「キュウリ 」について
キュウリ(胡)は、ウリ科キュウリ属のつる性一年草で、およびその果実である。野菜の一種として食用にされる。
かつては、熟した実も食用とされたが、甘みが薄いためにあまり好まれず、現在では未熟な実を食用とするようになった。
インド北部、ヒマラヤ山麓原産で、日本では平安時代から栽培されて、大正時代以降に、よく利用されるようになった。
「キュウリの薬効」について
ウリ科植物がもつ独特の、苦味成分であるククルビタシンを含み、茎葉を飲食すれば、吐き気を起こすので、吐剤として用いられている。
現在は、品種改良が行われた結果、果実に苦味はないが、かつては果実にも苦味があった。果実に含まれるカリウム、イソクエルシトリンには、利尿作用があって、体内に蓄積されたナトリウムの排泄を促して、血圧上昇を抑制する効果が期待されている。
9月ころに茎葉を刈り取って、細かく刻み、または果実を輪切りにして、日干ししたものを生薬とし、果実を黄瓜(おうか)、葉を黄瓜葉(おうかよう)、茎は黄瓜藤(おうかとう)、全体としては胡瓜(こか)と称して、薬用にする。
東洋医学では、利尿効果があって、身体の熱をとって暑気あたりを改善するなど、珍重されてきた。
民間療法では、熱を吸収する性質があって、身体のほてり解消に役立つとされている。食あたりのときに、乾燥した茎葉1日量10グラムを、水600 ccで半量になるまでとろ火で煮詰めた煎じ液(水性エキス)を飲用すると、催吐剤として作用して、胃の内容物を吐き出させて楽にする。
べとつきがある下痢には、同様に茎葉5グラムを煎じて服用する。患部に熱があるむくみや、のどの痛みがある時は、乾燥させた胡瓜10グラムを1日量として、水600 ccで煎じた汁を、食間3回に分けて服用すると、利尿作用によるむくみの軽減に役立つといわれている。
ただし、患部が冷えている人への服用は、使用禁忌とされている。また、冷やした生の果実を薄く輪切りにしたものを、軽いやけどの患部に貼って、たびたび張り替えて冷湿布として利用する方法や、暑気あたりに足の裏に貼っておくとよいともいわれている。