【社説】マイナ保険証 無理強いでは普及しない
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現行の健康保険証が廃止され、マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」に一本化される12月2日まで、残り4カ月を切った。
カードの普及が思うように進まないため、政府はあの手この手の対策を繰り出しているが「強引だ」と国民の反発を招いている。
多額の税金を使って無理を重ねる前に、国民感情に寄り添い、性急な保険証廃止を考え直すべきではないか。
政府は5月から、マイナ保険証のPRポスターを窓口に掲示し、利用者が増えた医療機関に支援金を出している。6月には支援金の上限額を病院は40万円、診療所や薬局は20万円に倍増した。
医療機関の一部も前のめりになっているようだ。
医師でつくる全国保険医団体連合会によると、マイナ保険証を持たない利用者に提示を求めて口論になったり、持参しなかった利用者に取りに帰るよう求めたりと、誤った対応が確認されている。
マイナ保険証がないことを理由に、薬を処方しない薬局もあった。治療に支障を来さないか心配だ。
マイナ保険証の利用率は、6月時点で9・9%にとどまる。他人の情報がひも付けされるトラブルが相次いだ影響もあり、昨年5月以降は低下していた。
今年はやや増える傾向にあるとはいえ、1割に満たない低水準に変わりはない。
一連の混乱は河野太郎デジタル相が2022年10月、現行保険証の廃止を唐突に表明したことから始まった。
今年4月には河野氏が自民党の国会議員に対し、マイナ保険証が利用できない医療機関を見つけ次第、政府窓口への「通報」を実質的に促す文書を配布していたことが明らかになった。あまりに強権的な手法ではないか。
6月には薬剤師や事務職員約1万人をデジタル推進委員に任命した。マイナ保険証の利用登録を勧め、窓口でサポート役を務めるという。
効果が判然としなくても、迫る期限を前になりふり構っていられないのだろう。
マイナ保険証を使わない国民が多いのは、現行の保険証と比べ利便性が感じられず、個人情報が漏れる不安が拭えないからである。
これまでの政府の対応は、原因を正しく認識しているように見えない。
イソップの寓話(ぐうわ)「北風と太陽」を思い浮かべてほしい。無理を強いるより、時間をかけて使いやすさと不安の解消を進める方が近道だ。
現行保険証は廃止後1年は有効で、マイナ保険証の未取得者には保険証代わりの資格確認書を発行する。暗証番号が不要な顔認証のマイナカードも作る。複数の保険証が併存することで、混乱に拍車がかかる懸念も拭えない。
そもそも、マイナ保険証の取得が任意であることを忘れてはならない。
どうやら、自民党にも「世襲議員」の河野太郎にも、「富士通」から「多額の献金」が行っているようだ。
それで、政府も「世襲議員」の河野太郎も、必死になって「強引」でも、「マイナンバーカード」の普及を進めようとしているのだと言う。
しかしながら、この「強制」に関しては、「憲法違反」である事は、間違いない。いい加減に、こんな「馬鹿げた蛮行」は、止めるべきである。