今日も「はやぶさ」運用から帰って来ました。終電、終わってました。スーパーバイザーは、その日の運用日報を書いて、メールで他のスーパーバイザーと大学院生の運用当番(交代制なのでたくさん居ます)に報告します。あと、いくつかのデータをまとめてみんなが利用するサーバーに格納するのも仕事です。今日の運用は22:45(日本標準時間)で終了でした。ブリーフィングの後、上記の仕事を済ませてからしか帰れません。たいていは日報を書きながら夕食のおにぎりを食べます。

今週は波乱の運用で幕が開けました。小さなトラブルは日常的に起こります。ISAS(宇宙科学研究本部:旧文部省宇宙科学研究所)では旧NASDA(宇宙開発事業団)のように杓子定規に運用しません。当番とスーパーバイザーと運用支援の方(メーカーさん)の経験と感に基づいた、その場の判断がものを言います。設計段階では考えもしなかった使い方やウラワザが、次々に考え出されます。転んでもただでは起きません。そんな運用があたりまえです(アクロバティックな運用と、よく言われます)。

今日もしょっぱなから「はやぶさ」にコマンドが届きませんでした。データも降りてきません。駆け出しスーパーバイザーの僕には打つ手が分かりません。でも、歴戦の「ハイパー」スーパーバイザーの皆さんが後ろに控えています。思い切り「経験値」の高い方々です。各担当に、さっと情報とアクション・アイテム(宿題;すぐやらないといけない)が渡り、その結果を集めて、もっとも起きてはいけない事を避けつつ、問題を解決していきます。見事なものです。ちなみに本日も2時間の奮闘の末、「はやぶさ」との通信を回復し、予定の運用を終了しました。

そんな様子を具体的に知りたい方は、幻冬社から出版されている「はやぶさ 不死身の探査機と宇宙研の物語」を読むことをお薦めします。