<艶が~る、妄想小説>
今回は、【温泉♪おんせぇぇん♪】*藍屋秋斉編(前編)*を、UPしましたその後の、秋斉さんと主人公は??貸切温泉宿でどこまでしっぽり出来たのか?そして、その後…想いを告げられたのか?
そして、皆様の期待に応えられているのか!?ドキドキです相変わらずの駄文ではありますが…良かったら、二人の想いを読んでって下さいませ
(↑続きものにつき、宜しかったらこちらからお読みください)
【温泉♪おんせぇぇん♪】*藍屋秋斉編(前編)*
その後、秋斉さんとお座敷へ戻った私は、さっきまでの投扇興でのことや、彼らの楽しげな話しに耳を傾けながら、一夜を過ごした。
そして、揚屋の玄関先から彼らを見送った後、秋斉さんと話し合った結果。旅館へは、予約が取れ次第、足を運ぶことになった。
朝は、やることがあるし、夜のお座敷までに戻らなければいけないから、ゆっくりとすることは出来ないかもしれないけれど……二人だけで温泉へ行けることが嬉しくて、私はその日を楽しみにしつつ、いつものようにお座敷で芸を披露する日々を過ごしたのだった。
そして、約束の日。
私は、いつもよりも早起きをして雑用を済ませると、初めて秋斉さんと呉服屋さんで新調して貰った時の着物に着替えてみた。
(これは、秋斉さんが一番似合うって言ってくれたものだったよね…)
『これ、あんさんに似合いそうやね…』
正直、着物はあまり興味が無かったから、どんな柄が自分に合うのか分からなかったんだけど、あの時の優しい微笑みを受けて、迷わずに彼が選んでくれた反物を選んだのだった…。
藍色に白い百合の花が控えめに描かれたシンプルなものだったけれど、彼の言うとおり、他のお客様にも、「似合う」と、褒められたりして。
それからだった。
着物に興味を持つようになったのは……。
それからは、いつも彼が着ているものと同じ藍色を選ぶことが多くなったりして…
気がつけば、何かある度に彼を意識し始め、それが、好き…という感情なのかどうかは、はっきりしないままだったけれど、今ではもう、私にとって無くてはならない存在なのだということに気づかされたのだった。
「よし…これでいいかな…」
身支度も完璧に整え終わると、少し緊張しながら秋斉さんの部屋へ足を運んだ。
襖越しに部屋の中へ声を掛け、彼の返事を受けて部屋の中へ入ると、秋斉さんの涼しげな瞳と目が合う。
(…っ…素敵だなぁ…)
紺色の浴衣姿が、いつもよりも爽やかさを際立たせている。
「もう、準備は出来たんか?」
「あ、はい…」
「やはりその着物、あんさんに似合うてはる」
「ありがとうございます…」
それから、いつもと違うお互いの装いに関心を持ちつつ、忘れ物などは無いか確認後、お目当ての旅館へと急いだのだった。
その旅館は、慶喜さんが言っていた通り、人里離れた山の中にひっそりと佇んでいた。
通された部屋はとても広くて、まだ新しい畳の匂いが少し気になったけれど、とても素敵な造りに思わず感歎の声をあげる。
「…部屋もですけど、庭も素敵ですね」
「せやな…」
「あっ…」
ふと、庭先を覗いた時、小さいけれど木で出来た内風呂が目に飛び込んで来た。
「あれって…」
「どうせなら言うて、この部屋にしたらしい…」
「…らしい?」
この旅館は、なかなかの評判だと言う事は慶喜さんから聞いていた為、予約が無いと厳しいだろうということもあり、忙しかった秋斉さんは、その予約を番頭さんに頼んでいたらしいが…
まさか、貸切風呂付の高い部屋を予約するとは思っていなかったらしく、ほんの少し頭を抱えていたのだそうだ…。
「そ、そうだったんですか…」
「ま、この際や。たまの機会やさかい、贅沢させて貰いまひょ」
(…と、いうことは…もしかして、一緒に?)
