9月14日に打ち上げられた「かぐや」は太陽電池パドルとハイゲインアンテナを展開し、現在、地球の周りを楕円軌道で回っております。2周回った10月1日に月へのトランスファー軌道に入り、10月4日にはブレーキをかけていよいよ月周回軌道に入ります。この日が嫁入り完了でしょうか。その後、2つの子衛星を分離しつつ軌道を円軌道に修正し、科学観測の準備を整えます。

あまり知られてないことですが、日本が月周回軌道に衛星を投入するのは2回目です。1回目はまだ20世紀だった1990年に宇宙研(ISAS)によって打ち上げられた工学試験衛星「ひてん(飛天):開発コードMUSES-A」です。この衛星は、地球や月とスウィングバイ(すれ違うこと)をして、加速したり減速したりして軌道を変える練習をしました。惑星の重力を使って軌道を変えることをグラビティ・アシストと言って、ボイジャーが木星や土星の重力を使って遠くまで行ったのが有名です。

日本は、遅まきながら自前でそのシステムを開発して、「ひてん」で練習して習得しました。「ひてん」は最初は地球周りでスィングバイを繰り返していましたが、最後には月の周回軌道に入りました。そして月を何十周した後に、燃料を使い切って月に衝突しました。衝突の寸前まで月面の写真を送ってきています。日本で作られた「もの」が初めて月に到達したのです。1993年のことです。その時の現場で実働していたのが「はやぶさ」のプロマネの川口先生でした。興味のある方は、下記の解説をどうぞ。

http://www.isas.jaxa.jp/j/enterp/missions/hiten.shtml

さて、2番手「かぐや」のお手並みは如何に!