「食用キノコ」について
日本では1985年の記載で、約300種が食用にされて、そのうちの、十数種が人為的に栽培されている。
シイタケ、エノキタケ、シメジ類、マイタケ、ナメコ、ツクリタケ(マッシュルーム)のように、非常によく食べられていて、栽培も行なわれている食用キノコがある。
最近では、エリンギやヤマブシタケの栽培も増えている。また、マツタケのように、人工栽培には成功していないが、大量に輸入されていたり、トリュフのように高価で珍重されるキノコもある。
キヌガサタケは、高級な中国料理の材料として扱われていたが、すでに中国で栽培されている。菌床栽培された食用キノコを洗いすぎると、吸水し水っぽくなったり栄養や旨みが失われるために、洗いすぎずに食べることが肝心である。
食用キノコには、ビタミンB2を含むものが多いが、同一の種でも生育環境(栽培条件)によって、栄養成分の含有量は大きく異なる。
そのために、収穫後の子実体への効果を期待して、様々な成分の添加が研究されている。
また、シイタケには呈味性ヌクレオチドであるグアニル酸が含まれて、だしを取るのに利用されている。
キノコの旨み成分の多くは、加熱によって増えるために、ほとんどのキノコは、生で食べても旨みは感じられない。
従来から、可食種とされているクリタケ、ナラタケ、エノキタケ、シイタケでは、加熱が不十分な場合は、中毒症状を起こすおそれがある。
また、体質によっては消化不良を起こして、下痢をする場合がある。さらに、コウジタケ、アイタケ、ホテイシメジでは、ビタミンB1を破壊する作用が報告されていて、調理方法には注意が必要である。
「キノコの効能」について
キノコの効能については、抗菌、抗ウイルス、コレステロール低下、血糖降下、血圧降下、抗血栓、PHA幼若化抑制、抗腫瘍などが報告されている。
キノコに含まれる多糖類であるβ-D-グルカンは、抗腫瘍活性があるのではないかと指摘されている。キノコから開発された多糖体制癌剤(免疫療法剤)として、クレスチン、レンチナン、ソニフィランが認可されている。
「シイタケ」について
薬用茸からは、多糖類を始めとする免疫賦活作用を有して、抗がん作用を持ち得る化合物が幾つか見つかっている。
例えば、レンチナン等のβ-グルカンは、実験ではマクロファージ、NK細胞、T細胞、免疫系サイトカインを賦活して、免疫賦活剤としての臨床試験も実施されている。
アガリクス、シイタケ、メシマコブ、マイタケ、ヤマブシタケは、β-グルカンを産生する茸として知られていて、抗癌剤としての可能性が試験されている。
「薬用にされるキノコ」について
一部のキノコには、薬用とされるものも存在する。日本薬局方には、マツホド(局方名:ブクリョウ)と、チョレイマイタケ(チョレイ)は、生薬材料として収載されていて、漢方方剤の原料として用いられる。
この他に、霊芝や冬虫夏草などが、局方外で漢方薬の材料とされることがある。シイタケ、カワラタケ、スエヒロタケ等からは、抗腫瘍成分が抽出されて、医薬品として認められているものもある。