「2回生が始まる・・・」

 

「聡ちゃん、おかえり。イギリス土産もありがとう。イギリスの生活どうだった?」

 

「ありがとう。ほとんど数学漬けの生活で。時々観光したり、サッカーの試合観戦してて、凄い楽しかった。」

 

聡太はじめ、理科一類のクラスメートたちは全員2回生に進級することになった。聡太は休み中にイギリスで世界最高の数学者、シリウス教授と数学の研究を行い、その成果を論文で学術誌に発表することになったのだ。

 

「共同研究の成果の発表、楽しみにしてる。」碧が聡太に言った。

 

「良い内容の発表ができるように頑張ってるとこ、忙しい」

 

こうして聡太たちの2回生としての生活がスタートしたのだった。とはいっても1年生とはほとんど変わらない生活、聡太は数学の研究の傍ら、国際数学オリンピック財団・国際情報オリンピック財団の幹部と連絡を取り合ったり、一平や結翔らと大学生活を過ごしたり、遊んだり、蓮や碧ら高校時代のクラスメートとも一緒に食事したり、遊んだり、興味のある分野について勉強したりしていたのだ。

 

しかし2回生になり、聡太のように国際科学オリンピックで金メダルを獲得し、学校推薦で合格し、進学する学部が内定している学生はいいが、一般入試で合格した学生は、1年生と2年生の試験の成績で進学先が決まるので重要な期間であるのだ。

 

「お母さん、無事2回生になれたよ。」

 

「そう、それは良かった。引き続き身辺調査、頼むね。」