう、思った。




*結城翔太編*(後編)へつづく




~あとがき~


秋斉さんとは入れなかったけれど、翔太きゅんとは、一緒に(≧∀≦)ノ いやぁ~、両方の気持ちを書いていると、きゅんきゅんしてしまいます(笑)


この後、艶シーンは書いてもいいのか…。それとも、次へ持ち越したほうがいいのか…。


迷っております汗


ちょっと、翔太きゅんの場合は、シリアス路線になりそうです…。この続きは、もう少しだけお待ちくださいませすまいる


ちなみに、鶯の赤ちゃんと偶然、遭遇したので!写真の手は私の手でございます(笑)翔太くんと同じように、巣に返してあげましたともウフフ リアルの話を今回は取り入れてみましたきらハート


今回も、遊びに来て下さってありがとうございましたきらハート