そう、思った瞬間。心臓が大きく跳ね始めた。
(いや、一緒に入ろうなんて絶対に言えないし、言わないだろうな…)
「せっかくやから、あの風呂に入ったらええ」
「えっ?」
「わては、もう一つの露天へ行って来るさかい」
「いえ、あの…秋斉さんこそ、こちらのお風呂を使って下さい」
(そうだよね…一緒に入るなんて、やっぱり無理だよね。ほんの少しでも期待してしまった自分が恥ずかしい…)
しばらくの間沈黙したが、その後、話し合った結果、交互に室内風呂を使用することになったのだった。
そして、彼に先に入って貰うことになった私は、少しそわそわしながら、お菓子とお茶をいただいていた。
(なんだか、手持ち無沙汰だなぁ…)
「あ、そうだ…」
ふと、お風呂に入りながらの一杯を味わって貰いたくて、女中さんに冷酒を用意して貰うと、私はそれらを持って彼の元へと急いだ。
「秋斉さん、冷酒をお持ちしました。入っても良いですか?」
「ああ」
「失礼しま……すっ!」
(思いっきりっっ、はだかぁぁじゃないですぅうかぁぁあ!!)
不意に目に飛び込んで来たのは、彼の裸体だった。湯船から、上半身だけを出して座り込んでいた彼は、涼しげな表情でこちらを見つめている。
(なっ…なっ……どうしよう…これじゃ、どこを見ればいいか分からない…)
まさか、そんな状態だと思っていなかった私は、すぐに視線を下に向け、ゆっくりと近づいていった。
「あ、あの…自然を眺めながら、というのも良いかと思って…」
「おおきに…」
腰元に手拭いだけが掛けられた状態で、微動だにしない彼と目線を合わせられないまま、差し伸べられる両手にお盆ごと手渡した。
「お、お邪魔しました!」
「せっかくや…」
急いで部屋に戻ろうとした私は、すぐに声を掛けられ思わず足を止めてゆっくりと振り返る。
「な、なんでしょう?」
「せっかくやから、酌を頼みます」
(…なんだぁ、びっくりしたぁ。今度こそ、一緒に入ろうとか言われるのかと思った…)
私は、あまり視界に入れないようにしてまた彼に近づくと、お猪口だけを見ながらお酌をした。
でも、見ないようにすればするほど、目が行ってしまうもので…
彼が美味しそうにお酒を飲み干す顔を見ているだけなのに、心臓の音が聞こえてしまうのでは無いかと思うほど大きく跳ね始める。
細められた色っぽい瞳。
お酒を飲む度に揺れる喉仏。
ほんのりと濡れた髪から胸元へ落ちる滴。
いつ鍛えたのだろう?と、思ってしまうほどの程好い腕の筋肉と、鎖骨あたりから腰のほうへ滑り落ちる湯を目にする度に、つい、いけないことまで考えてしまうのだった。
その手で触れて貰いたい…その肌に触れたい…いろいろな想いが一つ一つ溢れ出る。
「たまにはええもんやな…酌をされるいうんも」
「喜んで貰えて良かったです…」
「それも、わてが育てた遊女から…」
そう言うと、彼はもう一杯…と言ってお猪口を差し出した。
私も微笑みながらまたお酌をすると、彼はまたゆっくりと呑み始める。
(そう言えば、秋斉さんにお酌をしてあげるのは初めてだ…)
いつもは、持て成すことはあっても持て成されることは無いんだもんね…。
決して、この裸体に慣れた訳では無いけれど、そう思うと恥ずかしさは次第に薄れていった。
「温泉、気持ち良いですか?」
「ああ…久しぶりやったいうのもあるが、慶喜はんが勧めるだけのことはある」
「私も、温泉は久しぶりです…それも、こんな貸切温泉は…」
なぜか、自分でそう言ってまた、『貸切温泉』という言葉に反応してしまう…。
「もうすぐ、出るさかい…」
彼は、お猪口をお盆の上に乗せ、腰元の手拭いを手に持ち肩までつかってふぅ~と、息を漏らすと、こちらに視線を向けた。
「……………」
「あ、あの…何か?」
「あんさんがそこにおると、上がれへんのやけど…」
「あっ!ご、ごめんなさいっ…」
それから、慌ててその場を後にすると、部屋の中に戻り息を整え始める。
「はぁぁ……もう、私ってば、何をやっているんだろう…」
普段はあまり目にすることの無い表情と、想像以上に逞しかった裸体が頭から離れないまま、ただ一人、顔を赤くしながら立ち尽くしていた。
それから、しばらくした後。
秋斉さんは、銚子とお猪口が乗ったお盆を持って部屋へ戻ってきた。
