安倍外交の「北方領土交渉」とは何だったのか 実現する方途を提示すべき外務官僚が機能不全、劣化の極み
配信
【山上信吾 日本外交の劣化】
日の丸を背負う「気概と矜恃」を感じることが稀(まれ)な岸田文雄政権のふがいない外交姿勢を見るにつけ、「安倍外交」が一種の憧憬と郷愁を持って思い返されるこの頃である。
しかし、将来に誤りなきを期すためには、手放しの礼賛は禁物だ。冷徹に是々非々で得失を論じるべきだろう。
そうした観点からは、やはり「あの北方領土交渉は何だったのか?」という省察は不可欠だと思う。
「日本最大の離島」(沖縄本島よりも大きい)と称されてきた択捉、そして「第2の大きな離島」である国後をあきらめれば、色丹、歯舞諸島の「2島」は返ってくるのではないかとの幻想と期待値を高めながら、具体的成果につながらなかった。
「中露に楔(くさび)を打ち込む」との正当化は、その後のウクライナ戦争をめぐる中露接近、ウラジーミル・プーチン大統領再選後の訪中などを見るにつけ、ナイーブな期待に終わった感は否めない。
「自分でなければまとめられない」という保守政治家としての安倍晋三首相(当時)の意気込みは横に置くとして、冷徹に国益を計算し、それを実現する方途を提示すべき外務官僚が機能不全に陥っていたと言われて致し方ない惨状だ。
「プーチン氏であれば解決できる」と期待値を高めたものの、そのプーチン氏こそが、2008年にジョージア(当時グルジア)に侵攻し、14年にはクリミア半島を奪取していたのだ。
拙著『日本外交の劣化:再生への道』(文藝春秋)でこうした北方領土交渉のあり方を厳しく批判し、「仕切り直し」を求めたせいだろうか?
先日、ある経済団体で日本外交について講演をする予定で赴いたところ、困惑顔の団体関係者から「在京ロシア大使館の館員が居座って動かない」と相談を受けた。会員企業限定ということでお引き取りいただいたが、その過程では「差別だ」などと口走っていたという。
また、「もしトラ」が現実的可能性を帯びて語られるなか、「ドナルド・トランプ米政権が復活するとウクライナ支援が止められる。であれば、今こそ停戦交渉を始めるべきだ」と、したり顔で論じる外務省出身者が目立ち始めた。
この議論が誰を喜ばすかは一目瞭然だ。ウクライナ政府中枢にいる私の知人は、こうした論者を「(ロシアにとって)使い勝手の良いおバカども(useful fools)」と呼んで軽侮の念で見ていた。
まさに、時代は「プロの出番」なのだ。戦争に負けて失った領土を外交で取り返すのであれば、100年単位の長期戦を覚悟すべきは世界標準だ。そうした良識と知恵こそ、外務官僚が発揮し、政治にインプットすべきなのに、できていない。劣化の極みだ。
気違い安倍晋三は、ロシアのプーチンと29回も「首脳会談」を行ったが、北方領土の返還は全くなかった。一体、何をしに行っていたのか?
その上、歯舞・色丹の開発に関して、3000億円もの投資をして、共同開発まで約束したにもかかわらず、全く行われていないばかりか、両島に「攻撃兵器」を配備している。
このままでは、北方領土から、北海道からの「日本侵入」すら考えられる事態となるのではないだろうか?
気違い安倍晋三は、大量の「税金」を投じて、一体どれほど、ロシアに貢献したのだろうか?外務省の「クソ官僚ども」は、東大を卒業しているのだから、もっと「ドタマ」を使って、ロシアと向き合いやがれ。
こんな「役にも立たなかった、度アホ」に「国葬」を行った事は、日本国民の自民党支持層をも含め、反省・改心するべきである。