「それでは皆さん、よろしくお願いします。」

 

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

 

「蓮、遅いね。」

 

秋のある日、聡太は次世代の100人に選ばれたということで、NHKの科学番組の取材を受けることになっていた。聡太への取材がメインであるが、聡太のクラスメートを代表して蓮と一平、国際科学オリンピック仲間ということで碧・奏・伊織・和真の7人が取材に応じることになっていたのだ。このころになると聡太は自身の自宅マンションや東大の図書館などで理科一類のクラスメートと、定期試験に向けた勉強会や、数学と情報科学の分野の研究会を行っていたのだ。その様子をNHKが取材したいということで、今回東大の図書館で取材をうけるためにみんなが集まったのだ。

 

ところが蓮以外の7人は約束の時間に集まったのに、蓮だけの姿が見えなかったのだ。

 

「蓮、どうしちゃったんだろう、連絡するか??」

 

と聡太が蓮に連絡しようとしたときだった。

 

「ごめん、遅れて。」

 

「えっ、蓮??」

 

「蓮なの??」

 

「うん、そうだけど、髪型変えたから。テレビに出るし思いっきりイメチェンしようと思って。」

 

「いや、イメチェンしすぎじゃない、一瞬誰かわからなかったよ。」

 

「そう。確かに自分でもすごく変わったのがわかる。」

 

「ところでお名前は?」NHKの番組スタッフも蓮の名前を訪ねた。

 

「水原蓮です。」

 

「いや、なんかすごいイケメンですね。」

 

「もともとそうじゃなかったんですけど、テレビ出るんで思い切ってイメチェンしました。」

 

実はさかのぼること数時間前・・・