まだほんのりと濡れたままの髪や、いつもはきっちり綺麗に閉じられた襟元も大きく開かれ、こめかみや、首筋に薄らと汗を浮かべる姿はとても色っぽくて、いつにも増して艶めいて見える。
「じゃあ、行って来ます…」
「ああ…」
入れ替わるようにして、私はお風呂場へと急いだ。
何を一人で意識しているのだろう。秋斉さんにとって、私は……。
着物を脱ぎながら、そんなことを考えていた。
投扇興をやろうと言い出した沖田さんに賛同した慶喜さんの為に、そう…人数合わせの為に参加しただけなのかもしれない。
勝負は勝負だから手加減はしない…と、言っていたし、私には、負けられないと言ってくれたけれど……やっぱり、私の勘違いなのかもしれない。
秋斉さんにとって私は……妹とか、家族とか…そういう感じなのだろう。
「ばかだなぁ…私って。何を期待していたんだろう…」
知らない間に溜息が漏れ、湯船につかりながら庭先に目をやった。
本当は、いつも感謝していることを伝えたい。
そして、出来れば…この想いを伝えたい。
半ばのぼせ上がった頭で、この後のことを考える。
チャンスがあったら……二人きりで温泉に入りに来ていることがもう、すでにチャンスだというのに、私はまだそのチャンスを生かせずにいた。
それから私達は、旅館内で京料理に舌鼓を打つと、時間の許すかぎり旅館内にある大きな庭を散策することになったのだった。
そこはとても静かで、心地よい風と、小鳥達の囀りが心を和ませる。
「こんなにのんびりしたの…久しぶりですね」
「せやな。こない緑に囲まれるのも、ええもんや」
初夏を迎えた京は、蒸し暑ささえ感じるくらいだったけれど、ここは肌寒いくらい涼しい。
私達は、自然に囲まれながら心地良い風に身を任せながら寄り添って歩いた。
隣りを歩く彼の横顔は、とても穏かで格好よくて……ずっと独り占めしていたくて。
いつまでもこんな時間が続けばいい。
今日という日が終わらなければいい。
そんな風に思っていた。
けれど、楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、気がつけばもう置屋へと戻らなければいけない頃合いになっていた。
「今日は、とても楽しかったです」
「そうどすな」
「…良かったらまた、連れて来て下さい」
好きです…とは言えなくても、その気持ちだけは伝えたくて、私は思いきって彼にそう告げると、彼は少し驚いたような顔をした後、いつもの微笑みを浮かべる。
「……わてで良ければ」
秋斉さんがいいんです。
私は、そう言いたい衝動に駆られながらも、ゆっくりと歩き出す彼の隣りにそっと寄り添った。
結局、本当の想いは言えないまま、聞けないままだけれど…今まで見たことの無い彼を目に焼き付けることが出来た……それだけで、私はとっても幸せな時を過ごせたと思ったのだった。
私達が置屋へ戻った頃には、もうお座敷へ出る準備をしなければいけない頃合いになっていた。
今までの時間が夢ならば、これからの時間は現実であり、しなければいけないことだけに追われ、いつものように、お座敷へ足を運んで下さる方々の為だけに笑顔を向ける。
秋斉さんの存在が、私にこんなにも力をくれるなんて…。さっきまでの彼との時間が、私の力の源なのだと改めてそう思った。
それから、全てのお座敷を終えて置屋の自分の部屋へ戻ると、寝支度を整え、再び秋斉さんの部屋を訪ねた。
記帳作業中だった彼は、それでも私を快く向かえ入れてくれたのだった。
「どないしたんや、眠れへんのか?」
「いえ、今日のお礼をちゃんと言いたくて…」
「お礼を?」
少し神妙な顔つきの彼に、なんて言っていいのか分からなくなって、私は咄嗟に熱燗でも用意しましょうか?と、提案した。
「あの、温泉の続きじゃないんですけど…良ければまたお酌をさせて下さい」
「そうか…」
彼は、柔和な笑みを向けながら、少しだけ言葉に甘えるか…と、言ってくれた。
「じゃあ、今、熱燗でもお持ちしますね」
そう言って、台所へと急ぎ彼の為だけに熱燗を用意し始める。その間も、考えることは秋斉さんのことだけ…。
また、喜ぶ顔が見たい。ただ、それだけだった。
「お待たせしました!」
部屋に戻ると、早速、彼にお猪口を渡し、徳利をそれに傾けた。彼は、トクトクという音と共に、お猪口に注がれたお酒が零れないように一気に飲み干す。
