人間の生き方 | 作家 福元早夫のブログ

作家 福元早夫のブログ

人生とは自然と目前の現実の、絶え間ない自己観照であるから、
つねに精神を高揚させて、自分が理想とする生き方を具体化させることである

 杜 甫(と ほ・712年― 770年)は中国の盛唐の詩人である。字は子美,号は少陵。河南,鞏(きょう)の人とされる。

 

 24歳の時に、進士の試験に落第し,諸所を放浪して,李白,高適(こうせき)らと詩酒の交わりを結び,30代半ばに長安に出た。

しかし仕官は実現せず,玄宗皇帝は楊貴妃への溺愛(できあい)により国政を怠り,自らの不遇と時局の危機を《詠懐五百字》に詠じた。

 

 安禄山の乱では賊軍に捕らえられ,〈国破れて山河あり,城春にして草木深し〉(《春望》)の句を作った。脱出後,新帝粛宗のもとに行き,その功で左拾遺に任じられたが,この乱での体験は彼の詩に深い憂愁の影を加え,傑作《北征》を作った。

 

 乱後,官を辞し,家族とともに放浪,48歳の時,成都の近くの浣花渓(かんかけい)に草堂を営み,わずかに平安の生活を送る。

 

 この間,四川地方の兵乱のため一時草堂を離れるが,四川での詩は平和な自然の善意とそれに対する生活を歌ったものが多い。

 

 768年以後2年間湖南・湖北を放浪し,老齢とともに悲壮をきわめた詩を作ったが,失意のうちに舟の中で死んだ。

 

 彼の詩は人間に対する偉大な誠実さのゆえに至高とされる。農民・兵士の苦しみ,自己の苦しみと平安,それらを日常生活に題材をとって歌った。

 その詩は後世の中国・日本の詩に大きな影響を与えた。作品は《杜工部集》20巻に収める。

 

 杜 甫(と ほ・712年― 770年)は中国盛唐詩人で、幼少の頃から詩文の才能があって、李白と並ぶ中国の文学史上で最高の詩人として、李白の「詩仙」に対して、「詩聖」と呼ばれる。晩唐期の詩人杜牧の、「小杜」に対し、「老杜」「大杜」と呼ばれる。

 

 人間の生き方について彼は語っている。

「国破れて山河あり、城春にして草木深し」