1ドル160円“脅威の円安”→いきなり円高方向に…政府・日銀の「市場介入」って何をしているのですか?〈池上彰さんが解説〉
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Q “脅威の円安”からいきなり円高方向に動いたワケは?
先月29日の午前中、円相場は1990年4月以来34年ぶりに1ドル=160円台をつける円安となったものの、午後に入ると一転して円高方向に変動し、円相場は1ドル=154円台まで値上がり……という荒い動きがありました。「政府・日銀が市場介入(外国為替市場介入)に踏み切ったのではないか」という報道がありましたが、“市場介入”とは具体的にどんなことを指すのでしょうか?(30代・男性・会社員)
A 政府が日銀に預金してある資金を使ってドルを円に替えたこと
これは、政府が日銀に預金してある資金を使ってドルを円に替えたことをいいます。「政府・日銀が」というニュースになりますが、日銀は財務省の指示に従っただけです。「ドルを円に替える」ことを「円買いドル売り」といいます。大量のドルを売って円を買えば、ドルに対して円の人気が高くなるので、円安の傾向に歯止めがかかるだろうと財務省が考えたのでしょうね。
そのためのお金は、「外国為替資金特別会計」という財布に入っています。たとえば円高を是正しようとすると、政府は「政府短期証券」というものを発行して金融機関に買ってもらいます。こうして獲得した円を使って、政府は大量のドルを購入。その結果、ドルの人気が上がり、円の価値が下がります。
こうして得たドルを、政府は特別会計という財布にしまっていました。今回、このドルを使って多額の日本円に替えたものとみられます。その結果、一時的にせよ円高になったのです。
外為特会には、24兆円の財源があったようだが、4月26日と5月2日の2回の「為替介入」により、5兆円と3兆円の合計8兆円が使われたと言われている。
という事は、残りは16兆円ある事になるが、今後も「円安」が進む事が考えられる事から、「為替介入」が行われる可能性がある。
このような事を考えていくと、このまま「円安」を放置する事はできないという事だ。しかし、日銀の政策は、どのように行われるのだろうか?