「…喉に染みるわ」
「良い飲みっぷりですね」
「あんさんも、一杯どないどす?」
「じゃ、ほんの少しだけ…」
秋斉さんは、私の持つお猪口にほんの少しだけお酒を注ぐと、目を細めながらこちらに視線を向けた。
「…うっ…やっぱり苦い…」
「あんさんには、まだこの味が分かれへんやろうな」
「それって、子供だっていうことですか?」
少し不貞腐れながらそう言うと、彼はくすくすと笑いながら、「そうやね」と、囁いた。
それから、私も少しだけお酒をいただきながら、またいろいろな話をし始める。
普段、聞きたかった事とか、芸事のこと。
そして…初めて会ったあの日のこと。
素性も知らない私を快く受け入れ、その上、ここまで育ててくれた人。
…何かあるとすぐに励ましてくれたり、愛情込めて叱ってくれたり。
『その器量や、もっと自信を持ちぃ。それでも、辛いゆうんなら…いつでも、わての胸を貸すさかい』
いつも、そう言って私の背中を優しく押してくれた。
たまに見せる冷たい表情に戸惑い、儚げな瞳を目にする度に胸を擽られ…その度に、抱いていた想いを閉じ込めて来たけれど、お酒の力も借りているからなのか、大胆にもずっと胸の奥に秘めていたその想いを口にしていた。
「厳しい中にも優しさがあって……そんな秋斉さんのことが…いつの間にか気になって……でも、秋斉さんにとって私は、妹とか…そういう対象でしか無いんですよね、きっと。だけど、私は……私…」
そう呟いた瞬間、視界がぶれると同時に優しく腕を引き寄せられた。
「あ…秋斉…さん」
その温かい胸に寄り添うと、彼は、「あかん…呑まれてしもうた」と、呟き、私の肩を慈しむように抱きしめる。
「……っ………」
「その先は、わてから言わせてくれ…」
私は、高鳴る胸を抑えながらその先の言葉を待っていると、彼は、「…ずっと好きやった」と、愛おしそうに言ってくれたのだった。
その一言が嬉しくて、震える手で彼の広い背中に手を回す。
「私も、秋斉さんのことが……」
「……………」
「本当に…秋斉さんのこと、好きでいてもいいんですか?」
震える声でそう言った途端。
そっと身体が離され、不意に彼のしなやかな指が私の頬に触れると同時に、ゆっくりとその端整な顔が近づき……。
(……っ……)
気がつけば、閉じられた彼の瞼を見つめたまま動けずにいた。
そのとろけそうな口付けに、身体中が震え始める……。
そして、ひとしきり口付けを交わし合った後、私はもう後戻りは出来ないと覚悟を決め、彼の柔らかな唇に触れながら懇願した。
「……私に、秋斉さんの温もりを下さい」
「それは、あんさんを抱いてもええいうことか?」
そう耳元で囁かれると同時に、視界がゆっくりと変わっていく…。
「あっ…」
倒れ込んだ刹那、視界が影になると同時に首筋に啄ばむような口付けを受けた。影になっていた部分からは、行灯の灯りが天井をゆらゆらと揺らすのが見える。
時に、私の名前を囁き、今度は儚げな口付けが私の額に、頬に、そして、唇に落ちた。
その息を呑むほどの抱擁に身を委ねながらも、彼の首にぎこちなく手を回し…何度もその想いを受け止める。
そして、そっと離された唇から、吐息と共に彼の想いが溢れ出す…。
「ずっと、こうしたかった…」
「秋斉さん…」
「……お前が欲しい」
時々、耳にしていた訛りの無い言葉に疑問を抱きつつも、その優しい眼差しを見つめながら小さく頷いた。
(艶シーンのみにつき、アメンバー記事にて;)
~あとがき~
お粗末さまどした((((;´・ω・`)))
思いのほか、長くなってしまったのでこの続きは、また後ほどっ
もしかしたら、アメンバー限定になってしまうかもです
艶シーン突入しちゃいそうな勢いですもんねここまで、秋斉さんのイメージが壊れていなければ良いが…
続きは、もう少しだけお待ち下さいませ
しかし、焦らしっぱなしですみません(笑)きっと、秋斉さんも、主人公ちゃんと同じ気持ちで温泉に入っていたんでしょうな…。後編は、今までの想いを二人…分け合って貰いましょう!!
話は変わりますが、ここ最近…「新選組血風録」の再放送が、他番組で流れっぱなし 続きが早く観たいのにぃ…
野球も、阪神にはもっと頑張って貰わなければ
またまた遊びに来て下さってありがとうございました