「木の葉の歌」・103
「やる気を出させる脳内物質の、ドーパミンが分泌されるのは、行動に対する報酬を予測できる時で、人は常に、何らかの報酬が得られることが、自分で分かっている状態にしなければない。あらゆるゲームは、このやる気が起こる仕組みを、うまく利用している。運命がカードを混ぜ、われわれが勝負する」
「ドーパミン」
ドーパミンは、中枢神経系に存在する神経伝達物質で、アドレナリン、ノルアドレナリンの前駆体でもある。運動調節、ホルモン調節、快の感情、意欲、学習などに関わる。
セロトニン、ノルアドレナリン、アドレナリン、ヒスタミン、ドーパミンを総称して、モノアミン神経伝達物質と呼ぶ。
またドーパミンは、ノルアドレナリン、アドレナリンと共にカテコール基をもつため、カテコールアミンとも総称される。
医学や医療分野では、日本語表記をドパミンとしている。合成された注射製剤が、循環器科、救急、集中治療医学、麻酔科学等の領域で頻用されている。
統合失調症の陽性症状(幻覚・妄想など)は、基底核や中脳辺縁系ニューロンのドーパミン過剰によって生じるという仮説がある。
この仮説に基づき、薬物療法で一定の成果を収めてきているが、一方で陰性症状には効果が無く、根本的病因としては、仮説の域を出ていない。
覚醒剤はドーパミン作動性に作用するため、中毒症状は統合失調症に類似する。強迫性障害、トゥレット障害、注意欠陥多動性障害 (ADHD) においても、ドーパミン機能の異常が示唆されている。
一方、パーキンソン病では、黒質線条体のドーパミン神経が減少し、筋固縮、振戦、無動などの運動症状が起こる。
また抗精神病薬など、ドーパミン遮断薬の副作用としてパーキンソン症候群が起こることがある。
中脳皮質系ドーパミン神経は、とくに前頭葉に分布するものが、神経回路のグループである報酬系などに関与し、意欲、動機、学習など、課題に取り組む欲と、解決による欲の解消を循環する重要な役割を担っていると言われている。
新しい知識が長期記憶として貯蔵される際、ドーパミンなどの脳内化学物質が必要になる。
陰性症状の強い統合失調症患者や、一部のうつ病では前頭葉を中心としてドーパミンD1の機能が低下しているという仮説がある。
下垂体漏斗系において、ドーパミンはプロラクチンなどの分泌抑制因子として働く。そのため、ドーパミン作動薬は高プロラクチン血症の治療薬として使用され、逆にドーパミン遮断薬(抗精神病薬など)は、副作用として高プロラクチン血症を誘発する。
ドーパミン部分作動薬のアリピプラゾール(エビリファイ)は、低プロラクチン血症を誘発することが分かっており、高プロラクチン血症の治療効果もある。
その副作用として、異常性欲や性的倒錯があり、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、添付文書で黒枠の警告をしている。