僕の職場(相模原)も桜が満開になってきました。桜の種類によって個体差がありますが「ソメイヨシノ」系はほぼ満開です。

写真左は正門を通って研究管理棟本館(A館)玄関手前にあるモニュメントの一角に植えられた(たぶん)ソメイヨシノです。桜の木の根元には柘植の木が植えられて短く刈り込まれています。左後方には日本庭園の「築山(つきやま)」か京都銀閣寺にある「向月台」のようなモニュメントが見えます。これが宇宙研七不思議の1つめです。1本の桜の木はその1部です。さて何を表しているのでしょう?

何用あって月世界へ-isas-sakura

























答え;この「築山」は太陽系を表しています。円錐台の上面が中心にある突起と合わせて太陽であり、石のブロックが3段に積まれている境界線が上から水星の軌道、金星の軌道、地球の軌道になります;地球の軌道は地面です。その地球の軌道上にある柘植の木に丸く囲まれた一本の桜の木が地球とその上に生存する生命を表しています。この桜の木は宇宙研が東京駒場から相模原に移転した時に植えられたもので、かれこれ20年経ちます。最初は細い頼りない桜でしたが、今では立派な成木になりました。その枝は大きく広がり、先ほどの太陽系でいうと小惑星帯を超えて木星に届かんとしています。





桜の木から目を右に転じると、研究本部の食堂と生協があります。そこに至る石畳の歩道をよく見ると、何か模様が…(写真下)。さて2番目の宇宙研七不思議です。これは何?


何用あって月世界へ-isas-p-a
















答え;手前の大きな円がハレー彗星(核;本体)を表しています。そこから同心円状に広がっていくように見えるのが彗星からのガスと塵、奥にまっすぐ伸びるのが彗星(ほうき星)の尾っぽです。ハレー彗星の核の近くに小さな円が4つあるのが見えるでしょうか。これは、1986年ハレー彗星大接近の際に、人類が探査のために送り込んだ探査機を表しています。どれがどれに対応するのかは失念しましたが、「さきがけ&すいせい(日本:ISAS)」、「ジオット(欧州:ESA)」、「ヴェガ1&2(旧ソ連+東欧:インターコスモス)」、「アイス(米国:NASA)」の4国機関に対応します。これまで独自に太陽系探査をやってきた各国が、ハレー彗星大接近を機に、人類史上はじめて国際共同探査計画(各国得意の分野を生かして共同で同時に同じ対象を探査する)が行われ、大きな成果をおさめました。この科学成果のまとめの会議の後、当時のローマ法王ヨハネ・パウロ2世が出席者全員をヴァチカン宮殿に招待したことは、有名な話です。