(第2章)
「これより国際数学オリンピックフランス大会の表彰式を行います。」
「まずは銅メダルの発表です、まずは菊池伊織さん」
まず司会者に呼ばれたのは伊織。伊織は今回初の出場だったが、初めての海外、慣れない環境もあり、さらには問題自体も難しい問題だったこともあり、実力を発揮できずに今回出場した代表選手の中で最下位の得点、ボーダーギリギリの銅メダル獲得に終わったのだ。悔しい結果になってしまったが、県勢では初の国際数学オリンピックのメダル獲得であり、それについては快挙と言えた。
「伊織くん、悔しいだろうけど、このくやしさを今後の糧にしてもらえれば。」
「はい、出場できただけでもできすぎだったんですけど、それに満足してしまって、勉強が足りなかったかなと。それが悔しいです。」
「もう過去のことは取り戻せないからね、これから未来に向かって頑張ってもらえれば。」
「わかりました。」
日本数学オリンピック財団の岡田理事長に言われ、伊織は前を向いたのだった。
「続いて、銅メダル、大村大樹さん」
今回唯一、高校1年生での代表出場となった大樹だが、難しい問題に苦戦しながらも銅メダルを獲得、高校1年生で銅メダル獲得は立派な成績であり、次年度以降に期待の持てる成績であった。
「大樹、よかったな。」
「ありがとうございます。」
今回唯一の高校1年生での出場だっただけに、他の高校3年生の5人に弟のようにかわいがられていたのだった。
「続いて、銅メダル、山本陽翔さん」
「はい。」
「陽翔はまた銅メダル、3年連続で銅メダルって逆になかなかないよね。」
陽翔は高校1年生から3年連続で国際数学オリンピックに出場し、3年連続銅メダルというある意味レアな記録を作ったのだった。しかし本人は今年は金メダルを目指していただけに、こちらも伊織同様、悔しい結果となってしまったのだった。
「また銅メダルで、今回は金メダル獲得を目指していただけに、本当に悔しいです。」
陽翔は無念そうな表情を見せる。
「続いて、銀メダルの発表です。」
「蓮も碧も俺以上に悔しいだろうな・・・」