14時間に渡るフライトを終えて、バルセロナ、カタルーニャ広場に到着したのは、21時を過ぎた頃だった。
当然、陽はどっぷり暮れていたが、街灯で辺りは照らされ、大勢の人で賑わっていた。
目的があるとも思われない人々が方々に集い、旅行者の目には、罪人に見えて仕方ない。
何度も頭に入れていた地図の記憶に頼り、早歩きでホテルへと向かう。
メイン通りからは外れているが、わかりやすい道順に、足取りは、この地を知り尽くしたように軽かった。
人通りの少ない道を行き、ホテルがあるであろう通りにたどり着くと、街灯がぐっと減り、闇が際立った。
そして、あるべき場所にホテルがない!
地図を見返しては、幾度も周辺を行き来する。
一つ、二つ、別の通りに出ると、全く人の往来のない道。
人が居住しているのかすら疑わしい古い建物が並ぶ。
そうかと思えば、クラブが乱立し、エントランスでは多くの若者が行き交う人をそれとなしに見ている。
雨の後のような、湿った重い空気を感じる。
緊張が走る。
疾走した。
「 Donde esta este hotel ? ]
-「 No se. 」
-「 Esta este calle. 」
ホテルのフロントマンや犬を連れた若い女性に尋ねるが、どちらの回答も答えにはならなかった。
よし、もう一つ通りを行ってなければ、広場に戻って、タクシーを拾おう。
そう決めて、祈りながら歩みを勧めると、看板はなく、ただ、表札のような大きさの板にホテルの名前はあった。
助かった!
胸をなで下ろし、チャイムを鳴らす。
セキュリティーシステムのある建物のため、容易に中には入れないようだ。
用意していたスペイン語に返ってきたスペイン語は全く聞き取れなかった。
あるいは英語だったのかもしれないが。
出てきてくれるか、不安になりつつ、待っていると、彼が扉を開いてくれた。
「 !Hola! 」
