やがて年末を迎え、聡太は毎年恒例のクリスマスと年末にかけて、超のつく高級かつミシュラン三つ星の日本料理店やフランス料理店で家族と食事をしたり、開成高校時代の友人や小学校時代の幼馴染や理科一類のクラスメートと遊んだり、年越しはこれまた毎年恒例の東京都内の高級ホテルで家族や親戚と一緒に過ごしたり、その流れから新年、お正月は家族で大谷トラストグループ所有のハワイの別荘で過ごしたり、冬休みを満喫していたのだ。その中でももちろん数学の研究は怠らず、1年生の春休み同様、休みの期間を利用してシリウス教授のもとで数学の研究を行うことになっていたのだ。そして国内外の数学者との研究も並行して行っていて、多忙な日々をすごしていたのだが、聡太にとってはまさに充実した日々を過ごしていたのだった。

 

ほどなく冬休みが終わると、成人式の式典があり、聡太は沙織や海斗らとともに、式典に参加したのだった。式が終わると、小学校時代のクラスメートとともに、久しぶりに同窓会を開催。これも実は聡太の主催で、当時も学校の児童会長として全校の児童をまとめていたのだった。

 

当時の思い出話に花を咲かせながら、同窓会はお開きとなり、みんなの想像以上に盛り上がったので、これから定期的に集まろうということで、同窓会は解散となった。

 

聡太たちが、同窓会で盛り上がっていた中、少し時間をさかのぼる。

 

「陽翔は成人式、地元に帰る?」

 

「いや、帰らない。帰っても友達いないし、もう出て行った身だし。親も無理に帰らなくてもいいよって言ってくれたから。年末帰ったし、もう今回はいいよ。」

 

「そっか・・」

 

「伊織、もし何か聞かれたら、元気でやってるからって言っといて。でもたぶん覚えていないというか、まあ"消えた"からね。」

 

「わかった。しかし今考えても、すごいよね。地方の、それも限られた同じ地域から二人も数学オリンピックの日本代表になるなんて、びっくりだよね。」伊織は感慨深そうに言う。

 

「まあ、正確には"3人"だな。本当はもう一人代表になってもおかしくなかったかもね」

 

「えっ??」

 

「伊織は知らないのか・・・同じクラスだったからわかるけど、俺も含め先生もクラスメートの子も大変だったよね・・・」