何用あって月世界へ-M-rocket

先ほどまで、研究本部の大会議室に居ました。

鹿児島県内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられる予定だった観測ロケット「S-310-38号機」の打ち上げ中継を見るためです。ややこしい名前ですが、「S」が科学(Science)観測ロケットを表し、次の「310」がロケットの直径310mm(小さいですね)を表します。その38号機の打ち上げが1月28日から延びて、本日の予定でした。しかしながら天候が観測条件を満たさなかったため、打ち上げ5分前に「延期」の判断がされました。

この「観測ロケット」と言うのは、JAXAの宇宙科学研究本部が文部省宇宙科学研究所だったころから続いている伝統的なロケットで、人工衛星や探査機を打ち上げるのではなく、観測機器を一定時間の間、高層大気部分を飛行させるロケットです。これにより大気圏ギリギリのところの情報や観測機器が落ちてくる間の様々な大気の層の状況を調べることができます。

今回の38号機では観測機器を上空160kmまで打ち上げて、「(なるべくかんたんに言うと)電波受信機、光学カメラ、プラズマ測定器を上空70~150kmの電離圏に飛ばして、そこのまだ良くわかってないプラズマ密度の三次元空間構造」を調べるのが目的です(電離圏が不均質が無線通信電波の伝わり方の不安定な原因になっています)。

ああ、やっぱり難しいですね。まあ、打ち上がって落ちてくる間だけデータを取っておしまい、というロケット実験です。1発勝負なので天気の良い時に打ち上げたいのが人情です(カメラも積んでますし)。今か今かと待ってスクリーンに映し出された発射場を見ていた人たちは、力が抜けたように会場を後にしました。

打ち上げ期間は余裕を見て、2月29日まで取ってあるので安心ですが、打ち上げるために鹿児島に行っている人は、まだまだ出張が続きます。打ち上げ寸前までいったロケットは全く逆の手続きを経て元に戻します。そして、次の打ち上げ日に(また)準備して打ち上げに臨みます。

次回は打ち上げ成功したら報告します。