月日は流れ、早くも12月のクリスマスの日、聡太は家族とともに、毎年恒例の三ツ星のフレンチレストランで最高のフレンチ料理を楽しんでいた。とにかく絶品料理の数々だけに聡太も楽しみにしていたのだ。このお店はミシュランガイド東京版が刊行されて以来、ずっと三ツ星の座をキープし続けているのだ。もうこのお店の店主とも、家族ぐるみの付き合いで、大谷トラストグループが再開発を手掛けるエリア「品川ヒルズ」の中のビルの中に、店主プロデュースのお店がオープンすることになっているのだ。

 

このお店の名物は「ヤギのミルクのババロア」。聡太も大好きな一品。これを食べたら、このお店に来たと実感させる逸品なのだ。

 

他にも絶妙に火入れされた鰆や鳩は絶品で、デザートも名物のメレンゲのアイスクリームなど絶品の数々。最後にサプライズで特製クリスマスケーキが出され、今年の宴は終了したのだった。

 

店での食事を終え、自宅に帰宅した聡太に一通のメールが届いていた。聡太が憧れる世界的に著名な数学者、イギリスのオックスフォード大学のシリウス教授から共同研究をしないかというメールだったのだ。シリウス教授は多くの数学の研究で成果を上げている注目の数学者で、いまだに破られていない小学校6年生にして数学オリンピックで金メダル獲得という最年少記録を樹立したことでも知られている。今回は、聡太と共同で研究を行っているイギリス・ケンブリッジ大学のウルフ教授が、シリウス教授と親交があり、その縁でシリウス教授から共同研究を持ち掛けてきたのだった。

 

聡太の返事はもちろん「YES」。ただし、今後も東大に通いながら研究を続けるのが条件になっているのだ。こうして聡太は徐々に数学者になる夢に着実に近づいてるのだった。

 

「今年も1年早かったね。」

 

「もうクリスマス・・・」

 

「でもこの日は絶対に忘れちゃいけない」

 

「そうだよね・・」